順調に見えた矢先に・・・
今回は業績も順調で、来期に入れば採用の手伝いをお願いしますといっていた会社の事例についてお伝えしていきます。この会社は創業以来ゲームと遊技機の映像制作を中心に行ってきました。もともと代表を含めコアスタッフはゲームの背景制作案件を得意としていて、創業当初はゲーム背景案件を中心に受託をしていたのですが、それだけだとさすがに少ない人数でも仕事が行き渡らないときがあるので、ゲームでも背景以外のキャラやエフェクト、そして遊技機の案件を受注するようになりました。そしてある程度人員もそろい、大型案件も回せるようになって、それまで付き合いのあった遊技機メーカーから大型案件を2年間かけて開発する話が舞い込み順調に進んでいるように見えました。
2014年8月にパチスロに対して大きな規制が入りました。そして続けざまにパチンコにも規制が入り、最終的に2015年は遊技機の案件が一気に止まってしまったのですが、この会社も同じように影響をもろに受けることになりました。メーカー側も社外を使って開発していたラインを一斉に中に振り向け、なるべく外注を使わないように開発をする方針に切り替えました。そのあおりをもろに受けてそれまで40人月分毎月仕事が入っていたところから、2人月まで仕事の量が激減しました。一番厳しい結果になってしまった原因は、メーカー側から発注量を減らすという話が合ったのが、その月の末日直前だったのです。外注先にも断りを入れる必要があるし、社内の人員にも仕事を与える必要があるしと、かなりてんやわんやな状態に一気に陥りました。当然キャッシュフローも一気に苦しくなりましたが、全体的に得意としていた遊技機案件がストップしていたことと、自社のラインを1つの大型案件で埋めていたこともあり、別の案件を獲得するアプローチを一切出来ないでいました。
精神的にも肉体的にも追い詰められたが
そこでまだ資金的に余力がある内にと弊社に相談をしていただきまして、一緒に案件を探していくことになりました。主には映像制作案件を当たっていったのですが、幸いにも過去にゲームをやっていた経験があることから、ゲームの案件も受注できたり、初取引の会社から遊技機案件を受注できて当初は少し空きが出ていましたが、あちこちの会社に片っ端から当たっていくことによって、案件を一気に受注することが出来ました。眠れずに血を吐いて倒れるまであちこち動き回っていた社長も、ようやく落ち着いて眠れるようになったのが一番嬉しかったし、私も安心しました。社長に一番効く薬は仕事を埋めることだと特に実感した出来事でした。
今回いち早く案件を埋めることが出来た理由としては、しっかりとヒアリングして会社の強みもさることながら各スタッフの得意分野や経験年数、希望人月単価など細かいところまで把握したことがあげられます。会社としては得意でも実際に担当するべき人が別案件にとられていて全く出来なかったり、主に案件を任せられる人がいなくて進行管理が機能しなかったり、得意とするテイストのグラフィックではなかったりと、様々な状況が想定できます。そういった細かい部分ですが、とても大事なところをしっかりと押さえて仕事の話を進めていったことにより、案件情報が出た段階で速やかにマッチングするべきか否かを判断できたので、紹介した案件はいずれも気に入ってもらえてどんどんマッチングしていけました。
まずはできると思って挑戦してみる
また会社側でも非常事態として出向でも受託でも何でも良いのでとにかく案件を受注して埋めたいというところが大きかったです。人月もさることながら一番ネックになるのは出来るか出来ないかの判断です。こちらでスキルを把握しているのである程度の部分はわかりますが、最終的にジャッジするのは社長になります。今回案件を紹介すると少しでも出来る可能性があればできると判断してすぐに案件の相談に乗っていったのがとても大きかったと思います。聞いてみると出向のみと言っていた案件が結局受託になったことも多数ありましたし、3人月が3ヶ月といっていた案件の話を聞きに行ってみたら、最終的に他の案件の相談も同時に受けることになり、6人月で半年間の案件にふくれあがったこともありました。仕事が欲しいと言うときにできない、やったことがない案件でも取りに行くという姿勢と、撮った以上は必ず何とかするという覚悟があったからこそ、一気に埋めることが出来たのだと思います。安すぎる案件は受けない方が良いのかもしれませんが、それも将来的につながっておいた方が良いかどうかも含めて考えて、とにかくお客さんと顔をつないで覚えてもらって仕事をもらってさらにその先へつなげていこうという意思がラインの立て直しに一番寄与したと思います。
この会社とつなげると面白そうと言うことで、交流会の場でおつなぎすることがよくあるのですが、後で聞いてみると結局やったことがないから手を上げるのをやめましたという話を何度か耳にしたことがあります。もちろん無責任に仕事を引き受けるのは良くないですが、誰でも最初は初めての仕事があるわけで、そういったものを死にもの狂いで何とかしていくからこそ会社としても人材としてもスキルや経験の幅が広がり、新しい可能性が開けてくるのだと思います。だからやる前からあきらめてしまった話を聞くととてももったいなく思います。まずはできるかもしれないと考えてほしいです。自分の会社なら出来る、スタッフの誰も出来なくても自分自身で何とか出来ると考えてみてほしいです。そこから道は開けてきますし、今までにないすばらしい作品も生まれてくると思います。
地盤をしっかりと固めよう
ラインが一通り埋まったところで、今後の方針としてごく当たり前と言われたら仕方ないですが、2つの取り決めをしました。1つはラインを1種類の案件で埋めないと言うことです。今回のように1社専属の会社みたいにでかいとはいえ一つの案件しかなかったら突然のプロジェクト中止に対応できないですし、いろいろと困ったことになってしまいます。そうしないためにもいくつかの案件、できれば3つ以上の案件を確保しながらラインを埋めることで、入金タイミングの調整も出来ますし、なにより一つがなくなっても他があるので持ちこたえられる期間が延びます。2つ目として、ラインがいっぱいになってしまったとしてもなるべく他の案件、特にジャンルや業界が違うのであればなおのこと受けるようにすると言うことです。今回業界全体に波及するぐらいの大きな問題がきっかけとなって、仕事がとれずに苦労したので複数ラインを動かすとしてもジャンルなどが全く違うとそういった影響を受けにくくなります。それに他の案件を受けておくことで、急遽空いたときの相談も出来ますし、なにより動いていたラインが突然止まった場合は、外注先への発注量を減らして社内で仕事をするようにスタッフの構成を変えれば経営的にも安心です。
うまくいっているときほど、あとで言われると当たり前のことを無視してしまいがちです。うまくいっているときは気づかないのですが、突然トラブルが発生したときに、基本を無視していると対応が出来なくなってしまいます。突然の中止はいつだってあり得る話です。遊技機メーカーも相次いで倒産していますし、ゲーム会社も調子が良いところもあれば悪いところもあります。急に払わないといわれたら大変ですし、裁判で勝てたとしても相手にキャッシュがなかったら意味がないですし、時間もかなりかかってしまいます。その間を持ちこたえ、元のキャッシュフローに戻すためにも一手どころか二手、三手と保険となる策や安全のための施策はうっておきたいものです。とはいえ、そんなこともすっ飛ばしてしまうぐらい突然の自体という場合もあるでしょうし、そんなときはぜひ気軽にご相談下さい。様々な形でフォローをさせて頂ければと思います。
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