募集要項を書き連ねるのが求人ではない!
皆さんが意外と忘れがちなことですが、求人広告はれっきとした「広告」です。広告とは、それを対象に「広く告知する」ために様々な工夫を凝らします。例えば「おしゃれに気を使う、ちょっとませた女子中学生」に対してある服飾ブランドが服を広告したい場合は、その服の影響で彼女の生活がどうおしゃれになるか、どのようなポイントにおしゃれを感じられるか、女子中学生が気にするようなコンプレックスをいかに解消できるかなどについて書き連ねることが正攻法でしょう。しかし求人広告については、あまりそういった手法が意識して取られていないように思います。実は求人広告は広告の仕方によって、1つの同じ職種募集でも5種類以上のバリエーションを作る事ができます。今回は求人の幅と視野を広げるために、そういったお話をできればと思います。
御社の何を推しますか?
ゲームやアニメ、漫画でコンセプトに無かったらかなり致命的だということは皆さんも想像がつくかも知れません。同じように求人もコンセプトがなければ致命的です。ここで言うコンセプトとは「社内の何を推すか」。例えば給与面、または福利厚生面という待遇を推すか、キャリアアップが早いことや提案が出しやすい、採用されやすいというキャリア作りの環境について推すか、手がけている作品の知名度が高くエンドロールに名前を残せる!というクリエイティブ面のやりがいを推すか・・・というだけでもかなり違いが出ます。他にも、美味しいご飯屋さんが近くに多い!とか社内にカフェが!という部分を推す場合もあれば、親会社が大きいのでそう簡単に潰れない!という盤石さを売りにするところも。これだけでもう5種類も作れてしまいました。とにかくスタッフの情熱だけに賭けて作るというパターンもあります。こうしたバリエーションが考えられるなかで、御社は何を推したいか?について考えて頂きたいのです。
人が来ないコンセプト
一方で、人が来なかったり辞めやすいコンセプトというものも悲しいながら存在します。まず「人が来ない」については、コンセプトが広すぎるというもの。方向性としてあれも推したい、これも推したい・・・と欲張ってしまうと、結局ぼんやりした内容になってしまいます。これはアニメゲーム漫画でも同じ事で、対象となるユーザー層がはっきりしないまま作品を作り始めてしまうと、どの年齢、どの性別にも特別刺さるわけではない作品が作られてしまうことになります。求人広告では、欲しい人材として「これくらいの年齢」「こんな経験を詰んでいて欲しい」「こういう性格だと嬉しい」と詳細なイメージが本来あるはずです。誰にでもウケが良さそうな当たり障りの無い言葉は、結果として誰にも刺さらない言葉になってしまうので注意が必要です。
人が辞めるコンセプト
また、人が辞めてしまうコンセプトというのは、本来よりも過剰に広告でアピールポイントを推している場合です。良くある例が「9時〜18時で帰れる!自由な時間を大切にする会社です!」という文句に対して、実際務めてみたら結局未消化の仕事が溜まって22時まで毎日働いている・・・というような状況です。これは実際に強調されたコンセプトと実際の姿が違う、ということで人材離れを起こしやすい例です。そんなことわざわざしないでしょ、と思われるかも知れませんが、意外とこれが多いのです。「求人ならこういうことを書くべきなんだろう」という思い込みが理由となっている場合も多々あるので気を付けて下さい。
誰も魅力に気づいていない?
求人広告を作る際は必ずインタビューを行いますが、この時に「何を推します?」と伺って「こうしたい!」とすぐ答えて下さる会社さんはほとんどいません。あまりこういった視点で求人広告を捉えていないからだと思います。そんな時我々は「クリエイティブのこだわりは?」「社内環境で気を使っていることは?」「職場の皆さんの雰囲気や、定期的なイベントは?」などと様々な方向性から質問をし、その会社さんの魅力を手探りで探します。そして、それはどんな会社でも必ずあるものです。そしてその魅力は決してパターン化されているものではありませんし、会社によって全て違います。求人をかける際に必須である会社の魅力というのは、意外とこうやって外からの目が無いと気づけないのかも知れません。少なくとも「そうは言うけどうちは本当に売りが無くて・・・」という会社さんほど、大手企業は持っていない輝きがあったりするものです。そうして人材は回ってゆきますし、面白いコンテンツも生まれ続けてゆくのです。皆さんが自社の求人を考える時は、自分達が無意識に作っている魅力が本当に存在するとまず信じてみてください。もし信じられない、見つけられないとしたら、その時はお手伝いさせて頂きます。