2015年ゲームソフトランキング1位は「モンスターハンタークロス」
ファミ通より「2015年の国内家庭用ゲーム市場規模速報」が発表されました。2015年国内ゲーム市場規模は3209.7億円。ソフトランキングのトップは『モンスターハンタークロス』で、ニンテンドー3DSの累計販売台数が2000万台突破したとのことです。市場規模は前年比87.1%で、2007年に過去最高の6876.6億円を記録して以来、毎年前年比約90%に減少を続けています。2007年に比べると2015年の市場は半分以下に減少しています。
2007年のデータを振り返ってみると、
ハードの販売本数
ニンテンドーDS 714万台
PSP 302万台
Wii 372万台
PS3 120万台
X box 25万台
ソフトの販売本数
1位 Wiiスポーツ 191万本
2位 モンスターハンターポータブル 2nd 148万本
3位 はじめてのWii 148万本
4位 ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊 125万本
5位 マリオパーティDS 123万本
それに比べ、2015年は、
ハードの販売本数
ニンテンドー3DS 218万台
プレイステーションVita 95万台
Wii U 82万台
PS4 120万台
PS3 18万台
Xbox One 1万台
ソフトの販売本数
1位 モンスターハンタークロス 244万本
2位 妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊 196万本
3位 どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー 128万本
4位 Splatoon 106万本
5位 ドラゴンクエスト8 空と海と大地と呪われた姫君 86万本
モンハンも大ヒットして一見順調ですが…
ソフトに関しては、2015年のモンスターハンタークロスや妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊は、2007年のWiiスポーツを越えており、決してヒットタイトルがなかったというわけではありません。ただし、2015年のドラゴンクエスト8 空と海と大地と呪われた姫君は100万本を切っている上に、PS2からの移植タイトルでもあり、一部のヒットタイトルを除いてコンスタントなヒットが狙えなくなっている状況がうかがえます。ハードの販売本数から見ても、ニンテンドーDSの714万台を始めとして、X box以外のハードが100万台以上の販売台数を記録しています。ところが、2015年は、ニンテンドー3DSで218万台、PS4で120万台を記録している以外は、100万台以上販売されたハードはありません。また、ニンテンドーDSの累計出荷台数が約3300万台あることからも、ハードそのものの売れ行きが鈍化している様子が見えます。
ハードあってのソフト?ソフトあってのハード?
ゲームを遊ぶためには当然ハードを必要があり、ハードの売れ行きが鈍化してしまうと、必然的にソフトの売れ行きも鈍化してしまいます。その反面、ゲームの場合、遊びたいソフトがあるからハードを購入するという購買理由もあります。実際、11月に登場した本体同梱版の『Wii U スプラトゥーン セット』は、発売から約1ヵ月半でほぼ完売するなど、Wii U本体の販売にも貢献していました。しかし、逆説的に考えると、一つのソフトをプレイするためにハードを買ったきり、新しいソフトを購入しないというゲームソフト全体への購買意欲の低下という現象も見て取れるのではないでしょうか。
ゲームの購買には、特定の「このゲームを遊びたい」という動機と「なにかしらゲームで遊びたい」という二つの動機が考えられ、前者の場合はハードを購入してでもゲームを遊ぶ、後者の場合はスマホでゲームを探してり、リメイクされた楽しさについてある程度の保証があるゲームを遊ぶという傾向に分かれているのではないでしょうか。ちなみに2007年段階でわずか4億円だったソーシャルゲーム市場は、2014年段階で5622億円と約1400倍になっています。それにしても4億円って今だったらランキング上位のタイトルの1か月間の売上以下ですよね…
世界に目を向けてみると見える景色
このように国内の家庭用ゲーム市場は振るっていないのが実情ですが、海外、世界市場に目を向けると、必ずしも家庭用ゲームが不調というわけではありません。PS4の世界販売台数は13年11月の発売から約2年間で3000万台を突破していたり、ニンテンドー3DSが11年2月に発売され5434万台を突破していたりと、順調な売れ行きを見せています。特にPS4は、歴代PS史上最速で販売台数3000万台を突破しており、12年11月に発売されたWii Uの約1000万台に3倍近くの差をつけています。Wii Uはゲームパッドの存在がサードパーティから嫌煙される理由になってしまっています。
MGS5も順調、FFやドラクエなど話題タイトルも開発中
DFCインテリジェンス社から、ゲーム市場の世界的な売上は、2018年度には1000億ドルまでに上るだろうとの想定がなされています。PS4はリリースの際にも日本のメーカーからのローンチタイトルが少なかったこともあり、比較的開発が遅れています。しかし、「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」が初日で1億7900万ドル(約212億6000万円)を売り上げたとの報道もあり、日本初のAAAタイトルが世界的にも受け入れられる証明にもなっている。PS4では、「アンチャーテッド」「DARK SOULS 3」「ファイナルファンタジー15」「ドラゴンクエスト11」「キングダムハーツ3」などの発売も控えています。開発には3~5年近くの期間もザラにあるので、全てのタイトルが2016年内に発売されるとは限りませんが、まだまだ次が控えているという意味では、世界的な伸びしろが期待できます。
サードパーティの姿勢としても、世界的に評価されるゲーム開発が当たり前の姿勢になっています。そしてゲームアプリの売れ行きも拡大を続けているとはいえ、成長率に鈍化の傾向も見えています。将来的には日本をメインターゲットにするのではなく、世界をメインターゲットにしたビッグタイトルのゲームアプリの登場も遠くないのではないでしょうか。日本国内のみに目を向けるのではなく、世界に目を向けるとゲーム業界の未来に対してもまだまだ可能性のある展開が予想されます。
PS VRについての進展はなかったものの…
先日開催された「CES2016」では、VR関連の展示が多い中で、VRコンテンツの最注目格の一角である「PS VR」についての具体的にはありませんでした。ソニーの平井社長からは、「PS VRはゲーム中心のイノベーションです。E3や東京ゲームショウやGDCといった、より適切な「場」がある、ということもあります。デジタルイメージングでいえばPMAを使うこともあるでしょうし、CESを使うこともあります。タイミングとの兼ね合いもあります。」との発言もあり、時流に流されない姿勢が見えます。
また、「商品ジャンルとしては新しくないかも知れないけれど、イノベーションを徹底的に起こしていく」との発言もあり、今後もゲームを始めとした様々な領域でソニーがNo.1をひた走る姿勢が見えます。ソニーが持つ規模の力ももちろんありますが、マーケティングでニッチを狙うゲームばかりでなく、世界に通用する技術の追及こそが最後まで生き残り、世界に対してイノベーションと感動を提供する原動力なのかもしれません。