朝霞市少女監禁事件の犯人逮捕後の報道
記事を読んでいただきありがとうございます。今回取り上げるのは、2014年3月に行方不明となった埼玉県朝霞市の女子生徒が東京都中野区で保護された事件における犯人逮捕後の報道についてです。現時点での報道ベースなので今後事実と相違する点があるかも知れませんが、簡単にどんな事件かを振り返ってみます。
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埼玉県朝霞市で2014年3月、当時中学1年だった女子生徒(15)が行方不明になり、東京都中野区で保護された事件で、埼玉県警が未成年者誘拐の容疑で逮捕状を取った男が28日未明、静岡県伊東市で身柄を確保された。
(中略)
また、捜査関係者によると、27日に保護された女子生徒は「男と一緒にいた」と話しており、約2年間にわたり監禁された状態だったとみられる。行方不明になった時の状況について「埼玉の自宅近くで知らない男に車に乗せられた」と説明。「外から施錠された部屋にいて、2年間、ほとんど外出しなかった。外出するときもあったが、監視されていた。
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毎日新聞 15歳少女保護 血だらけ容疑者「自殺…カッターで首を」より抜粋
要するに誘拐して自宅に監禁していたが、逃げられて通報され、自殺を図ったが死にきれなかったという事件です。実際にどのように監禁していたのかなど事件に関する詳細な話はこれから出てくると思いますが、現時点だとそういうこととして報道されています。このこと自体は特に問題がありませんというか、事件がありそのことが報道されたというだけの話でしょう。問題なのはその後の報道内容です。
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寺内容疑者の実家は大阪府池田市にある。市立小を卒業後、大阪教育大付属池田中、同池田高に進んだ。高校時代の同級生によると、女子高生が主人公の人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」に熱中し、カバンには同アニメのキーホルダーを付けていたという。
同級生は「アニメが大好きだった。パソコンなどの機械に強く、頭が良かった。昼休みは1人でパソコンをしていることが多かった」と話した。一方でプライベートはナゾに包まれていたようで、この同級生は「普通に会話はするけど、内面にまでは踏み込ませないような雰囲気があった」と証言した。
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日刊スポーツ 女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語るより抜粋
いつからアニメがやり玉に挙がるようになったのか
ここで疑問なのは、なぜアニメに関する報道が必要だったのかということです。今回の事件の原因がアニメの中にある。犯人もそのアニメを見て実行しようと思ったという関連性があるわけでもなく、単にアニメが好きだったというだけの話です。今回の報道で挙げられたタイトルは「涼宮ハルヒの憂鬱」でこれは2011年時点で原作のライトノベルが800万部以上、アニメのBlu-rayも累計50万枚以上セールスされた大ヒットコンテンツです。それだけ有名なタイトルであればアニメを見ていてもそこまで不思議でもありませんし、趣味として楽しむ分に何も問題ないでしょう。
アニメと犯罪がセットで報道されるようになった経緯を調べてみると、一番目にする機械として増えたなと思えるのは、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で逮捕され、死刑となった宮崎勤死刑囚の自宅に大量のアニメがあったというところからアニメと犯罪が結びつけられることが多くなりました。そもそもアニメと犯罪が必ずしも結びつくことはないのは自明の理ですが、なぜそうすることにしたのでしょうか?宮崎勤の自宅にはアニメ以外にもビデオがありました。一番多かったのはアニメで成人向けのビデオや幼女関連のビデオもあったそうです。これをどのように報道するのかはマスコミの発信の仕方次第ですし、その発信の時に恣意的に主張を受け入れてもらうに手を加えてはいけないはずです。そしてそれを受け取る側にも、それが本当のことなのかどうかを吟味して受け取らないと、マスコミの思惑に簡単に踊らされる羽目になります。
アニメやサブカルの考える今後の方向性
東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件報道以降、アニメと犯罪を結びつけたがる風潮は未だに健在です。露骨ではないにせよ、なにかしらこじつけもありつつ犯罪と関連してアニメが報道されています。これは明らかにおかしいことです。アニメ自体が国内の一般的な趣味として受け入れられていないことがその大きな原因にあると思います。アニメが好きだという場合と、旅行が好きだという場合、どちらの方が受け入れられやすいでしょうか。もちろんTPOによって変わってくるとは思いますが、そもそも趣味においては誰かに迷惑をかけていない限り何をしても批判されるものではありません。私も個人的に毒草など毒を持った動植物を調べたりすることは好きですが、だからといってその知識を使って何をすることもなく、単に個人の範囲で勝手に調べて楽しんでいるだけです。当然それを歓迎しない人もいるでしょうし、受け入れてもらう必要はありませんが、批判される必要もありません。
とはいえ、今回のアニメについていえば、すでにビジネスとしても成立しており、国内のみならず世界中の人々に愛され、楽しまれているすばらしい文化です。私個人としても会社としても業界の発展を願い、仕事をしている身として憤慨しています。青少年に与える影響も大きいですし、表現の自由を踏まえた上で、アニメそのものを運用していく必要はあるでしょう。だからといって現状の扱われ方は明らかにおかしい状態です。業界的にも規模としては小さく、アニメと犯罪を結びつけたところで大きな反発があるわけではないという状況から、アニメという文化は全世界に与える影響が大きいのでそのあり方を、これからの時代や世界を作っていく人たちのためにも、考えていこうという形にしていきたいと思います。
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