アニメ 「ガールズ&パンツァー 劇場版」でみるリアルの追求とその重要性

CWLUjoLUwAAbhRV1今回は、「ガールズ&パンツァー 劇場版」に関して、劇場版のシナリオには触れない程度のレビューとそこから見えてくる今のアニメを見ているユーザーが何を求めているか、こんなアニメが増えるといいなという記事を書きます。ただ一部、戦車スペックやギミックネタはあるので、ミリタリーが好きな人にとっては、「ガールズ&パンツァー 劇場版」を見てからのほうがいいかもしれません。

最近、可愛いキャラクターとミリタリーを合わせたコンテンツのヒット作が多いですよね。ゲームであれば「艦隊これくしょん」、アニメであれば「ガールズ&パンツァー」です。これらの共通点としては、その機種に関して調べ、それを取り込んだ上で制作しているかです。艦隊これくしょんであれば、擬人化しているものの装備の配置や各艦のスペックや経緯も考慮に入れた上で制作されています。そして、艦隊これくしょん以上に機体の再現性を重視したのが「ガールズ&パンツァー」でした。2016年1月14日時点での動員数は、62万2610人、興行収入は9︎億961万5824円に達成し、ロングラン上映中です。

1クール内で完結できなかったTVシリーズ

「ガールズ&パンツァー」は、2012年にテレビシリーズ放送された作品です。テレビ放送の時は、制作が間に合わず、最終的に決勝戦の大洗女子と黒森峰との戦いの放送はシリーズ終了3ヶ月後ということになっていました。しかし、こちらのアニメでの戦車戦のクオリティーの高さが評価され、テレビ版ではストーリー状カットされた2回戦のアンツィオー戦がOVAになり、今回の劇場版につながっています。

戦車のクオリティーに妥協しない

劇場映画を観に行ってまず驚いたのがなんといっても戦車のクオリティーです。この作品には、世界でも人気のミリタリーオンラインゲーム「World of Tanks」の運営会社Wargamingも情報提供しています。そんなこだわりが書かれている記事が以下のものです。

膨大な資料とこだわりで作られた「ガールズ&パンツァー 劇場版」
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20151227_737229.html

スクリーンショット 2016-01-26 13.12.54

引用始め
この劇場版では、Wargamingは「World of Tanks」で集めた資料を提供し協力している。「ガールズ&パンツァー」は劇中で活躍する少女達と共に戦車の描写にも力を入れている。戦車の外見や運用方法、動きの描写だけでなく、車内の細かい描写まで必要とされる。「アメリカのシャーマンに乗っているのに、車内が日本の戦車風ではダメ」なのだ。このため軍事専門家や歴史学者など様々な協力者の助言を受けている。
引用終わり

今回、Wargamingからは8種の戦車に関して資料提供されています。そのうちの2社に関しての経緯が描かれています。そのうちの一つに関しては、「センチュリオンⅠ」です。

引用始め
今回提供した資料の中からピックアップした1つめが「センチュリオンI」。第2次大戦の最後期に作られたイギリスの戦車で、ベルギーの戦闘に参加すべく洋上で輸送中に終戦を迎えたという。このため6両しか作られず、有力な資料となるプラモデルすらガレージキットしかないため、正確な姿がわからなかった。

Wargamingでは社内で資料を募ったところ、イラストがあり、これが映画制作にとても役だった。イラストは細かく内部も書かれており内装などもはっきりわかる。「写真の場合は、暗い車内の場合フラッシュをたくと影でつぶれてしまう場合がある。その点イラストは細部がわかって助かった」と杉山氏は語った。
引用終わり

このように、すごく希少な機種であっても、外見のみならず、車内の構造まで調べた上で、制作しておりました。それでも、専門家から駄目出しをされてまた作り直すということも度々あったそうです。また、戦闘するにつれて、車体が汚れていったり、傷ができていったりするところはかなり良くできていました。

shutterstock_228238513戦車のアニメーションも忠実に
とあるシーンでは、ある戦車が砲撃のために回頭したところ、回頭し過ぎて、バランスを崩し、横転するというシーンがありました。なぜそんなことまで知っているという驚きがいっぱいありました。見栄えを良くするためにド派手なアクションがあったりするものの、決して、その戦車の可動域であったり、動く場所に関して、きっちり守られていた点は、ミリタリー好きが見ても納得の出来ではないでしょうか。元請けのアニメ会社のグラフィニカでも、そういった戦車の知識を持ったアニメーターがいなかったということで、制作当初カラかなり苦労していたそうです。また細部まで表現しないといけないということもあり、使うコンピューターのスペックにも気を使わないと処理がとてつもなく長くなってしまうこともあったそうです。

shutterstock_2781254効果音もすごい。
劇場、序盤でまず圧倒されたのが、最初に戦車が出た時です。戦車が出す走行のキャタピラの音の再現度がかなり高いものでした。それもそのはず、ガールズ&パンツァーで使われている走行音や砲撃音、エンジン音は、できる限り実物を使っているそうです。実際の機種を合わせたかまではわかりませんが、第二次世界大戦時の音声のノイズを消したり、加工したりして当てているということです。ここまでやれば当然より本物に近づきますよね。

※こちらの情報は、ウォーゲーミングジャパン株式会社代表の川島様から伺ったことになります。ウォーゲーミングジャパンは、ガールズ&パンツァー放送初期からコラボ企画やイベントの企画と運営も行っており、今回のイベントの企画や資料提供でも本社との仲介役として携わっております。

戦車に関して、モデリング、アニメーション、効果音それぞれ、これまでのアニメでは考えられなかったレベルにまで資料を集め作成されています。だからこそ今まであまりアニメを見てこなかった人でも、戦車好きであれば見たくなります。「センチュリオンⅠ」の車内を再現した資料は、Wargamingが提供してくれたイラスト以外は、このアニメを見ないと見られませんからね。

shutterstock_234165814今回は、戦車に関してでしたが、アニメ好きにも何かしらほかにも興味を引くものがあるはずです。そこにこだわり、彼らがすでに持っている知識を上回るような情報やネタやアニメ自体のクオリティーを提供できれば、アニメ好きのファンからの口コミで、それに付随したジャンルの新しいユーザーの獲得やより価値の高いアニメの提供ができるのではないでしょうか。アニメ制作において、このリアルさの追求は重要になってくるでしょう。そのためにも今後、異業種とのやり取りが必須となっていくでしょう。どこに行けば専門知識を得ることができるかということ把握する必要があります。そのためにも、広い人脈と情報収集は欠かすことのできないこととなっていくと考えます。

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