エンタメコンテンツの海外市場への展開
記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのはアニメや漫画といったコンテンツが海外ではすでに展開されていますが、その中で空白地域ともなっていた中東市場への展開について注目していきたいと思います。みずほ銀行がとりまとめたコンテンツ産業の展望という資料によると、アニメーション制作会社の海外売上高合計は、約144億円とピーク時の半分近くまで減少しています(右下の図参照)。地上波放送や有料チャンネル放送では、「ドラゴンボール」、「ポケットモンスター」等の人気作品は継続して放送されていますが、日本のテレビアニメ番組の放送量は減少傾向にあります。
これまで積極的に日本のアニメや漫画といったコンテンツは海外の市場に向けて展開されてきました。ですが、宗教上の理由で現地で規制が入ってしまったり、海賊版が当たり前のように流通してしまって売れなかったり、様々な原因から思うように売上が伸びていきませんでした。その結果、『ポケットモンスター』やスタジオジブリ作品など一部の有名なコンテンツを残してそこまで広がっていかず、日本企業も海外展開に関しては若干消極的になっています。せっかくのすばらしい文化あコンテンツであるアニメ、ゲーム、漫画といったものたちが海外で楽しまれないというのは非常に残念な状況です。このままで終わって良いはずがありません。では企業サイドではなく、海外にいるアニメ、ゲーム、漫画を楽しんでくれているファンたちの動きはどうなっているのでしょうか?
海外でのアニメ・漫画関連のイベント
ファンの動きとして海外ではいわゆるアニメやコスプレなどのイベントが年間で約1000のイベントが開催されています。具体的な数字などについては、海外でのイベントの状況や中東市場を狙っていく上で参考となる記事から引用します。
引用開始
特に人気なのは東アジアだ。中国で毎年行われる世界最大級の「中国国際動漫節」には約1週間で約140万人(主催者発表)が来場する人気ぶり。日本最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」が3日間で約52万人であることを考えても動員力のすごさは一目瞭然だ。
また、フランスでは「ジャパンエキスポ」が開かれ、日本文化のパビリオンとして定着。人気の波は南米にも波及しており、「アニメフレンズ」(ブラジル)などには多くの現地ファンが訪れる。「聖闘士星矢」や「美少女戦士セーラームーン」などが人気で、熱心なファンは「ラブライブ!」など新しいアニメもチェックしているという。
そしてロシアで日本発のコスプレ人気が続いていることは、メディアを通じてよく知られている。
引用終了
中東からも熱視線! 「進撃の巨人」「Fate」など海賊版の横行を断つには?より抜粋
こうした世界の動きにより今またアニメや漫画、ゲームといった日本発のコンテンツは注目は増え続けている。そし中東地域においてもイベントが開催されるようになり、バーレーンで日本のアニメや漫画などを紹介して、ビジネスにつなげる「クールジャパンイベント」が開催され、2016年も開催が決定しています。毎年参加者は増える一方で、特に産油国の中東地域においてバーレーンやサウジアラビア、アラブ首長国連邦など国民の平均所得も高い上に、屋外の気温が高くインドア傾向があることから、こういったコンテンツを受け入れやすくなっています。
狙うは中東の市場
だったらどんどんうっていけば良いと思ってしまうところですが、実際のところ問題ももちろんあります。それはこれまでマーケットとして扱われなかったということによる海賊版の横行です。正規品を視聴したり、購入するのではなく、現地のファンが立ち上げた海賊版サイトで違法にアニメを見たり、海賊版グッズを手に入れてしまうことにより、実際の版権者にお金が入ってくることがありません。これを解決するためにもまずは正規品が流通する下地を作る必要があります。すべてはそれからと言えるでしょう。
中東地域の今後の市場規模はどれだけ成長していくのでしょうか?同記事によると、「中東の大手メディア出版会社『サウジリサーチアンドマーケティンググループ』の調査では、同地域の2020年の市場規模は、アニメや漫画、ゲームで40億ドル超を見込む。」としています。これからのアニメ、ゲーム、漫画などのコンテンツの展開先として有力な候補となることは間違いないでしょう。国内展開と同時にアジア地域に向けた展開も話を耳にしますが、今後はそこに中東地域も加えていくと良いかも知れません。実際中東地域でゲームを作れるように現地に会社を作って中で始動できる人を募集しますという話も耳にしたことがあります。すでにいくつかプロジェクトであったり、流通のための基盤が準備されつつあるのかも知れません。これからも海外の動向、中東地域の動向についてはウォッチを続けていきます!