アニメゲーム漫画業界経営戦略 まず走り出してから理屈を後付けできる社長が勝つ

アニメゲーム漫画は少々理屈っぽくなってしまっているのではないかという話をします。確かに、ビジネスとしてアニメゲーム漫画を作ることを事業にする以上、最も効率的な事業展開をしようとすることは間違いではありません。ビジネスを行う経営者であれば、会社を潰さないため、社員に給料を払うために、状況を分析して最善の手を打とうとします。しかし、それゆえに経営が苦しくなってしまっているのではないかという話をします。

shutterstock_286399061いつ、どこで、どうやってアニメゲーム漫画が誕生したか知っていますか?

アニメゲーム漫画っていつどうやって始まったか説明できますか?アニメゲーム漫画の起源をエピソードとして知っている人はもしかしたらいるかもしれませんが、誰かいつどうやってその原型を思いついたのかという瞬間については誰にも説明できないと思います。ただし、確かに言えることはアニメゲーム漫画を作ろうと思ってアニメゲーム漫画を作ったということではないということです。何かをどうにか表現したいと苦心した結果思いついた方法がたまたまアニメやゲームや漫画だったということです。その始まりの瞬間から連綿と続いたものが現在のアニメゲーム漫画と呼ばれるものです。

もちろんアニメゲーム漫画を作るためには、アニメゲーム漫画を熟知していることは当たり前のこととして必要ですが、その先には必ず表現したいものが必要です。アニメゲーム漫画を作る人はクリエイターと呼ばれますが、採用現場の声からもクリエイターが一番最初に持っているはずの表現したい物事が欠損してしまっている人が少なくないと聞きます。そしてそれはちょっとした工夫のことをクリエイティブということもできますし、アニメゲーム漫画という表現技法を生み出したエネルギーのことも同じくクリエイティブと呼ばれます。

71L1qHv6tVL宮崎駿には本物だって間違って見えていた

スタジオジブリに27年間務めたアニメーターが書いた本「エンピツ戦記」には宮崎駿さんについての興味深いエピソードが紹介されています。

“1994年の秋に社員旅行で奈良を訪れ、猿沢池のほとりを歩いていたときのこと。その鳥の種類がなんだったのか覚えていないのですが、池には水鳥の姿が見えました。たまたま近くに宮崎さんがいたのですが、空から舞い降りて翼をたたんだ一羽の水鳥に向かって、宮崎さんはこう言ったのです。
「おまえ、飛び方がまちがってるよ」
〈えええーっ!?〉
私は心の中で驚きの声を上げました。本物の鳥に向かって、おまえの飛び方はまちがっているとダメ出しする人なのです。”

宮崎さんにとってリアル以上の理想的なオリジナルがすでに存在していて、そのオリジナルからどうしようもなくあふれ出るものだからこそ、ジブリのアニメーションが唯一無二であり続けているのではないでしょうか。理論や理屈を超えて、「これこそが正しい」とひた走ることができたからこそ誰とも競合することなくアニメである前にジブリであることができたのではないでしょうか。

nikonikoニコニコ動画はダジャレが育てた…?

宮崎さんのエピソードはいささか超人過ぎる話でしたが、カドカワ株式会社代表取締役社長、株式会社ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さんの「ニコニコ哲学」という本の中で、「超会議」と「町会議」、「ベルファーレ」と「ニコファーレ」、「明治座」と「歌舞伎座」のダジャレに関して以下のように書いています。

“すごくくだらないことが多いんですよね。でもそれでいいんだと思います。論理というのは量が多くなればなるほど、現実を正確にエミュレーションできるんです。そして、その過程で何とか論理を成立させようとするために、色々なことを無理矢理考えますよね。ただの詭弁になっちゃいけないから、ビジネス的にも成立させようとする。
おそらく、多くの人は少ない理屈でビジネスをしようとするから、競争相手がたくさん現れてうまくいかないんじゃないでしょうか。普通は正しい前提の上で、少ない理屈で儲けの仕組みを考えようとしますよね。でも、僕は間違っている前提に立っているので、たくさんの理屈が必要になるんですよ。天動説と一緒で矛盾だらけだから、一杯理屈を考えないと成立しない(笑)
…あと、この方法って、何しろ前提が間違っているから、競争相手が少ないんです。松がっている理屈って多様性があるんですよね。でも、正しい前提の上で論理を組み立てようとすると、同じところにみんながたどり着くから競争が激しくなる。真理ってひとつだけのことが多いですからね。だから僕はビジネス的に有効な方法だと思うな。”

shutterstock_231758533真面目で慎重な判断ほど「普通」に埋もれてしまう

アニメゲーム漫画の起源や宮崎駿さんにまで迫らなくても、川上量生さんのようにダジャレやギャグで「点」を決めて、それを成立されるための論理を逆算で組み立てても自然とオリジナルが出来上がってしまいます。業界の社長さんからも取り立てて自社のアピールポイントがないという悩みを聞きます。そしてそのせいで営業が上手く行かずラインが空いてしまった、と。

なまじ真面目な社長さんほどそこで「確実にどんな会社にアピールできるサンプル」を制作しようとしてしまいますが、どうせやるのであれば宮崎さんレベルで突き詰めるか川上さんレベルで冗談に突っ走るかした方が「相手の記憶に残るもの」を作れるのかもしれません。ちなみに私もこのラクジョブ新聞の更新で毎日日経の記事とアニメゲーム漫画の記事を何とか架橋するというストレッチをかけて記事を書くことにしています。みなさんも営業のための材料がほしい、自社をもっとアピールできる何かがほしいというのであればぜひ参考にしてみてください。また、もしアニメゲーム漫画業界の営業でお悩みであればぜひ一度弊社にご連絡ください。

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