アニメ会社さんへ アニメの仕事以外も受けてみませんか

Running for Success. Business illustrationアニメゲーム業界のみなさんこんにちは。ビ・ハイアの床井です。今回はアニメ業界の話題を取り上げて行こうと思います。私は「ラクビジ」というアニメ・ゲーム・漫画業界の営業代行をやっています。業界中の会社の間を行ったり来たりしているのですが、アニメの会社だけはそんなに知りあいの経営者がいません。何故でしょうか。それは慢性的に忙しくしているからです。交流会の誘いをかけても「今は忙しいので」「徹夜作業中なので」そんなセリフばかりが聞こえてくるのです。先日とあるアニメ会社の経営者の方がこんなことを仰っていました。「アニメ業界はとても狭い業界で、なおかつ多重下請け構造になっているので、真夜中にも知りあいの会社から何十枚やってくれ、と電話がかかってくるんです。営業なんてもともとしている暇がありませんよ。仕事でいつも忙殺されているんですから」と。

私はこのセリフにビックリしました。こんな忙しいアニメ業界が今以上に良い業界になっていくため、何をすれば良いのか、この文章では考えました。今忙しいのであれば、使える手段は2つです。1つは売上を高めるという方法です。もう一つは費用を下げるという方法です。費用を下げるという方法は、今回の文章では割愛します。アニメ会社の売上を高める方法について考えたいと思います。

実際の事例を素にお話するのが分かり安いと思いますので、弊社のお客さんであるアニメ会社の事例をご紹介致します。この会社の社長さんは、「今のアニメ会社は先細りで、どう考えても未来は暗い」と考えて弊社に相談をして頂きました。収益源としてアニメだけで無く、他の道を模索していく必要があると考え、営業力の強化が必要だと考えたのです。それから、今までアニメ一辺倒であったのを、遊技機(パチンコ・パチスロのこと)の案件も積極的に受けるようになり、3D部隊を海外に設置するなどして受けられる仕事のレパートリーを増やして行きました。結果的に昔から培った高いレベルのアニメーションという武器は温存しつつも、スマホや遊技機での3D案件も受けていくことで利益構造を大きく改革したのです。

アニメ会社 売上2,000万円を売上2億円に成長させた事例 夢は自社ビルでアニメーターを安心させて仕事をさせてあげたい!

この会社の事例から、私達は何を学ぶことができるでしょうか。第一に、業界がこのままでは先細りだと考え、他の収益源を確保していく必要を認めた事。そして営業力の強化をその解決策だと考えた事が大きなヒントになると思います。この会社は、今でもアニメを続けています。大きく業態変換したわけではありません。

しかし会社が続くためには、より実入りの良い仕事が必要だと合理的に考えたのです。アニメ業界の会社は、何故か自分たちがアニメだけを続けて行く事が正しいし、良いことだと考えている傾向があります。それは自分の仕事に誇りを持っていると言う事ですし、とてもいいことだと思います。しかし会社自体が存続しなくなれば、アニメの仕事さえ続けられなくなるのです。最近中国を初めとしてアニメーターの仕事がアウトソースされるようになってきました。アニメ−ションという日本のお家芸のように思えた事が、海外のスタジオによって代替されることが分かってきたのです。今は動画の仕事だけでも、日本のアニメが好きな人は自分のスキルを磨き続けるでしょう。そうなれば原画を初めとする他の職種も海外の人材と競合することになります。当然仕事の単価は下がるわけで、今の体制が続かなくなるのは、時間の問題です。アニメが好きで、アニメの仕事を続けていきたいのなら、むしろアニメ以外の案件を受ける必要があります。「アニメをやりたい」という目的と、「それなら単価を上げた他の仕事を受ける必要がある」という手段は、何ら矛盾しません。

アニメの仕事と、アニメの会社でも受けられる他の業界の仕事とで、人月の相場がどのくらい違うのか、ご存じですか。弊社で各業界の人月相場についまとめた情報があるので引用しましょう。

2DデザインBusinessman holding briefcase climbing on coins stack to success in rough room

コンシューマーゲーム:人月45~70万円
エフェクトデザイン:人月55~75万円
スマホゲームUI:人月55~75万円
スマホゲーム イラスト:1枚あたり1.5万円〜15万円
CM、映像系:人月50~65万円
パチンコ・パチスロ オーサリング AfterEffects:人月55~75万円

3Dデザイン
コンシューマーゲーム ローエンド:人月55~70万円
コンシューマーゲーム ハイエンド:人月65~95万円
スマホゲーム:人月45~75万円
CM、映像系:人月50~65万円
パチンコ・パチスロ プリレンダ等:人月75~110万円

事例に上げた会社は、パチンコの2D案件、スマホゲームなどについて、今までよりも高人月の案件を受けて行きました。結果として売上を10倍以上に伸ばすことに成功しました。

現在のアニメ業界はこのまま分業が進んでいくと、単価が下がってしまい危険な状況にあります。より利益率の高いビジネスモデルが必要になります。例えばお客さんの中には、地方の町おこしのためにアニメによる広告を活用することで、アニメ会社に太くて安定した収入源を提供したい、という提案をしている方がいました。アニメーションが作れるというのは常人には出来ない、非常に価値のあるスキルです。それを単なるありきたりな技能にするのではなく、会社独自の付加価値を付けていくことが今後は必要になっていきます。この提案の様に、アニメを活かした仕事はこれからいくらでも作り出せるはずです。しかしそんな構造転換をする上でも、今の仕事を回すのに逼迫している状況を抜け出す必要があります。心を亡くすと欠いて忙しいと言いますが、長期的な視野に立った施策を練るのにも、安心して考え事の出来る時間が必要なのです。