広告映像の会社がゲームや遊技機業界に参入する時の注意点

Fotolia_97834378_Subscription_Monthly_M

最近テレビを見ない人も多いらしいですね

広告映像の案件をずっと手がけてきた映像製作会社の事例を紹介します。「テレビ離れ」という言葉がよく言われるようになって久しいですが、そのお客さんはテレビCMの本数が減っていく傾向にあることに危機感を覚え、培った技術を応用して仕事を受けていけるゲーム業界や遊技機への参入を考えています。映像製作系の会社でこうした問題に直面している会社は多いのではないでしょうか。特に若年層にテレビを視聴時間は著しく下がっており、浮いた可処分時間がインターネットに向かう形になっています。

NHK放送文化研究所・世論調査部

NHK放送文化研究所・世論調査部

参照https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/broadcast/pdf/150707.pdf

今やテレビで流れているマス向けの情報に触れるよりも、ネットで自分の好きなアプリをダウンロードして楽しんだり、YOUTUBE動画を探して視聴している傾向があり、今後もそれは強まっていくでしょう。当然今まで広告映像を主体に仕事を受けてきた映像製作の会社は、仕事の探し方について考える必要があります。この会社は広告映像で使ってきたハイクオリティなCG映像や実写合成技術をいかし、ゲーム案件案件や遊技機案件を中心に仕事の幅を広げようとしています。今回の記事では、こうしたケースにどんなことを心がければ良いのか、どんなことが障害になるのか、この会社の事例にも触れながらご紹介していこうと思います。

まずはいままで培ってきた技術がどの程度新しい業界に通用するのか、正しく把握している必要があります。新しい業界に対して、いままでの技術で通用するのはどの程度なのか、またいままでの経験や実績の中で何が相手にとってアピールになるのか、ざっくりとでも良いので把握した上で行動を始めてください。やみくもに営業をかけていくのはロスが大きくお勧めできません。この会社の場合には、MAXやMAYAなどの基礎ツールに熟練したスタッフがいるが、Unityには強くない、また360°VR映像についての実績があるというところがポイントでした。案件としては比較的今までの技術の延長上でとっていけるコンシューマ、スマホゲームのモデリングなどを狙っていくが、キャラクター作りなどハードルの高いものには手をださない。またクオリティーの高いVR映像の作れる映像会社は多くないので、ゲーム会社に対するアピールとして使っていく、という方針を決めました。

business image chart and smart phone

まずは算段を立てましょう

次に各業界に対する方針を考える必要があります。クリエイティブ業界、と一口に言っても業界によって仕事の単価も、平均的な納品サイクルも、有効な営業のスタイルもまるで違います。ゲーム業界、遊技機業界と、それぞれの業界に対して対策の仕方が違うので、自分の会社はどんな作戦をとるのかを考えてください。特に全く知らない業界に挑戦していく場合には、業界のクセや仕事の有効な取り方を覚えていくのに時間がかかります。また示せる実績を着実に積み上げていくことも重要です。CG受託会社のセオリーとして、メーカー受けの案件をいきなり狙うのは難しいので、同じくらいの規模か自社より大きい規模の会社と協力体制を作り、短期の仕事でもいいので実績を積み重ねる。

そうして普段からつながりを作っておくことで受けられる案件のグレードを高めていくというやり方があるのですが、示せる実績をしっかりと作っていくことがクライアントに対する信頼感になり、受注する案件の質を高めていく近道になります。実績を積む上で、早期に自社の得意な業界や案件のパターンを早期に見つけ出すことが重要です。各業界のクセを把握した上で、自社で早くに実績の積める業界に集中的に営業していく。これが案件を獲得していく最短ルートなのです。この会社の場合は、スマホゲームのモデリング案件を中心的に拾いつつ、VR系の案件に関心がある会社あれば協業する、という方針をとりました。

各業界の違いを理解して動こう

各業界の違いを理解して動こう

各業界の傾向ですが、遊技機業界は、仕事の単価感は70から80人月になり高額で、仕事の期間としても1年以上になるものが多いです。しかし問題もいくつかあります。まず遊技機は演出のしかたなどについて法規制が入ったり基準が変更になる事が多く、そのたびごとに案件が消滅したり納期がずれ込んで入金が遅くなったりと、不安定さがあります。また、遊技機は全く実績のない会社にとっては難しい業界です。遊技機映像というのは大当たりした時のギミックなど他の業界の案件とは全くタイプの違った映像を作るので、勘が分からないとできないのです。遊技機案件については、最低でも社内のディレクタークラスに遊技機で遊び慣れているスタッフがいることが条件になります。

また、規制による影響や、若年層が遊技機から離れている事により、遊技機業界の規模は縮小を続けており、安定的に仕事を受け続けられるかはわかりません。しかも遊技機案件は製作途中における守秘義務規定があり、製作実績を積んでいくことができません。総合的に考えるとリスクも大きいがリターンも大きい業界だと言えます。ゲーム業界については、まず広告映像系の案件とは仕事の単価感はほぼ同じです。

大きな違いはCMがプリレンダームービーがほとんどであるのに対して、ゲームはリアルタイムである点です。ゲームの映像はCMほど高いクオリティを要求はされませんが、その代わりポリゴン数を落としてもキャラクターの造形をはっきりさせたり背景のクオリティを保ったりと、今までとは違ったノウハウが必要とされます。スマホゲームについては、コンシューマーゲームよりも若干単価は高いです。また、案件の数としても最も多いので、比較的案件を取りやすい業界です。しかしここにも問題があって、業界が比較的に歴史が浅いために、外注担当者がCG会社の相場感をよく把握していなかったり、仕様書を書き慣れていなかったりするために仕事が非常にし辛い案件に当たってしまう可能性があります。

Chart_1668

どの業界にも、問題はつきものです

各業界の特徴をつかみ営業の方針を立てたら、次に重要なのは多くの会社と少しづつつながりを作っていく事です。新しい業界で実績もない状態で、案件をなかなか受けられないのは自然なことです。ここで重要なのは、営業先への接触頻度をできるだけ多くしていくことです。ランチェスター経営戦略の大家、竹田陽一さんが著書で述べている方程式をここで参照しましょう。

(営業マンの成果)=(訪問回数)^2 ×(営業マンの質)

つまり営業における成果とは、営業マンの知識や魅力などの「質」よりも、単純に何回の訪問を重ねたかという「量」に依存する部分の方が大きいのです。新しい業界に挑戦していく際に、実績もなければ業界についての知識もありません。そんな状況でも、マメに訪問したり訪問の回数を重ねるだけで案件の受注をすることは可能なのです。一度面会をした会社にも、もう一度会いに行く。時間がなければ電話をするだけでも良いです。そんな地味なアクションを続けていくことで、着実に会社のネットワークを広げていってください。最初は小さな仕事しか来ないかも知れませんが、それを続けて実績を積んでいくことでメーカー受けの大きな案件にも手が届くようになります。

Fotolia_58414054_Subscription_Monthly_M

一歩ずつ進んでいきましょう