アニメ会社がゲームパブリッシャーから案件を受注するために必要なこと

shutterstock_100749442ゲーム業界は刻一刻と進化しています

最近ゲーム会社からアニメの会社を紹介してほしいという相談が増えています。今回はなぜゲーム業界でアニメ会社の協力が求められているのかとどういうアニメ会社がゲーム関連の受注を獲得できるのかをお話します。

まずなぜゲーム業界でアニメ会社が求められるようになっているのかについて。ゲーム業界は今大きく変わりつつあります。ゲームと聞いて誰もが最初に思いつくゲームといえば、「マリオ」「ゼルダ」「ドラクエ」「FF」などではないかと思います。これらは専用のハードで遊ぶ家庭用ゲームですが、携帯が普及し、ソーシャルゲームが爆発的な大ヒットになりました。その結果、コンプガチャ問題などの新たな問題も発生したほどの影響力がありました。ソーシャルゲームの市場規模は、7年連続の増加で、4億円だった2007年から、2014年には約1400倍の5622億円に拡大し、2012年にはソーシャルゲームを含むオンラインゲーム市場と家庭用ゲームの市場規模が逆転しています。

shutterstock_255276544いつの時代も技術革新は古いものを淘汰します

そして、このソーシャルゲームの中でも大きな転換が起こりました。それがガラケーでのブラウザゲームからスマホでのゲームアプリへの転換です。ソーシャルゲームという言葉が生まれた当初、その言葉が指すものは、モバゲーやグリーなどのプラットフォームで遊ぶゲームのことでした。当時は携帯でゲームといっても、携帯自体もガラケーでスペックにも限界があり、シンプルなゲーム性とカードイラストをシステムとしたいわゆるポチポチゲーと呼ばれるゲームが主流でした。しかし、スマホの登場が、携帯のスペックを一気に引き上げ、ブラウザゲームからゲームアプリ(ネイティブアプリ)へのネイティブシフトを引き起こしました。今ソーシャルゲーム市場には、かつてポチポチゲー時代に名を馳せていた「怪盗ロワイヤル」「拡散性ミリオンアーサー」などのゲームではなく、「パズドラ」「モンスト」などが代表作になっていることからもそのことは見て取れます。

shutterstock_258721679イラスト1枚10万円、動画1枚……

コンシューマーからポチポチゲー、ポチポチゲーからゲームアプリと変化を遂げつつあるゲーム業界では、もちろん開発物も大きく変わっています。かつてのコンシューマーゲーム時代であれば、ハイスペックなハードの性能を活かしたハイクオリティ、ハイポリゴンの3DCGを作ることができるかというところに重きが置かれていました。ポチポチゲーであれば、ガラケーのスペックでも処理できるような1枚絵のカードイラストが求められました。美麗系、厚塗りと呼ばれるような工数のかかるカードイラストが求められ、イラスト1枚10万円以上という制作単価もザラにありました。しかし、ネイティブアプリになってくると、デバイスの描画力が高くなり、3Dや2Dアニメーションを取り入れることもできるようになりつつあります。この2Dアニメーションの部分がアニメ会社に求められる部分です。

ただし、アニメーションと言っても、通常想像させるような映像としてのアニメーションというよりも、攻撃モーションを数コマで表現したり、専門のツールを用いて動かしたりします。一昔前であれば、Flashの名前を一番よく聞きましたが、近年ではAfter Effects、Spine、SpriteStudio、Live2D、などのツールの名前を聞くようにもなっています。After Affestsは、アニメの撮影や遊技機のオーサリング、コンポジットでも使われるツールなので、アニメ会社でも使っている会社はあると思います。After Affectsの場合は単なるアニメーション編集というだけでなく、エフェクトもつけ見栄えのする演出にすることが求められています。この部分に関しては、印象から言ってしまうとゲームアプリにも遊技機的な煽りの演出が求められるようになっているような印象もあります。コンプガチャや年末年始の「グランブルーファンタジー」のがちゃ問題などから考えてもソーシャルゲームと遊技機をある程度相関性のあるエンターテイメントと考えられるのではないでしょうか。

shutterstock_266689532その働き方で締切守れますか?

また、近年のゲームアプリでは、プロモーション、認知獲得が従来よりも重要視されるようになり、気合の入ったタイトルであれば、CMやPVが制作されることも多くなりました。その際にセル作画で完全オリジナルアニメを制作する需要や素材を組み合わせてモーショングラフィックスを制作する需要が発生します。おそらくこの部分が一番アニメ制作会社としては手を伸ばしたい領域になるようではないでしょうか。

実際ビ・ハイアでもいくつかのゲームパブリッシャーからゲームのアニメ制作の相談を受け、アニメ会社さんをご紹介しています。いくつか紹介する中で感謝されるケースもあれば、「あの会社はちょっと微妙でした」と言われたこともあります。両者の一番の違いはしっかり納期を守ったかどうかです。制作がハードなアニメ業界では、ある程度の遅れが常態化してしまっていますし、業界全体としてもその部分に対してある程度の諦めを持ってしまっていますが、業界外の会社にはその考えは通用しません。納期、締切は絶対です。一度でも納期が遅れてしまえば信頼を失ってしまいます。アニメ版権を原作とした遊技機にもかかわらず、セル作画でなく3Dで映像が制作されるのも一つにはアニメ会社の納期に対する意識があまりに希薄だからだととあるメーカーさんから直接聞いたことがあります。

今はまだゲームアプリのパブリッシャーも転換期、黎明期で大目に見てくれていますが、今のままだといずれゲームアプリもアニメ原作なのに3Dばかりというゲームが多くなっていく未来も想像できてしまいます。そうならないためにも納期を守る、アニメが本業だからと言ってゲーム業界の仕事を舐めてかからない、そう言った基本的で真摯な姿勢こそがゲーム業界がアニメ会社に案件発注を検討している時に一番気にしているポイントです。ぜひ参考にしていただいて案件獲得の参考にしてください。また、案件の情報が欲しいというアニメ会社があれば、まずは一度ビ・ハイアにご相談ください。