アニメゲーム漫画 少子化、高齢化問題に対して真剣に考えよう 人口減少は実は良いこと?

businesskid-330x220日本の少子高齢化問題

日本が抱える大きな課題のひとつに、「少子高齢化」があります。少子高齢化とは子供が少なくなる「少子化」と高齢者が多くなる「高齢化」が同時進行することによって、1.生産年齢人口の減少、2.高齢人口の比率が生産年齢人口と比較して増加し、社会保障体制に維持が困難になるということ、3.子どもが生まれないので、都市部への人口流入によって地方公共団体の人口が簡単に減ってしまい、社会保障維持、雇用確保が困難になるという大きく3つの問題が挙げられます。この観点から、アニメゲーム漫画業界の方々も無関係ではありません。高齢化はともかくとして、少子化は人口減少に直接影響があります。そうなると国内の市場が減少し、子ども向けのアニメゲーム漫画は海外への輸入を今まで以上に強く意識しなければ生き残ることができなくなっていくでしょう。あと40年もすれば日本の人口は1億人を割るという予測が立てられていますから、子ども向け作品だけでなく、大人向け、青少年向けの作品も、海外への輸出を積極的に行わなければなりません。

gahag-0066064626-1少子高齢化は誰のために問題化されたか

しかし、少子化、高齢化って本当に問題なのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。根本的な問題として人口が減ると労働人口が老人たちの面倒を見なければならない、その負担が大きいと漠然とイメージされる方が多いと思いますが、本当にそうなのでしょうか。人口が減ると経済が縮小するというイメージを持つ人もいますが、これも本当にでしょうか。

1990年以降、スウェーデンやフランスでは労働力人口は減少しましたが、労働力低下を生産性上昇で補い、結果経済的な成長を遂げることとなりました。我々日本人の現行の制度のまま、一人ひとりの生産性を上げる努力(それは本人の努力はもちろんそうですが、教育や職業訓練の制度を充実させるなど、制度面での努力も含まれます)もせず、2050年を迎えれば、確かに労働人口が負担する社会保障に関するお金は高くなります。現段階で我々が税金以上に国に対して支払っているものは社会保険料です。国税が42兆円ほどに対して、社会保険料は60兆円ほど支払っています。(参考:小飼弾『本を読んだら、自分を読め』)

要するに高齢者に対して手厚い現行制度のまま人口減少を防ぎつつ、税金や社会保障を市民から徴収したい国によって「少子高齢化」が問題として提案されたのです。そうでなければ高齢者がもらえるお金が減ってしまいます。政治に対して声の大きい人達は高齢者ですから、政治家の方々も無視できませんし、下手に制度をいじくり回して自分たちのせいにされても困りますから、「子どもを生まないのが悪い!」という論理を押し通してきたのです。

gahag-0048575012-1 2デメリットではないかもしれない

労働人口が減少すれば確かに短期的な成長率は低下します。それ故に急激な人口減少は危険だという指摘もあります。労働人口は99年頃から低下し続けている日本ですが、減少によって大きく下がったかといえばそうでもありません。国内市場の縮小というデメリットもあまり根拠はなく、労働人口の減少は長期的に見ると、一人あたりの生産性は上ってくるのです。経済アナリストの森永卓郎さんは「人口増加率と生産性の上昇率は明らかに反比例している」と主張していますし、経済学者の高橋洋一さんは「都市部の過密問題や混雑問題が解消され、環境問題にも人口減少は有効である」という指摘をしています。イノベーションも人口減少時に起こるものであるという指摘もされています。今までの構造で通用したビジネスモデルを転換しなければならないので、より経済活動が活発化するというものです。ネスカフェなどは人口減少を好機と捉え、大きくビジネスモデルを転換させました。(参考:https://www.mugendai-web.jp/archives/2193
経済学という観点から見るとデメリットはさほど無いように聞こえますが、シンプルなところで我々に振りかかる課題として、生産年齢人口に区分されている人が意欲的に働く必要があります。そしてクリエイティブな発想が求められるようになります。いずれにせよ、今までの労働という価値観をひっくり返して、新しい価値を創造するパワーを付けなければ人口減少の際にイノベーションは起こせません。

人口減少とアニメゲーム漫画業界

アニメゲーム漫画も、人口減少はビジネスチャンスであると捉えるべきです。デジタルゲームの最たる市場は今や海外ですから、早いうちから海外へコンテンツを売り込む準備を整えておけば良いのです。ローカライズやカルチャライズ業務などにも活発に取り組み、国産ゲームを海外へ届けることは重要です。アニメの海外輸出量はピーク時よりも少ないですが、動画配信サービスによる配信が盛んになればなるほど、アニメや漫画の価値は多くの人に受け入れられるようなクオリティの高い作品が求められます。また、人口減少によって、同時に多くの人々へ情報を発信する必要がなくなっていくので、テレビが衰退し、現在の異常なまでのアニメ制作本数が減り、製作会社の負担が減れば、クオリティが高いアニメの制作が可能になるのではないでしょうか。マンガ業界は今後ますます電子コミック市場が拡大する予測が立てられていますから、ゲーム業界と同じく海外でも通用するようなコンテンツをネットを通じて世界に広めることを準備しておけば、たとえ国内市場が人口減少によって縮小したとしても乗り遅れることはないでしょう。既存のビジネスモデルが通用しないことは一大事ではありますが、そこにイノベーションのチャンスがあります。なかなか労働環境が変わりにくいアニメゲーム漫画の保守的な風土は、人口減少によって崩れ去るかもしれません。

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