アニメ ゲーム 漫画 採用するなら新卒か中途か。そのメリットデメリットを考える

Fotolia_74571131_Subscription_Monthly_M新卒採用を考える

記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは新卒採用と中途採用、いずれも採用手段としてポピュラーなものですが、それぞれどういうメリットでメリットがあり、どんな会社にはどれが向いているのか、そのあたりについて考えていきたいと思います。まずは新卒採用に関するデータから見ていきます。

引用開始

来春2017年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.74倍と、前年の1.73倍とほぼ同水準(+0.01
ポイント上昇)である。全国の民間企業の求人総数は、前年の71.9万人から73.4万人へと1.5万人増加した(対前年増
減率は+2.1%)。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年41.7万人とほぼ同水準の42.2万人であった(対前年増
減率は+1.2%)。(→詳細は4ページ)

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従業員規模別の学生の民間企業就職希望者数を見ると、従業員5000人以上の大企業を希望する学生は、8.3万
人と前年より1.4万人増加(対前年増減率は+19.5%)した一方、300人未満企業を希望する学生は、9.9万人と前年より
1.4万人減少(対前年増減率は-12.1%)となっている。就職環境の改善を受けて、大企業への就職希望者数が増加し
ている。(→詳細は5ページ)

引用終了

第33回 ワークス大卒求人倍率調査

現時点においてリーマンショック前までにはまだ戻っていないものの、新卒採用に対する意欲は年々増していて、上記のデータからもわかるとおり求人倍率は上昇傾向が続いています。そもそもどうしてこれだけ多くの会社が新卒採用をするのかというと、そのメリットはいくつか考えられます。

まず第一に将来性のある若者を入れることで、社内に新しい風を招き入れたいということと、定期的に若年層を確保することで、会社全体で年齢層が偏らないようにすることができます。そして新卒採用を行うことで、自社の社風にあわせた教育を行うことができ、成長してコア人材として事業を牽引してくれるようになれば会社にとって利益率の高い優秀な人材が出来上がります。また会社規模にもよりますが、多くの人材を大量に確保することも中途採用と比較すると容易に行うことができます。

逆にデメリットとしては、ある程度の数を採用しないのであれば、採用にかかるコストと実際に獲得できた人材の数がアンマッチとなり、費用対効果が悪くなります。また自社の社風にあわせて育成できるというメリットの裏側に、教育できる人が内部にいないと結局のところスキルや経験のない若者が入って育つこともなく、しばらくしてやめてしまうという危険性があります。

中途採用を考える

一方で中途採用についてはどうでしょうか。中途採用の実績についてのデータを見ていきます。

引用開始

2015年度の中途採用実績を対前年増減率でみると、全体では0.5%と採用実績人数は前年とほぼ同じである。
従業員規模別でみると、5~299人企業で-3.2%と減少である一方、300人以上企業においては2ケタの大幅な増加を見せている。中小企業で採用実績数が減少している背景として、一部企業では業績が低迷し採用数を減らしたことだけでなく、採用を実施しても人手不足が前年より進み採用できなかったことがある。

引用終了

tyuto1中途採用実態調査 (2015年度実績)

こちらも新卒採用と同様に採用意欲は活発で、売り手市場になっていることがわかります。採用難が続いていて、なかなか人材が確保できなくて困っているのが現在の状況といえるでしょう。アニメゲーム漫画業界においては遊技機系の映像制作会社は軒並み採用を控えている以外、これまでと大きく採用ニーズが変わったということはありません。優秀な人がいればいつでもほしいというのはどこの会社も同じことですが、いいプログラマーやディレクターなどのマネージャー層の確保に苦戦しているというのはこれまでと変わりがありません。

中途採用におけるメリット、デメリットについても考えていきます。ここまで中途採用をしたがる理由はどんなメリットを想定しているからなのか。一言で言えば即戦力が必要であり教育している暇も教育できる人材も確保できないというのが一番だと思います。欠員補充であったり、急遽増員が必要になったりしたときに中途採用を行ってチームを編成したい、強化したいというのはよく聞く話です。経営的にもお金をかけた人がすぐに稼動して売上をもたらしてくれる方が、費用対効果も出やすくメリットがあるといえます。

逆に中途採用を行うことによるデメリットは、これまでの経験を生かすということはすでにその人なりの仕事のやり方があり、それが自社の社風と合わないとむしろ現場を混乱させ、業務効率が下がる恐れがあります。そして大量に採用するということも難しく、結局のところ少しずつしか採用することができないため、一気に人を増やしたいという場合には向いていません。

ビジネスマン同士の握手新卒採用と中途採用の組み合わせ

これまで新卒採用と中途採用のメリットデメリットをみてきましたが、実際に多くの中小企業では中途採用を中心に、新卒採用に関しては専門学校等に訪問して説明会を行ったり、求人票を送付したりしています。中には新卒採用をしても教えられる人がいないため中途採用のみを粉っている会社もあります。いずれもそれぞれの会社の判断としてされていることなので、一概に正しい、正しくないということはいえません。ですが、中途採用は先ほど引用した調査にも記載されていることとして、2015年度新卒・中途採用実績全体の7割が中途採用でまかなわれています。それだけ中途採用はどの企業においても活発に行われています。そして求人倍率も上がる一方でどんどん採用しにくい状況が継続しているわけです。

sintyuこれ、という武器を持っていない中小企業においては、即戦力の採用をしたくなる気持ちもよくわかりますが、中途採用を行うことによるメリットよりも、3年先、5年先を見据えてすべて新卒にせずとも、中途採用の予算のうち一部でも新卒採用にまわすことで、新卒を確保してほしいと思います。なぜなら、直近では仕事をして足を引っ張るだけかも知れませんが、仕事を覚えていく中で3年後には立派な中堅どころの戦力として活躍しているかもしれないからです。そして新卒採用におけるメリットにもありますが、自社の社風を伝えながらスキルや経験もある人は、どれだけ転職市場を眺めていても見つかりません。採用は中長期視点から検討していく経営課題のひとつですので、中途採用しかしていない起業は新卒採用にも目を向けてほしいと思います。

新卒採用と中途採用それぞれにメリットデメリットがありますが、それらをうまく組み合わせて、両方とも活用するということがまずひとつと、現在の新卒採用市場、中途の転職市場の状況を頭に入れた上で、それでも新卒なのか、それでも中途なのか、その判断をきっちりとしてほしいと思います。

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