今回の記事では、「FOVE」というVRのヘッドギアについて特集します!PSVRやオキュラスなど、注目を集めるVRギアは複数存在しますが、その中でも特別な存在感を持つ、「FOVE」に現在注目が集まっています。
FOVEは元ソニーコンピュータエンタテインメントに勤務していた小島由香さんが、プレイヤーの視線によってゲーム内のキャラクターと交流し、展開が分岐していくような映像作品を構想した所から始まりました。小島さんが開発したFOVEが、他のヘッドセットと決定的に違う点は、プレイヤーの視線をモニタリングするセンサーが、ヘッドセットの中に直接統合されている点です。余計な設備を増やすこと無く、プレイヤーはVRの世界に浸る事が出来ます。
FOVEはsteamVRに対応しているので、HTCViveのゲームも、FOVEで遊ぶ事ができます。手足を動かしながら映像の中に浸ることのできるHTCのゲームのラインナップをもっとやりこむ事もできるようになります。
「視線同期」が注目される理由
FOVEの技術が注目されるのは、視線の同期という技術の中に、VR映像にとっての重要な可能性が詰まっているからです。視線の動きに伴って、映像も随時補正がかかっていくので、今問題になっている「VR酔い」の問題についてFOVEは有効な解決策を示してくれるかもしれません。また、視線が集まっているところに重点を置いて、映像処理を行えば良いので結果的に画像処理の負担が下がり、映像全体のクオリティアップにも貢献すると言われています。
また、何と言っても視線同期の技術はゲーム内のアバターキャラクター同士の交流を人間味のある物にしてくれます。VRを「新しいコミュニケーションプラットフォーム」と捉えているFACEBOOOK社のオキュラスなどを始め、他のヘッドセットにもこの技術は応用されていくでしょう。VRの抱えるあらゆる問題を一挙に解決してくれる可能性を持っているのが、FOVEの技術です。
そんなFOVEですが、今夏すでに開催されたイベント、「Comic-Con」と「SIGGRAPH2016」では、新しいデザイン案が発表されました。(左の図をご覧になってください。)FOVEの魅力の一つはこの、シンプルで美しいデザインです。開発者が女性であるという事が関係いているのかどうか分かりませんが、PSVRやオキュラスの、ちょっと無骨でメカニカルな印象では無く、すっきりとして、お洒落な印象がありますね。
色々な新しいゲームのアイデアを生みそうなFOVEですが、有力なマーケットの一つは女性向けゲームではないか、と私は思います。FOVEの技術を使えば、ゲームの中のイケメンキャラと至近距離でアイコンタクトすることができます。非常に繊細な心情の機微を表現出来るので、ゲームに留まらないドラマや、映画などの分野でも女性ファンを取り込む事ができるのではないでしょうか。
最後に、FOVEを生かした、非常に上手いビジネスモデルを展開している企業を紹介してこの記事を締めくくります。
〇株式会社テクノブラッド
https://www.technoblood.com/
テクノブラッドは、ネットカフェを通じたVRコンテンツの配給というユニークなビジネスを展開しています。全国のネットカフェ向けに、オンラインゲームなどの導入ソリューションを展開してきたテクノブラッドですが、ネットカフェにVRギアを設置し、個室でまったりとVRコンテンツ楽しめる、というサービスを提供していることで話題を呼んでいます。全国に設置されるヘッドセットこそがFOVEであり(!)、これから少しの時間が経てば、近所のネットカフェに白くてスマートなヘッドセットがお目にかけられる筈です。
ネットカフェに通えば、一本の映画を観たりゲームを等時間プレイするのに、わずか数百円で済みます。高額の初期投資を出して、自宅でVRを楽しむヘビーユーザーは数が限られているでしょう。メインになる30〜40代以上の男性だけで無く、ネットカフェには老若男女があつまります。ネットカフェでFOVEを使った素晴らしい映像作品に触れ、始めてVRに興味をもつ人が大量に出てくるはずです。VRブームに火を付けるのは、PSVRでもオキュラスでも無く、女性のニーズに応えるFOVEになるかもしれませんね。