クレジットカードを使わなくても購入可
楽天が4月20日に開始したサービス、「楽天マンガ」が注目を集めいています。電子書籍市場は2014年段階で1441億円に登り、売り上げの8割は電子コミックが占めているという状況です。インプレス総合研究所が建てた予測によると、今後も電子書籍市場は成長し続けるという見通しです。出版業界的には紙媒体での出版ができず、書店などが相次いで閉店することで市場の縮小が始まっていますが、電子コミックについては売れ行きは好調です。無料漫画アプリなどの影響で電子書籍で漫画を読むことに対する抵抗感などは減少しているところに、今回の楽天の電子書籍サービス配信です。
https://japan.cnet.com/news/service/35081494/
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楽天は4月20日、電子コミックサービス「楽天マンガ」の提供を開始した。電子図書館の運営でも協業しているメディアドゥと共同で展開。ビューワーの開発や出版社との取次業務はメディアドゥが担当する。
楽天はすでに電子書籍サービス「kobo」を展開しており、コミックも取り扱っている。同社広報に確認したところ、今後もkoboでのコミック配信は継続するとしている。また、koboを運営しているRakuten Koboはカナダの会社のため、キャリア決済が利用できない事情がある。クレジットカードを持っていない若年ユーザーなどにも電子コミックを利用してもらうため、koboとは別のサービスとしてローンチしたそうだ。
(引用終わり)
楽天はkoboという電子書籍サービスをすでに展開していますが、電子コミック限定で別サービスを展開するという箇所に注目があつまります。ニコニコ動画など、若者から指示を得ている動画配信サービスなどは、携帯電話キャリアによる支払いと連携を取っており、中高生などは毎月500円ほどの会員費を払うことで、高画質でスムーズな動画視聴をすることができます。ニコニコ動画は20代までのユーザーで60%を占めており(参考:[TGS 2015]基調講演第2部で語られた,動画配信が切り開く新しい広告戦略とプラットフォームとは)一般的にクレジットカードを持たない年齢層が多く視聴していますが、日本の携帯会社との連携をとることによって若い層の有料会員化を図り、収益を上げることに成功しているといえるでしょう。電子書籍サービスの多くは海外の企業ですから、キャリアでの決済は不可能です。若い層をどのように獲得するかということにおいて、楽天はAmazonに一歩リードしたといえるでしょう。Amazonでキャリア決済できるのは電子マネーサービスである「WebMoney」を通じて購入できるAmazonギフト券のみです。今後はKindleなどでもキャリア決済と連携できるサービスを始める動きが見られるのではないでしょうか。
(画像はkobo公式サイトより)
無料マンガアプリユーザーからの獲得なるか
comicoやLineマンガなど、既存のマンガアプリはすでに事業として成功しているといって良いでしょう。(参考:「LINE マンガ」、1,000万DL・累計売上49億円突破!新たなマンガ流通プラットフォームへ)今回リリースされた楽天マンガは、Lineマンガやcomicoと同じようなサービス体系であり、果たしてこの2つのアプリに遅れをとった楽天マンガが、どのように差別化を図っていくのかということが注目されます。紹介した記事の中では「国内の電子書籍市場の活性化のため」とあります。書店の量が多ければ多いほど、作品を売る側のサービスの競争が起きますし、ユーザーから「どこで見ても一緒」と思われない仕組みを作っていくことは重要です。さらにAmazonなど電子書籍最大手から国内で一歩リードしました。Kindleが日本の電子書籍におけるマンガ市場に対してどのような意識を向けているかはわかりませんが、世界的なシェアNo.1なだけに、日本の一市場に参入するということに対して出遅れてしまう可能性もありますから、国内企業による電子書籍マンガ業界を牽引することになれば、それだけ電子書籍市場の活性化が見込まれます。kindleが攻めてこないうちに、様々な対策を取る必要があります。