今回のテーマは、綿密な戦略を元に売上を掴む、という話です。このテーマを選んだ理由は、私が企業の倒産について情報を調べていた所、倒産の原因に挙がっている理由が日頃お付き合いしている経営者さん達から聞く話にリンクしていたため、他人事ではないと思い、このテーマを選びました。ここで得た内容を役立て、作品作りに当てる時間が少しでも増えて下されば何よりです。中業企業倒産年報という倒産に関しての情報を公開している「企業共済協会」のアンケートを見ますと倒産した原因の選択肢に以下のようなものがあります。
「販売不振」「放漫経営」「他社倒産の余波」「過少資本」「既往のシワ寄せ」「売掛金回収難」「その他」です。これらの原因が選ばれている理由は、毎年何かの理由で倒産は起きているが、上記項目以上の倒産は未だかって存在しなかったから、となっています。つまり、会社が倒産する原因は毎年特に変わっていません、と言っています。実際にこちらの統計を元に2014年倒産した原因のトップ5を見てみると、1位販売不振、2位既往のシワ寄せ、3位他社倒産の余波、4位5位が同率で過少資本と放漫経営なのですが、こちらのランキングと過去のデータと比べてみても順位に変動はなく、毎年多くの企業が気付けば先輩の経営者達と同じ理由で倒産していることに気付きます。
私が気になったのは、原因が、外部的な要因か、内部的な要因、どちらなのかという点です。GDP低下という日本経済の状況を見た時、1位、2位、3位が外部の影響に左右された理由で埋め尽くされるのは当然の結果と言えるでしょう。合わせて、過小資本はスタートからの無理が祟って結果的に2014年に倒産したとも考えられますから、こちらは既往のシワ寄せに共通する部分だと思うので外部的な理由でしょう。ですから、以上4つに挙げた理由に関しては、外部的な要因と捉えるべきだと思いますので特段注目しませんでした。
しかし、最後の理由に残った「放漫経営」に関しては会社内部で解決する問題です。放漫の意味を国語辞典で調べてみると、気ままにおこない、しまりのないこと、となっています。つまり、何が起きているのか現況把握せずに「何とかなるだろう」と考えていた結果何ともならなかった企業が約1000社に登ったことを意味しています。ただ、例え放漫でもお金さえあれば凌げたでしょうし、売上が上がっていればピンチを凌げたとも言えます。
では、お金をどうにかする方法は大きく分け、売上を立てる、銀行から借りる、の2つです。ただ、昨今の事情ですと自己資本率の関係で貸し渋りが発生している為、資金繰りに苦労している会社に貸す程、銀行側も余裕はありませんから現実的な策は、売上を立てる選択しか残っておりません。弊社ビ・ハイアではこれまで述べ4000社近い会社さんとお付き合いしてきました。その中で、営業をお手伝いしたのが約500社の会社さんです。そのほとんどの会社さんが、何となく紹介した会社さんと会い、何となく仕事を請けていました。これが約500社さんの営業や打ち合わせに何度も立会い目の当たりにしてきた事実です。
では、実際に戦略をどう組み立てていったら良いの?という疑問へは、弊社が実際に取り入れ4000社近くの会社さんと仕事し、各社さんへ伝えて結果が出た方法を紹介します。参考にしてみてください。今回紹介する戦略は「接触回数を意識して好感度を高める」です。ビジネスとはいえ、ロボット同士のコミュニケーションではありませんから、スキルや能力が同じだった場合は当然、自分が良い!という方を選びます。
例えば、彼女にする時は可愛い、綺麗だな、基準は各々あると思います。この時一番良いなという人を選ぶことは間違いないと思います。実はビジネスの現場も一緒です。一番良いなという人が残ります。相場が既に決まっている以上、値段の競争は起きません、次に差が出るのはスキルやクオリティですが、ここも同じレベルだとします、すると最後に判断する材料は、印象です。
クライアント側は今回だけのプロジェクトだけではなく、これから先も長い取り組みをする可能性まで考えて決めていきます。あの人なら定期的にあっても良い、あの人は嫌だ、は必ず出てきます。その時に接触回数の頻度で印象が変わり、発注、失注が変わるとしたら印象を出来るだけ上げておきたいですよね。
実際に、外注担当へ発注先の決め手は?と伺うと、会ってみた際、「最終的にこの人となら仕事したいと思うかどうか」です、と返答されます。この返答だけで、印象を良くするかことが、御社のラインを埋める、埋めないを決めると結び付くことを理解して頂けると思います。
「接触回数を意識して好感度を高める」は元々アメリカの社会学者ロバートザイアンスが提唱した「単純接触効果」という法則が起源となっています。この法則は単純に何回も接触を繰り返すと好意や印象が勝手に高まります、というものです。何回も会えば会うほど印象がプラスに転じていき、結果的にこの人は信用出来る、なんとなく好き、この人なら仕事をお願いしようとなるなら沢山会った方が良いですよね。以下は、ラクビジサービスを使って頂いているC社さんとの会話です。
桜井:「メーカーDさんへ何回の訪問をしましたか?」
担当者さん:「訪問したのは4回です」
桜井:「ちなみに他の会社はどうですか?」
担当者さん:「訪問した所以外だと、メールは送っても返信なし、電話しても音沙汰がなかったので…特に会ってはいません」
このC社さんは、元々システムやWebデザインをメインとしている会社でゲーム事業部を2015年の5月に立ち上げました。ゲーム業界は横の繋がりや、人伝を利用すると繋がりを増し易いという事情もあり、弊社が持っているメーカーやパブリッシャーとの繋がりを利用して、受託、出向共にゲーム開発を増やしていこうと、ラクビジにお申し込み頂いた会社さんです。ちなみに、紹介しているペースは月に2〜3社です。
上記は紹介後の各社さんとのやり取りを伺って今後はどの様にしてゲーム業界へ進出していこうかを決定する会議中の会話でした。代表さん、営業さんのお二人ともメーカーD社とは以前から仕事したいと仰っていたので、私が「単純接触効果」を元にした訪問回数についての話を伝え、何度も会い結果的に仕事になったと凄く喜ばれておりました。他に紹介した会社へは一度も会っていないため、仕事になっていないのも理論通りと言えるでしょう。また、単純接触の補足は長期で時間をかけて会うよりも、短期で何度も会う方が有効というポイントです。想像してみて頂くと、短期間で半年に3回会う人と、1ヶ月に3回会う人だと明らかに後者の方が重要ですよね。仕事の忙しい時間を使ってお互い1ヶ月に3回も会う理由があるとしたら、重要な存在以外考えられません。恋人とどれだけ仕事が忙しくても会うのは、会いたいし、大切な存在だからですよね。相手は外注先が欲しい、新規プロジェクトのパートナーが欲しい、どこか良い所はないかな?となった時、相手の頭に重要な人物として記録されていたら仕事の話がやってくるのは時間の問題です。あとは、御社へ仕事が下りてきた時に請けるか、請けないかの話です。今回紹介した戦略を生かし、御社の営業へ役立てて見て下さい。