国産大好き日本人
ゲームと聞いて、普通イメージされるのは、「マリオ」「ゼルダ」「FF」「ドラクエ」など日本のゲームがほとんどだと思います。しかし、市場調査会社Newzooによると、世界のゲーム市場規模約11兆円に比べて、日本のゲーム市場規模は約12兆円。日本のゲームは認知のうち10%以下が適正なはずなのに、実際に日本人がゲームと聞いて思い浮かべるゲームは90%以上が日本産のゲームです。つまり、国単位で言えば、日本のゲームは圧倒的に地産地消されています。
そして日本のゲームアプリ市場も飽和が近づいています。2012年、2013年と2000億円規模の大幅な成長遂げたゲームアプリ市場ですが、2014年は1000億円程度の成長に留まり、成長率としては約半減しています。
世界に広がるゲーム配信
また、2015年にランキング上位に登場した「Fate/Grand Order」「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ(デレステ)」も「モンスト」「パズドラ」のような大規模ユーザーの少額課金ではなく、小規模ユーザーの高額課金に支えられています。今はそのようなゲームアプリもヒットするかもしれませんが、いつコンプガチャ問題やパチンコ・パチスロの射幸性の規制などのように火がつくとも限りません。日本国内でゲームアプリを展開することは、リリースする会社のリスクにもなりますし、小規模ユーザー高額課金モデルのゲームアプリが増えることは将来的な業界全体のリスクにもなります。ゲームアプリの海外展開は、これからゲームをリリースする会社、すでにゲームをリリースしている会社両方に検討していただきたい可能性の一つです。
もう一度、Newzooの調査を見てみると、3位の日本以上の市場を中国、アメリカが持っています。市場規模は両者とも日本の2倍近くあります。ならばと、中国やアメリカへの展開を考えるかもしれませんが、両者ともに問題があります。中国は何と言っても共産党圏です。政府の高官に賄賂を渡して、便宜を図ってもらうということが、日常的に行われています。また、いくらお金を積んだところで天の一声で全てがひっくり返される可能性があります。
制約の多い中国
また、すでに中国国内で幅を利かせている同業他社に対してもお伺いを立てる必要があります。中国展開の失敗には、ガラケー時代のGREEや最近ではミクシィのモンスト撤退が思い出されます。特にミクシィは中国のゲーム業界最大手テンセントとの業務提携までした大型展開でしたが、最終的には提携解消という結果に終わってしまいました。中国展開はどうあっても中国が儲かるようになっているというのが今のところの見解として合意を得られているのではないでしょうか。
アメリカは中国に比べれば、まだ展開が楽です。先日もとある会社から乙女ゲームのローカライズタイトルが好評なので、今後もIPをどんどんローカライズしたいので協力してほしいという話をいただきました(ローカライズ・カルチャライズが得意な会社はお問い合わせください)。国境は文化の壁とも言いますが、意外にも乙女ゲーが受け入れられているそうで、その中でも特に人気なのが、日本の戦国時代の武将たちが登場する作品なのだそうです。
コアな日本ファンが好んでプレイしているのかもしれません。しかし、抜本的には、日本とアメリカは非常にジャンルの異なった市場を形成しています。今日本のゲーム市場で拡大しているのはゲームアプリですが、アメリカではコンシューマーゲームやPCオンラインゲームがメインです。また、ゲームアプリも「クラッシュオブクラン」(クラクラ)などのストラテジー系や「キャンディークラッシュ」などのカジュアルゲームがほとんどです。25位前後にパスドラ、50位前後にドラゴンボールのゲームなど、日本のヒットコンテンツも善戦程度にとどまっています。少なくとも、中堅規模のパブリッシャーがゲームをリリースするには向かないでしょう。また、韓国もオンラインゲームの国なので、ゲームアプリの展開は難しいです。これらの国々はレッドオーシャンではないにせよ、ある程度ゲーム市場そのものが成熟しており、ゲーム展開そのものが難しいです。
では、どこにゲームアプリをリリースすればいいのか。狙い目としては、台湾などの東南アジアです。台湾は親日の国ですし、日本の文化に対する理解もあります。日本と同じような推移をたどる可能性は高いです。まだまだマーケットも小さいですが、その分大手の会社ではなく、中小企業が小回りを利かせて参入できます。これから成長する市場の先行者利益を得ることもできます。
現段階では小規模な展開に留めておく必要はありますが、芽をまいておくという意味では、東南アジアは狙い目です。最近は東南アジア出身の人を積極的に採用したいという要望を中小のパブリッシャーから聞くことも増えています。ローカライズ・カルチャライズだけであれば、外注でも事足りますが、海外でゲームを運営するとなると現地理解のあるスタッフの採用も重要な課題になります。また、日本の企業はどうしても日本人を採用したがるので、海外出身クリエイターの採用倍率は日本人のそれと比べても低いです。もしゲームの課外展開や外国人クリエイターの積極採用に興味のある会社様は一度ラクジョブ運営のビ・ハイア株式会社にお問い合わせください。