2016年4月にLINEゲーム内のアイテムに関して通貨に当たるのではないかということで法務局より調査が入っていました。今回はその問題の続報が5月19日の日本経済新聞より、記事となっていましたので、記事の紹介とその影響に関して書かせていただきました。
LINEゲーム内アイテム問題に関して
2016年の4月にLINEゲーム内のアイテムをめぐって、法務局の立ち入り調査が行われました。問題となったのが、LINEゲーム「LINE POP」の「宝箱の鍵」になります。このアイテムは、1本あたり100円相当で販売されており、これが、資金決済法における「前払い式支払い手段」に当たるかということになります。
そして、5月19日の日本経済新聞において、ゲーム内アイテムも通貨として認定するという判断が下されました。
LINEゲームのアイテム、通貨に認定 関東財務局
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H17_Y6A510C1EAF000/
引用始め
無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)のスマートフォン(スマホ)のゲームで使うアイテム(道具)をめぐり、関東財務局が資金決済法上の「通貨」に当たると認定していたことが18日までにわかった。通貨と認定されると、未使用残高が一定額を超えた場合に半額を法務局などに供託する必要がある。ゲーム利用者への影響はないという。
資金決済法は、事前に代金を支払って商品やサービスの購入に使うプリペイドカードや商品券などを「前払い式支払い手段」と位置づけている。前払い式支払い手段では発行会社の破綻に備え、利用者が購入後に使っていない残高が1千万円を超える場合、半分を法務局などに供託することを義務付けている。
同局の認定により、LINEは未使用残高の半分を供託する必要があるが、同社が銀行などと保全契約を結ぶ方法でも代替できる。LINEは「当局の要請で検査の内容や結果などは開示できない」としながらも「(当局の)指摘については誠実に対応する」としている。
引用終わり
現状のゲームアプリのマネタイズ
ゲームアプリのマネタイズに関しては、様々な方法がとられています。以前は、アイテムを直接購入することが多かったため、アイテム購入ごとに毎回課金するという形でした。しかし最近では、直接アイテムに対して課金するだけでなく、ゲーム内仮想通貨や、石などのゲーム内で色々な用途に使えるアイテムを購入するケースが殆どです。このようなマネタイズをとるようになったため、決済の手続きの回数が減り、プレイヤーは、より効率的に課金をしてゲームをプレイできるようになりました。
今回の問題に対して、プレイヤーには殆ど影響はなく、むしろ急な倒産による課金分の損失のリスクが減るということになります。しかし一方で、運営会社は、1000万円相当の前払い金や前払いのアイテムが発生した場合、プレイヤーへの保証金として法務局へ資金を積み立てる必要が出てきました。
今回の通貨認定で、最も問題となること
今回の通貨認定で、影響が出るのは、課金によって石などのゲーム内で課金アイテムと交換可能なアイテムの存在です。このようなアイテムは、課金アイテムとともに、ログインボーナスや運営のトラブルなどの補填として配布されるケースが多く見られます。しかし今回の通貨認定により、このようなアイテムも対象となる可能性が出てきました。ただ現状、課金によって購入したものなのか、運営側から配布されたものなのかは、課金の履歴ベースでしか確認できません。加えて、石のようなアイテムを使って一用途にしか使えない課金アイテムと交換した場合は、もはや課金によって購入したものなのか、運営によって配布されたもので購入したのか判断ができなくなってしまいます。そのような状況になっているため、今後このような部分への明確化のための規制は入ってくるのではないでしょうか。
もし規制になったとしても移行期間による猶予はあるはずですが、そのような事態となった場合は、また新たなマネタイズを考える必要があります。規制によるシステムの変更にかかる時間や変更よりプレイヤーに利便性の低下を防ぐためにも今のうちから規制となり得る部分に関しては対応策を考えておく必要があります。