ゲーム VR 没入感を増すために必要なこと

main_vr_imageVR開発における課題

記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは、VR関連の話です。実際にいくつも開発をこなしている会社の社長と話をする機会があり、実際のところを聞いてみました。すると開発を行っていく上でいくつかの課題があると教えてくれました。フレームレートを120~130出せないと簡単に酔ってしまい、プレイどころではなくなってしまうという話や、実際にゲーム等をプレイするときに通常だと頭を上下左右に動かすことでしか、VR画面上で動かしたりすることができず、VRを開発するハードメーカーによって様々な入力デバイスが開発され、全く統一されていないと言うことなどです。VRというハードそのものも統一されていないので、そもそもの問題はあるのですが、実際にどういった形でコンテンツ世界の動きに反映するのか、頭を振ること以外に出来ることが増えるとそれだけコンテンツ作りにおいても選択の幅が広がります。

特に入力デバイスにおいては、PSVRであればPS4のコントローラーを使うことが出来るとは思うので、視覚はすべてVRによって見ることになり、ゲーム内における細かな動きはコントローラーから入力することで、何かしらのアクションをすることが出来るようになると思います。ただ、あくまでもそこはコントローラーなので実際に手を動かすと言うときにゲームをプレイしているように考えてしまうというか、実際に手を上下左右に動かすことにより、ゲーム内の自分のキャラクターも動くというわけではないので、ちょっと没入感が薄れてしまう懸念もあります。

Young Woman play with the vr device入力デバイスの一つの形

そんな中、ひとつのかたちとして回答が出ました。MicroStar International (MSI) がComputex Taipei開催直前に背負って使用する「バックパックPC」の出展を発表し、そのレポートの記事が掲載されていますので、そちらから一部を引用します。

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Oculus VRやHTC Viveをストレスなく動作させるために、CPUに第6世代のCore i7プロセッサ、GPUにGeForce GTX980を搭載しており、16GBのDDR4メモリとSSDストレージを搭載しています。バッテリーの持ち時間は60~90分とのこと。筐体の大きさは小型のランドセル程度で、重さは約5kg。上部には電源ボタン、4基のUSBポート、HDMI端子などが並んでいます。

筐体側面には排気用の穴が数多く開けられており、手をかざすとかなりの熱量が感じられました。もっとも、背負ったときに背中が直接ふれないよう空間が空けられており、換気用のスリットがつけられています。筐体は左右の肩ベルトと胴ベルトで固定する仕組みで、一度背負ってしまうと、それほど重さを感じることはありませんでした。

デモはHTC ViveとValveの『The Lab』が使用されていました。プレイヤーの周囲から迫りくる敵を、実際に体を動かしながら避けつつ、ハンドコントローラーで狙いをつけて撃退していくというもので、自然と体がくるくる回転する仕組みになっています。これを通常のPCでプレイすると、HMDとPCをつなぐケーブルが邪魔で、体にからまるリスクもあります。しかし本筐体を使うとそうした問題とは無縁で、非常に快適に楽しめました。

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【レポート】VRのケーブル問題を解決する「バックパックPC」のスペックや使用感は?実際に体験してみた

今回の展示品自体はまだプロトタイプの段階で、市場投入はしばらく後になるそうですが、実際に出回る頃にはどうなっているのか非常に楽しみです。値段もそうですし、実際に背負ってまでプレイするのかというところなど、懸念材料もありますが、VRにおいてはまだ始まったばかりの部分も多いので、これから先いろんなメーカーが企画や開発を進めていくことで、次第にこなれていくと思います。

そのほか、各VRハードメーカーごとに入力の形は様々で、VRそのものにボタンをつけて、ボタンを押すことによりアクションを反映するようなものもあれば、今回のレポートにあったように入力デバイスとしてコントローラータイプのものではありながらも、片手で個別にそれぞれ持ち、VR本体とは無線で入力を行えるデバイスもあります。

アニメゲーム漫画業界11月20日VR交流会イベントレポート 日本のVR元年はどうなる?VRは花開くか

VR元年といわれていますが、日本国内だけではなく世界各国においてその動きは加速しています。Facebook社がOculusの買収を発表してから一気にVRに注目が集まってきたと思いますが、それでもまだ加熱してきていると言うだけで、実際に市場に影響があるのかというと微々たるものだと思います。それはハードとして予約しているにもかかわらず手に入っていないという供給の問題もありますし、逆にお金をかけてまでハードを購入してプレイしたいという人がどの程度いるのかという問題もあります。スマートフォンにVRアプリをいれて楽しむという形もありますが、それはそれで入力デバイスとして頭の振りしかないので、共通の入力デバイスが開発されればもっと加速していきそうです。一番の問題はハードの普及と目玉コンテンツであるのは、これまでPS3などのゲームハードや、DVD、Blu-rayといった新規格の競争の時にも起きた経緯からしても当然のことと言えます。

先日ダズル社が夢真ホールディングスと、夢テクノロジーを引受先とする第三者割当増資を行い、合計1.5億円の資金調達と同時にVR事業における戦略的な業務提携契約を締結したと発表されました。他にも水面下でいろいろな動きを行っている会社は多数あると思いますし、実際に私自身が聞いているVR関連の話だけでも10社以上ありますのでさらに加速していくことは間違いないでしょう。一般的に日の目を見るのはもう少し先にはなりそうですが、スマートフォンゲーム開発だけではなく、ゲーム業界の発展の一つの方向性としてVR関連事業はまだまだ目が離せません。弊社でもそういった動きに対して、出資元と投資先をマッチングするイベントも開催していますので、VR関連に興味のある会社、有力な投資先を知りたいという出資元企業、個人の方は気軽にお問い合わせください。そういったところをマッチングすることで、業界が更に発展していけるよう積極的にお手伝いしていきたいと思います。