アニメ 海賊版の問題点 法整備では限界か? アニメはビジネスであることを周知することが大事!

2016-05-19 11.58.14日本の作品は食いつぶされている

記事を読んでいただきありがとうございます。日本の映像作品や漫画などの海賊版、模倣品による被害というのは、消費者にとってなかなか実感できない問題として存在しています。消費者は文字通り提供されたコンテンツを消費していく立場です。作品を見ているだけではお金の動きが分かるわけでもないですし、テレビで地上デジタル放送など無料で放送されているものに関して言えば、「映画やアニメを観る」という行為そのものに対してお金も発生しません。その作品がどのような経緯でテレビで放送されているのか、どのようなお金の動きで動画配信されているのか、得られたお金がどのように動いて作品が作られているのかということに関心がある人でなければ、現在日本の作品の海賊版被害額がとてつもないことになっているということに目を向けるという可能性は少ないのではないでしょうか。オーディオ・ビジュアル情報専門サイトAV Watchで3月に公開された記事では、海賊版の被害の大きさ、問題の根の深さを感じざるを得ないデータが掲載されています。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20160331_750908.html

(引用開始)

コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、2014年の海外における日本コンテンツの海賊版による被害額(正規版収入への影響額)の把握を目的とした調査を実施。映画/アニメ/放送/音楽/マンガの5ジャンルについて、2014年の海外における収入金額が1,234億円だったが、海賊版による被害額はその2倍を上回る2,888億円と推計した。

’15年に台湾で摘発された海賊版販売サイトの押収物
経済産業省委託事業の一環として行なわれた調査。「海外における収入金額」は、CODAが2015年度に外部調査会社に委託して実施した「海外での日本コンテンツの市場規模調査」に基づく5ジャンルの、実際に企業が得た金額の推計。

(引用終わり)

海賊版による被害額は正規版で得られた利益の2倍です。アニメゲームマンガの業界発展を掲げるラクジョブスタッフの一員としては、この問題は解決されるべき問題であると考えます。

2016-05-19 11.59.26海賊版とアニメブーム

海賊版とアニメという文脈で見ると、日本国内外にその問題は波及しています。その最たるものは違法アップロードによる動画閲覧でしょう。日本では著作権が発生している作品を動画共有サイトなどへアップロードをする行為は違法であり、また、違法と知りながら動画をダウンロードする行為も違法です。しかし海外となると話しが変わってきます。海外では著作権に関する法整備が十分に整っている状況ではないため、アップロード自体が違法になっていないという場合も多いのです。特に中東地域など、最近になってアニメブームが盛り上がりを見せている地域に関しては国によって著作権に対する意識の高まりが見られたのは2000年代に入ってからなので、肝心の視聴者側、消費者側が海賊版や模倣品に対しての問題意識、改善意識は低いです。もう一つの大きな要因はそもそも正規アニメグッズなどの流通ルートが確立していないため、グッズを一つ購入するのにも、海賊版を比較してしまえば余計な時間と余計なお金がかかってしまうのです。

「中東からも熱視線! 「進撃の巨人」「Fate」など海賊版の横行を断つには?」
https://www.sankei.com/premium/news/160519/prm1605190002-n2.html

(引用開始)

複数の業界関係者は「一番の理由は、日本企業側がこれまで中東を『マーケット』として考えてこなかったから」と明かす。

現状の問題点は、海賊版グッズの横行と、現地のファンが海賊版サイトを視聴し、月に計100万を超えるアクセスがあること。しかし、日本の作り手に入る売り上げはほぼゼロに等しい。

(引用終わり)

引用した記事を読んでみると、いかに中東のアニメファンが海賊版でアニメを知り、海賊版のグッズでアニメの世界を楽しんでいるかということが理解できると思います。出発点が海賊版ということになってしまうと、「アニメは無料で観れるもの」「より多くの人に作品を見せられるからいいじゃん」という考え方に発展していくでしょう。そうなってしまうと、改善がより困難になってしまうのです。

bsPAK86_nayamubiz20131223製作サイドにお金が行かなければ意味がない

どの国に限らず言えることですが、著作権の侵害という行為はマナー、モラル、倫理の問題です。誤解を恐れずに申し上げれば、著作権問題は法律で解決できない問題であると考えます。法整備によって「だけ」著作権に関するルールを厳しくすると、「表現の自由」が脅かされる危険性が出てくることになります。さて、ビジネスとしてアニメを作っている製作者サイドとしても「表現の自由」が脅かされる事態になることは絶対に避けたいはずです。表現で勝負を仕掛けているのにもかかわらず、著作権侵害反対!国でしっかり取り締まれ!とだけ喧伝したとしても、役人仕事として可能であり、なおかつ絶大な効力を発揮する行為ということを考えると、できることといえば画一的な規制なのです。

アニメはビジネスであり、利益を出さなければ新しい作品やハイクオリティな作品を生み出すことはできないということを、全力でアピールしなければなりません。中東に対しても適切な流通ルートを設け、そこから購入してくれなければせっかく楽しんでもらえるアニメを作れませんということをしっかりと情報発信をしなければなりません。お金の動きを適切に周知してこなかった業界で衰退の一途をたどっているのが出版業界です。業界全体にお金の動きを言いふらすのはよろしくないという空気が蔓延していたせいで、末端の本屋がどんどん潰れています。アニメもビジネスであり、そのお金の流れを周囲に対してしっかりと認識してもらうべきです。正規品を楽しんでもらうための仕組みづくりとして、動画配信サイトなどへの作品提供などもあげられますが、消費者のマナーが悪い場合はいくらインフラを整備しても解決されません。しっかりとビジネスの上に成り立っているコンテンツなのだということを伝え続ける。これがアニメ業界としてできることであり、表現の自由を脅かさずにできることであると思います。

記事を読んでいただきありがとうございました。

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