記事を読んでいただき有り難うございます。今回の記事では、VR関連の大きなニュースを取り上げます。グリー株式会社は、VR関連のスタートアップ企業に向けたファンド、「GVR Fund」を4月8日に設立したという事を発表しました。対象とする企業は特に、北米のVRソフトウェア、コンt年ッ開発に取り組む企業に向けています。総額は1200万ドル、ファンドの出資者は、株式会社ミクシイなども関わっています。
ファンドは既に2016年の1月より投資を開始しており、2社に対して投資を実行しています。投資先の1つは「VRChat Inc」というサンフランシスコの企業で、VR上でのユーザー間のコミュニケーションスプラットフォームの運営会社です。もう一方の企業は「Spaces Inc.」という企業です。VRのハードとコンテンツ両面においてスタートアップ盛んであるVRのホットスポット北米に布陣を張る所から、グリーの本気が伺えます。
今回はグリーがビッグニュースを響かせてくれましたが、日本のVRベンチャーキャピタルはまだまだ数が少ないのも事実です。国内で知られた企業は株式会社gumiの「Tokyo VR Startups」と株式会社コロプラの「Colopl VR Fund」です。「Tokyo VR Startups」は去年2015年の11月に他社に先駆けて設立され、日本国内のVRインキュベーションプログラムを展開しました(現在では期間終了)。コロプラのファンドは最大5000万ドルと規模としては日本最大で、「世界最大のVRファンドになる」事を標榜しています。
これらの会社は動きを見せていますが、世界的に見れば日本のVRキャピタルは活性度が高いとはまだ言えない状況です。左の図表には世界全体の主要なVRキャピタルが表示されていますが、「ROTHERNBERG VRENTURES」や「boost VC」など上位にはやはりアメリカ企業がなを連ねており、出資先の企業数も圧倒的です。10位には韓国サムスンのベンチャーキャピタルがありますが、日本の企業はランク外です。
以上見たように、日本のVR市場は投資の面で遅れをとっています。現在の日本のVR市場について株式会社gumi國光社長が語っているインタビュー記事があるので引用します。
「PANORA VERTUAL RREALITY JAPAN」國光さんインタビュー記事より引用
https://panora.tokyo/3846/
(引用開始)
——なぜgumi自身がVR開発者を抱えて、事業展開しなかったんでしょうか?
國光 前提の話として、おそらく普通にやるとVRは日本が負けて終わる戦いだと思うんです。
——なんと!
國光 日本は明らかに不利ですよね。例えば、Oculus Riftで遊ぶためにはハイエンドPCが必要なのに、そもそも日本にハイエンドPCを持っている人口が少ないし、PS4も日本よりも海外で売れている。普通に考えるとOculus Riftは、欧米のハイエンドなハードを持っている層が、ついでに3万円や5万円払って遊ぶものだと思います。
欧米以外で可能性があるとしたら中国。昔は家庭でハイエンドPCが買えなかったし、ブロードバンドもなかったので、みんなネットカフェに集まっていたのですが、今はお金ができて家でハイエンドPCで遊ぶようになってきたので、VRを使った新しいビジネスモデルが出てくると思います。
日本では、そもそも遊べる環境を持っているユーザーが少ないという絶望的な状況から戦いを始めなければならない。そこで日本のVR開発者がすべきことは、まず欧米か中国で売れるものをつくるという選択肢しかないということです。
——厳しい見方ですね。
國光 儲かると思うから人が集まるし、伸びると思うから投資もされる。それで産業的に成長するという流れがあるけど、今、投資家と話をしていても結局、「日本はVRこないよね……」「そうですよね……」「じゃあまだお金は出せないよね」って感じになってしまう。
このまま行ったときの日本のVRの未来予想図は、遊べる環境を持っているお客さんがいない、だからお金も集まらない、チームも集まらない、という感じで相当遅れると思うんです。そうこうしている間に3~5年経ってしまって、海外でヒットしたコンテンツを持ってきたパブリッシャーが勝つことになる。でも、そんな屈辱的な未来を受け入れられるわけがないじゃないですか。
(引用終了)
この記事で國光さんが仰っているように、日本のVRはユーザー人口が少なく、そもそもお金を集めにくい状況があります。そんなでも海外市場に輸出の出来るハイレベルなコンテンツが生まれ、日本のVR産業自体にお金が回るような流れを作ること、それが出来る環境が構築出来るかかがここ数年の日本の課題となりそうです。VRはまだまだ投資産業であり、収益をどう出すか未知数な部分も大きいので、投資ファンドの存在は非常に大きいと言えるでしょう。今回のようなニュースは今後もラクジョブ新聞で取り上げて行きたいと思います。