ゲーム スマホゲームで農業と貧困問題が変わる? ゲーム開発者にとってのゲーミフィケーションという挑戦について

ゲーミフィケーションについて

今回の記事では、ゲーミフィケーションについての話題を取り上げます。ゲームフィケーションについて初めて知る方もいるかと思います。簡単に説明をすると、ゲーミフィケーションとは「ゲーム作りにおけるノウハウをゲーム以外に応用して、タスクへの集中度を高めたり、課題の解決を効率的にするなどの効果を生む事を言います。ゲームに含まれる魅力やある種の中毒性を、ゲーム出なものにも応用出来るという事が近年分かってきており、社会のあらゆる問題を解決する手段として注目を浴びているのです。

今回の記事では、そんなゲーミフィケーションの応用例に付いて取り上げたいと思います。

スクリーンショット 2016-06-28 12.14.35世界銀行研究所による支援で起ち上がったゲーム「Evoke」

ゲーミフィケーションのもう一つの応用例を見てみましょう。世界銀行研究所(世界銀行の加盟国が、途上国の政策担当者意思決定者と専門的知識を共有し、世界の貧困問題やエネルギー問題について取り組む機関)が開発した「Evoke」というゲームは、2020年に人類が直面するであろう食糧問題、エネルギー問題、水問題等の危機について、10週間の間に他のユーザーと議論や協業をしながらロールプレーイングゲームを通じて課題解決を試みるというゲームです。

プレイヤーはこのゲームに楽しんで取り組む内に、エネルギーや食料の問題について論理的に問題を把握する事ができます。

スクリーンショット 2016-06-28 12.15.39ゲームと農業

ゲーミフィケーションは数年前より注目を浴びている分野で、既にいくつもの応用事例があります。今回の記事では、その中でも特に秀逸なもものをご紹介しましょう。

「株式会社ゾイシア」という会社は、非常にユニークなゲーミフィケーションの応用例を見せています。ゾイシアは「さんちょく!」という名前の、無料の農業体験アプリをリリースしています。「さんちょく!」の中でプレイヤーは、バーチャル農場内において「農園の掃除をする」、「動物に餌をやる」など、状況に応じてコマンド選択をして行く事により、擬似的に農場経営を楽しむ事ができます。面白いのは、ゲーム内のバーチャル農場が現実の農家50社と提携している事です。

ユーザーは、自分で好きな農場を選択し、経営のお手伝いをするうちに、自然とその農場に愛着を持ち、その農家の生産過程に至るまでをつぶさに知る事ができます。ユーザーが育てた作物は実際に農家に発注する事ができ、自宅にリアルな作物を届けてもらう事ができます。

「さんちょく!」は、完全にソーシャルゲームの仕組みを踏襲していますが、課金は一切存在しないモデルになっています。農作物の出荷先が少ないと言う問題を解決することを目的にしており、ゲームは農家に対する1つのアクセス手段なのです。

shutterstock_375281770-330x240ゲーミフィケーションの使い道

ゲーミフィケーションの応用例について2つの例を取り上げて見ましたが、いかがでしたでしょうか。ゲーミフィケーションには、様々な応用方法を考える事ができますが、例として取り上げたような社会的な問題について応用するというのは1つの有効な用途です。

ソーシャルゲームはふとした時間にもプレイする事が出来る手軽さと、ついついのめり込んでしまう魅力とで市場を席巻しました。そんなのノウハウを生かすことで、普段は目先の仕事や生活に限定されがちな視野を広げる事もできます。もちろん、社会的な事柄を何でもゲームにすれば解決するという安直な考え方は避けるべきですが、ゲームの持つ可能性の1つである事は確かです。

日本やアメリカなどにゲーム大国では可処分時間のうちのかなりの部分の時間をゲームプレイに費やすプレイヤーも少なくありません。それは、他のどんな娯楽よりも、ゲームをプレイすることで得られる快楽が勝っているからこそ起こることです。ゲームの1つの長所は、この圧倒的な娯楽性にあります。他方で、ゲームプレイに費やされる時間は、個人に取っても社会に取っても、最も貴重なリソースである事も確かです。社会には解決するのに長期の取り組みが必要になる問題が山積しています。貧困やエネルギー問題はその最たる例でしょう。そうした問題を解決する上で、ゲーミフィケーションは非常に優れた方法です。

Evokeの発案者である、ジェーン・マクゴニガル氏は「ゲーミフィケーションを機能させるには4つの要素が必要だ」と指摘しています。すなわち、(1)自ら達成したいと感じさせるための「しつこいまでの楽観性」、(2)あまり負荷をかけずに新しい能力が得られていく「至福の生産性」、(3)ユーザー同士が自分の居場所を確かめられて、それが次のモチベーションを生み出す「ソーシャル性」、(4)未来や世界といった壮大なスケールを持ち、関わることが楽しくなる「ストーリー性」です。これらが揃って初めて、込み入った世界の問題は、ゲームとして楽しめる問題に変わるのです。

参考記事:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK30021_Q1A330C1000000/?df=2

そして同時に、ゲームで社会をよくするには、高い倫理性も求められるでしょう。深刻な問題を単なる娯楽に終わらせずに、メッセージを伝え、価値をもたらす作品にする必要があるからです。こうした複数の要素を両立し、ゲームを作る事はかなり難しいことには違いありません。しかしゲームの開発者が知恵を絞り、トライするのは充分ばやりがいのある難問だと思います。自分の技術をい生かして、社会に役立つ仕組みを作る人が増えて欲しい!とそう思ってこのこの記事を書きました。