記事を読んでいただきありがとうございます。今回は任天堂の株主総会について取り上げて行きたいと思います。去年のゲーム業界を激震させたのは、任天堂の岩田社長が逝去されたというニュースでした。今回の株主総会は、そんな岩田社長亡き後の初めての株主総会です。
君嶋社長を後継とし、新体制になった任天堂は、スマホゲームや映画事業など今までにない方向転換を見せて来ています。今回の株主総会では、そんな任天堂の今後について株主に対して説明が行われました。この記事では、株主総会で交わされた質疑応答の中で「開発費の高騰」についての質疑応答から、任天堂の今後について考えてみました、という記事です。
今回の株主総会において寄せられた質問にはスマートフォン事業への進出や、女性取り締まり役の活躍など、いくつもの話題が上がりました。その中でも、特にラクジョブ新聞の読者であるゲーム開発の企業担当者さんに関連の深いであろう質問がなされました。
任天堂ビジネスの一番の核であるゲーム産業において、今最大の問題というのは1本のソフトにかかる開発費の高騰と開発期間の長期化があると考えているが、この問題に対してどう挑もうとしているのか。
ご存じの通り、ゲームの開発費は最近上昇の一途を辿っています。ハードウェアのスペック向上に伴い、要求されるゲームのクオリティが高くなり、それが開発会社を圧迫しています。その中でも、任天堂はWiiやニンテンドーDSなど、比価のハードウェアに比べれば開発費用を抑えられる仕組みを導入してきました。しかし現在でも市場が求めるクオリティのハードルは上がり続けており、開発費用のトレードオフという問題は、任天堂にとっても重大名問題になっています。
これに対する任天堂の取締役、クリエイティブフェローの宮本さんがの回答がこれです。
どこでメリハリをつけるかという点においては、重厚になりすぎないつくり方も大事ですが、「いかにたくさん売れるソフトをつくるか?」しかありません。私たちのビジネスはどこかで大ヒットするものがあるから、それらが他の失敗を支え、また別のチャレンジができるということになります。その意味では、少なくとも200万本単位で売れるソフトをつくるというのが基本だと思います。日本だけでソフトを販売し、30万本程度の販売では、全然コストを回収できないので、グローバルマーケットを基準にしています。
NXの今後について
「少なくとも200万本単位」というコメントは、なかなかに衝撃的なコメントです。DSソフトの累計売上でも、200万本を超えるものはあまり数が多くありません。最初からグローバルマーケットしか狙うわないとコメントしている以上、国内のゲームディベロッパーも、最初から国外のマーケットを狙うしか、選択肢が無くなってくるという事になります。
現状では、NXはいまだにそのスペックの全貌が明らかになってはいません。しかし各メディアが報じている断片情報によれば、携帯ゲームと据え置き型ゲームが一体になったような新しいゲーム機になる、ということが言われています。
それが現在のDSやWiiと、どのような対応関係になって行くのかは分かりませんが、このコメントからするに、任天堂が次の主力マシンとしてNXを考えていることが分かります。「ゼルダ」や「マリオ」等のキラーコンテンツの最新作は、NXで遊ぶことが当たり前になるでしょう。
それに合わせて国内のゲームディベロッパーにとっても新しい市場が開けると同時に、かかる開発のコストもより高まっていくはずです。企画のバリエーションも増えていくでしょう。NXに任天堂の軸足が移る事で、日本のゲーム業界はどのように転じていくのか、今後もラクジョブ新聞でお伝えしていきます。