人材の獲得と制作
記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは人材の獲得、確保のために開発会社でできることについて考えていきたいと思います。そもそもなぜ人材を獲得していく必要があるのでしょうか。それは簡単でいい作品を作るためです。いい人材がいればいい作品が作れるのかというとそれは必ずしもイコールにはなりませんが、しっかりゲームが作れない人ばかりが集まってもいい作品が生まれないのは自明の理でしょう。つまりいい作品を作るためには、最低限いい人材を獲得しておく必要があります。実際にヒット作や名作といわれる作品において、あの人がいなかったらできなかった、あの人と出会わなかったらできなかったなど、その作品を作るために集まった人たちの共同作業により完成し、ヒットしたという事例は枚挙にいとまがありません。
有名なタイトルでいえば、『ドラゴンクエスト』シリーズは堀井雄二、中村光一(『ドラゴンクエスト5』まで)、鳥山明、すぎやまこういちといった今では誰もが知っているような人たちで作られています。『ファイナルファンタジー』はスクウェアAチーム(坂口博信、田中弘道、河津秋敏、石井浩一、吉井清史、成田賢、渋谷員子、植松伸夫他)によって制作され、各スタッフがのちに『聖剣伝説』『サガ』シリーズを作ったことからも、当時のクリエイターが結集した作品でした。その後ヒットを連発し現在に至ることについては説明の必要もないでしょう。そのほか『メタルギア』シリーズの小島監督など、有名なタイトルとともにクリエイターにも注目が集まるようになってきました。
メーカーがしている施策
人材の獲得に関してはどこのメーカー、どこの開発会社においても至上命題であり、一人会社でやろうとしているわけではない限り、必ず採用活動を行っています。一般的にはメーカーでも開発会社でも、求人広告媒体を利用して求人を出したり、人材紹介会社を利用して人材を獲得していたりしています。それ以外に独自に行っていることの一例としては、開発会社を丸ごと買ってしまったり、1チーム単位で買ったり、社員が知り合いを紹介することで紹介した社員にボーナスが出たり、様々なことを行っています。
直近の事例でいうと、株式会社Cygamesが背景制作で有名な株式会社草薙を子会社化しました。『パタポン』など有名なタイトルをいくつも手掛けた株式会社ピラミッドはコロプラグループ傘下になりましたし、『スターオーシャン』シリーズの開発を手掛ける株式会社トライエースも株式会社エヌジェイホールディングスの子会社になりました。『まもるクンは呪われてしまった』などシューティングゲーム開発スタッフで構成された株式会社ガルチもカヤックの子会社となりました。『アーマードコア』シリーズで有名な株式会社フロム・ソフトウェアも角川グループの傘下になりました。
海外に目を移すと、アクティビジョン・ブリザードがキング・デジタル・エンターテインメントを買収しましたし、テンセントはRiot Gamesを完全子会社化しました。直近では『キングオブファイターズ』シリーズなどで有名な株式会社SNKプレイモアが中国の37Gamesに買収されました。またソフトバンク社が以前買収したSupercell社を売却する方向で動いているというニュースもあります。昨年から今年にあった買収事例を調べるだけでも相当な数があります。有名なタイトルはもちろん、それらを作った優秀なクリエイターを確保できるという意味では、一人ひとり個別に採用するよりもチーム丸ごと、会社丸ごと買い取ったほうが時間的にも金額的にもメリットがあります。
とはいえ、買収もさることながらそのほかの先ほど挙げたメーカー独自の採用施策はいずれにおいてもある程度のお金がないとできないことが多いため、これらについてはなかなか開発会社で真似をすることがしにくい例だとは思います。では開発会社としてはどういったことができるでしょうか?
開発会社ができること
独自路線を貫いていきたいという会社に限った話にはなりますが、資金力ではない部分で人材へのアプローチを続けていく必要があります。例えば有名なクリエイターが設立した会社であれば、その人を広告塔にすることである程度の人材獲得ができることが想定されます。事例でいうと株式会社Comceptの稲船さんや小島プロダクションの小島さんなどはその事例に該当すると思います。ゲームを作りたいというときに、誰と作るかというのはとても重要なポイントの一つですので、有名クリエイターがいるのであれば、それを推さない手はないでしょう。
では有名クリエイターも抱えていない場合どうするのかというと、開発環境の良さ、それは福利厚生面ではメーカーに負けてしまうので、それ以外の部分において、ゲーム代が会社で負担しますとか、ゲームイベント参加費は会社で負担しますとか、いろんな手当が出るという方法や、ゲームメーカーではできないような開発における様々な分野の知識が手に入れられることなど、小回りがきくからこそできることを押し出していく必要があります。同じ土俵で戦っても勝ち目はないので、開発会社ならではの部分で差別化を図っていく必要があるでしょう。
実際に開発を経験しないとわからないことかもしれませんが、大手のゲームメーカーではそのほとんどが分業スタイルをとっています。そのため、自分の仕事がかなり狭い範囲で限定されてしまうこともよくあります。逆に開発会社であればそのあたりは幅広い対応を求められることが多いので、ゲーム開発全体に関わりたいという場合には開発会社に行く方が知識や経験としては身につきやすいです。そういった細かい部分や、残業はほぼありません、といった何かしらエッジを立てて求職者にアピールをしていくことが重要です。
そして専門学校などに直接自社のアピールをしに行くことで優秀な人材と直接話せる場を設け、そこでしっかりと良さを分かってもらうという手も重要です。大手ほど専門学校を個別に回るということもあまりないですし、そういった接近戦で個別に伝えていけるというのはかなりの優秀な人材を獲得するうえで有効な武器になります。
最後に自社で採用するということはいったん横において、開発会社でタッグを組むというのも有効な手段です。業務提携を行うことで横のつながりをしっかりと確保し、大きな仕事であってもそのグループ間で連携して開発にあたることができますし、ちょっと空いたときに人員のやりくりがしやすくなります。採用することだけが人材確保の手段ではなく、横のつながりを強化し、一緒に仕事をできる信頼あるパートナーを増やすことも一つの手段として考えてみてはいかがでしょうか。採用面でも横つながりを広げる点においても、弊社では積極的にお手伝いできますので、ぜひ気軽にお問い合わせくださいませ。
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