TGS2016が開幕!!
昨日、2016年9月15日に『東京ゲームショウ2016』が幕張メッセにて開幕しました。
4日間に渡る会期の幕開けを担う最初の基調講演は、完全予約制で人数制限のあるプレミアム講演「VRマーケットを展望する」でした。
「VRマーケットを展望する」――
詳細→ https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2016/business/forum/index.html#base
スピーカーは下記の通りです。
玉置 絢氏
バンダイナムコエンターテインメント CS事業部
第1プロダクション プロデューサー/ゲームディレクター
伊集院 勝氏
カプコン 開発推進統括本部 CS制作統括 技術研究開発部
技術開発室 副室長
林 誠司氏
セガゲームス コンシューマ・オンラインカンパニー
第3CSスタジオ プロデューサー
Raymond Pao氏
HTC, Vice President
Lochlainn Wilson氏
FOVE, CTO
ソフト側に国内大手ゲームメーカーのVR担当をしている3名を、ハード側にVR機器開発の中でも、独自の技術やセールスポイントを持った会社の2名をピックアップしており、国内外VRの最前線を行くメンツであることは間違いありません。
バンダイナムコでは『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』、カプコンでは『バイオハザード7 レジデント イービル』を、セガゲームスでは『初音ミク VRフューチャーライブ』をVRゲームとして手がけ、今回のTGSの目玉にもなっています。
一方ハード側VR機器開発のFOVEでは、Oculus RiftやViveといったポジショントラッキング式とは違った独自のトラッキング方式、視線トラッキング式VRを開発しています。
手を使わず視点だけで操作ができるという全く新しい概念を作り上げたFOVEへの注目度は高まっています。
また、台湾のHTC社が開発しているViveは、鮮明な映像表現とSteamなどのゲームプラットフォームとの連携の豊富さ、部屋全体をVR空間に置き換えることのできる没入感の深さがポイントのデバイスです。
彼らの英語によるプレゼンテーションを、同時通訳機器を通して耳にするという形式での基調講演となりました。
間違いなく新しく、キーになるコンテンツ
講演の中でソフト側・ハード側両方に共通して出た話としては、
VRはこれからスタンダードになっていくべき革新的なコンテンツであるということです。
その没入感の深さによって、ユーザーにとって全く新しい体験を得ることができることは、一度体験したことがある人なら身をもって感じ取っているはずです。
今までのアニメやゲームのように、現実とは一線を引いた完全なるフィクションとしての楽しみ方ではなく、没入感が加わることによってよりリアルに寄せていくような、今までとは違った世界観の「仮想現実」という場にプレイヤーは身を置くことになります。
それは、いわば今までにない概念に触れていると言っても間違いではありません。
難しさはどこにあるか
そんなVRを作っていく難しさは、現状のゲームでは問題にならなかったような「表現の嘘」についても明るみに出てしまうため、さらなる作りこみが必要であるという部分にあります。
より現実に寄せていく必要があるとはいえ、まったく現実と変わらないリアルさを追求したとしても、それは普段の人間関係と何ら変わりがなくなってしまうので、多少の憧れ要素やフィクションを織り交ぜていく必要があります。
フィクション寄りにすると没入感が減り、リアル寄りにするとゲームである必要性がなくなってしまうというそのさじ加減が難しく、今後その落としどころが出来上がっていくとしたらもう一段VRはブレイクすることになりそうです。
また、普及という意味での課題は、専用の機器が必要なこととなかなか口頭や口コミ、広告等でその体験の素晴らしさを伝えることが難しいという点にあります。現行のゲームやアニメコンテンツでは、PVなどを使用して映像や文章で面白さを伝えるノウハウがたまってきたものの、ことVRとなると、普通の映像を流しているだけでは伝わらない、体感しえない魅力の部分が肝なので今の所は効果的な宣伝手法は「やってみてもらうほかない」というところに止まっています。
「やってみればわかる」にも限界があるため、今回のゲームショウでは試遊をまず第一に据えてはいるものの、ほかの宣伝方法も目下研究中といったところのようでした。
VRのこれから
プレゼンターの中で共通して上がった話題として、今後VRは複数人数でも没入し、仮想現実の中でコミュニケーションが取れるようになっていくという話題でした。
まだ実現はしていないものの、例えば初音ミクのライブに来ているお客さんが全て自分以外の別ユーザーであるとか、手でFPSのゲームをプレイして引き金を引きつつ、視線トラッキングを併用して仲間に目線でサインを送り、チームプレイをできるようにするとかいった遊び方をできるようになれば、一気に仮想現実空間の広がりができます。
現実世界と仮想現実世界の二重生活がリアルになる時代も、すぐそこまで迫っているのかもしれません。