以前、3月24日の日本経済新聞に「残業80時間で立ち入り 政府 対象、300万人に拡大」という記事が掲載され、多くのアニメやゲーム、漫画業界の経営者の方が影響を受けるのではないかという記事を書きました(アニメゲーム遊技機業界の影響は? 残業時間80時間で立ち入りへ)。そして本日の日本経済新聞にもその負担がのしかかるのではないかという記事が掲載しておりましたので紹介させていただきます。
非正規雇用の賃金上げ、正社員の7~8割に 政府原案 一億総活躍プラン
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO00010330T20C16A4MM8000/
引用始め
政府は非正規雇用の待遇改善などを柱とする「ニッポン一億総活躍プラン」の原案を固めた。非正規雇用の賃金を正規の7~8割程度まで早期に引き上げ、欧州並みにする目標を明記した。高齢者の活躍で経済全体の生産性を高めるため、今後5年間を65歳以上の継続雇用の延長と定年引き上げの集中期間と位置づけ、実施した企業には助成金を増やす。5月中旬にまとめ、同月末に閣議決定する。
引用終わり
アニメゲームにおいて
アニメ制作やゲーム開発において、アニメゲーム関連の経営者は少なからず影響を受けるのではないでしょうか。アニメ制作やゲーム開発において、アニメであれば、動画、原画、仕上げ、編集、声あてなど様々な職種の方が一定のスケジュールで作業をしています。ゲームであれば、企画制作、グラフィック、プログラム、デバックとアニメ同様に様々な職種に分かれ、書く職種ごとにスケジュールリングされています。しかし、どちらも常に仕事が一定というわけではありません。スケジュールにより、制作物の量にばらつきがあります。例えばゲームのデバックを例に挙げれば、デバック自体は、ゲームにバグがないかのチェックのため、ゲームの試作品の完成した時や、リリース前にバグがないかの最終チェックをするという職種です。しかしこなす作業量としても試作品のα版、β版のデバック確認よりかリリース直前の方が、データ量やチェック項目が増えるためより多くの人が必要です。それは、アニメーターもグラフィッカーもプログラマーも同じことです。プロジェクト内で必ずリソースの浮き沈みがあります。
経営としては
アニメ会社、ゲームの受託会社にとって重要なのは、いかに効率よくリソースを使いお仕事に結びつけるかです。スタッフを遊ばせるということはそれだけで収益が落ちてしまいます。そのため、ニーズの浮き沈みの大きいプロジェクトにおいて最も人件費を抑える方法は、最低限ゲームを作れる人員でゲームを作り、あとのたりないリソース分に関しては、外部の協力会社もしくは派遣、フリーランス、アルバイトで人員を確保することではないでしょうか。そのため、アニメ業界にもゲーム業界には、正社員でない方が多く働いています。
非正規社員の賃金アップで
今回の非正規社員の賃金に関しては、「ニッポン一億総活躍プラン」の同一賃金
同一労働の観点から来ており、正規社員と非正規社員の格差の是正を目的としています。そしてその基準が、正規社員の7割から8割の賃金ということです。そのため、もともとスキルが高いフリーランスの方で正規社員と同額の賃金を支払っているのであれば問題ありません。しかし、駆け出しのフリーランスやフルタイムで働いているアルバイトに関してはもしかすると正規社員の7から8割の賃金を満たしていないかもしれません。もしそのような場合があるのであれば、人件費は今まで以上に増加してしまうことになり経営にも影響が出てきてしまうでしょう。
前回、記事にした残業時間80時間への引き下げや今回の非正規社員の賃金の増加で、アニメ制作やゲーム開発においての働き方に関して大きく見直す必要がある時期が来ているのではないでしょうか。そのためにもより効率的にアニメ制作やゲーム開発を行う方法を考えていく必要があるでしょう。