日本時間の6月24日の正午にかけて、イギリスでは、EUに残留するか、離脱するかを問う国民投票が行われました。その上で離脱派が優勢と報じられるやいなや、ドル為替が七円も円高になったり、日経平均株価も前日比1286.33円安の1万4952.02円を記録しました。今回の「英EU離脱ショック」がアニメゲーム漫画業界に与える影響に関しての記事です。
24日の悪夢
(画像がSBI証券ホームページより)
日本時間6月24日、イギリスでは、EUに残留するか離脱するかの国民投票が行われていました。日本時間で明け方より開票作業が行われ、離脱派が優勢と報じられるやいなや為替市場や日経平均株価は大荒れとなりました。円ドル為替では106円後半から99円代と七円もの円高となり、日経平均は前日比1286.33円安の1万4952.02円と2014年10月21日以来の安値水準となり(【号外】英国のEU離脱が決定で日経平均株価が暴落!今後、世界の株式市場と為替レートはどうなる?週明けからの日本株の投資戦略と注意点を緊急解説!)、下がり幅2000年4月17日に記録したITバブル崩壊時(1426円04銭)以来とのことです(日経平均、下げ幅は歴代8位の大きさ 値幅は16年2カ月ぶり大きさ )。
イギリスのEU脱退で
イギリスはEUの中でも英語圏であることもあり、多くの製造業が支社もうけたり、ゲーム業界でもイギリスのゲーム開発会社と提携したりとヨーロッパの足がかりとして進出している企業が多くありました。しかしながら今回のイギリスの離脱により、輸出時の関税が課せられるようになってしまいます。
離脱ドミノ
しかしながら今回のイギリスの脱退は、EU諸国全体へ影響が広がる可能性が出てきております。EU離脱はこれまでにもギリシャ問題をはじめ何度かありましたがこれまで何とか脱退までには至らなかったため均衡が保たれていました。しかし今回、イギリスの脱退をするということで、ヨーロッパ各国でEU離脱の声が上がっています。その中で、次に脱退するのでは囁かれているのが、イタリアです。イタリアではユーロ加入以来、生産性の伸びが事実上ゼロということもありEUに対して否定的な考えが多いとのことです([FT]次の「EU離脱」ドミノ、倒れるのはイタリアだ )。しかしながら、もし今後も第2のイギリスのようにEUを脱退するような国が出てきたとしたら、リーマンショック以上の影響が日本にも訪れるでしょう。
ゲーム業界への影響
日本のゲームメーカーではすでにアメリカやヨーロッパへの海外展開を行っていたり、または行おうとしている企業が多数あります。そのような企業にとってはヨーロッパ戦略を見直す必要があります。加えてゲームへの消費活動にも影響が出てくるでしょう。今回の出来事はイギリスでゲーム開発を行っていなければ直接の影響は小さいでしょう。しかし、イギリスに海外展開している日本企業は他の業種でも多数あります。そちらでの影響が大きければ日本経済全体にも影響を及ぼし、冒頭で説明した株安、円高につながります。もしこの状況が続くのだとしたら日本経済は冷え込み、消費の冷え込みは免れないでしょう。
リーマンショックの時はどうだった
今回のイギリスのEU脱退はリーマンショックのような影響があると書きましたが、実際、リーマンショックの時はどうだったのでしょうか。リーマンショック後すぐに影響が出たというわけではありませんでしたが、消費の冷え込みと共に、ゲームメーカー各社が、開発費を抑えることによって仕事量が減り、ゲームの開発会社からよく仕事がないという相談を受けておりました。これが大体半年から1年ほど遅れて影響が出てきていました。
今後の対策
しかし実際、本当に仕事がなかったかといえばそういうわけではありません。ある会社さんには、仕事が集中し断っているという企業もありました。メーカーにとっては、限られた予算の中と、知っている会社の中で優秀な会社を見つけているということで仕事の集中が起こってしまったということです。そのようなこともあるので、まずは企業に自社の存在を知ってもらうこと、各メーカーとできるだけつながりを持っておくことが重要となってくるでしょう。
イギリスに関税が課せられるのは、正式な手続きを踏んだ後となるので、数年後と言われています。しかしながら第2のイギリスのようにEU脱退がドミノ式に起こってしまった場合、世界経済の低迷による影響の方が早く大きく関わってくるでしょう。その際、仕事探しに困らないためにも、人脈作りや関係性の構築はできる限り広く行っていくことが今回の問題を乗り越える一つの方法ではないでしょうか。