遊技機回収の行方
記事を読んでいただきありがとうございます。今回は遊技機のなかでも昨年から業界の開発状況を一気に変えてしまったパチンコ台の釘問題の続編について取り上げていきます。釘問題でいくつか気をつけておくべきポイントがあります。それは回収の対象がどの台なのか、いつまでにどのように回収するのか、これからの遊技機開発の方向性はどうなるのか、お客さんが離れていかないか、回収後に置き換える台をどうするのか、置き換える台を誰が負担するのかと軽くあげただけでもこれだけ出てきます。もちろんこれらひとつひとつは業界内で議論され方向性が決められていっています。前回取り上げたのはどの台を回収するのかということで、その第二次リストが発表されました。今回取り上げるのは、置き換える台を誰が負担するのかという話です。
2016年3月16日に全日遊連が理事会を開催し、終了後に日工組の執行部が来場して、「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機」の回収問題で全日遊連理事への説明を行いました。遊技通信Webから記事を抜粋します。
引用開始
全日遊連と日工組では、「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機」の回収問題で、撤去に伴うホールへの補償問題を軸に話し合いを重ねており、席上、全日遊連は「安心して使用できる適正な遊技機との無償交換」を要望。これについて日工組側は応じられない考えを伝えるなどしていた。その一方で日工組は、ホール側の負担軽減措置を各メーカーが責任をもって進めるよう、組合員会議の席上で各社に強く要請したことを明らかにしていた。
阿部理事長は、「無償交換はできませんと言われたものの、ではどうするのかという段階。我々としては、今回の回収・撤去がホールの大幅な費用負担になり、店を閉めざるを得ないところが出てくるような事態は避けたい。また、例えば先に外したところと、これから外すところとで差が出てきても困ると伝えてある。メーカー間の垣根を超えた回収・下取りを行ってもらうなど、前に進むための話し合いをしていきたい」と述べた。
会見に臨席した平川容志副理事長は、「日工組は、補償についてはホールとメーカーとの個別のやりとりで進めるという考えのようだったが、これが団体と団体とで話をきちんと進めていく形ができてきたように思う。理事の方々のリクエストもそうだが、全日遊連としてはまずは格差のない対応を求めている。また、例えば最低下取り価格はいくらにしろといった考え方も、我々にはない。お互いに誠意が確認できるような話し合いを求めている」などと述べた。
引用終了
遊技通信Web 撤去・回収問題で日工組執行部が全日遊連理事会に出席 より抜粋
定まらない方針
結局のところ、遊技機の回収においてホール側が負担するというか、入れ替える台を購入することになると経営的にそもそも入れ替える予定のなかった台を入れ替えることになり、資金面で相当圧迫されることになります。逆にメーカー側が負担することになると、台の無償入替となりそれはそれで多大な費用を計上する必要が発生します。特に入れ替える台の数が多い人気の機種を開発したメーカーほどそういった状況に追い込まれてしまうと言う皮肉な状態になりかねません。メーカー側の資金力が低下すると、さらに新台の開発にも待ったがかかったり、新規の開発自体が中止、縮小と業界全体の動きが相当鈍くなってしまいます。
今回の話し合いにおいても、メーカー側が無償で交換することは出来ないし、かといってホール側もすべて台の入替に関して新台購入と同じ手順で進めるというのは飲めない話です。お互いに厳しい状況に追い込まれてしまっているのは、外から見ても十分伝わってきます。とはいえ、すると決めた以上進めないわけにも行かないので、メーカーの一部負担の基準も特に定まってはいないものの、ある一定のラインもしくは個別協議により、メーカーも通常よりは一部安くする形で徐々に入れ替えることになっていくのではないかと思います。今回の問題の落としどころもメーカーとホールが自主的に回収作業を進めることで、釘問題自体はいったんクリアに仕様という結論ではあったので、ある意味当然の形なのかなと思います。
これからの遊技機開発
ではこれから遊技機の開発自体がどうなっていくのかですが、今回のパチンコについて焦点を当てていくと、結局パチンコは7月にも内規の変更があるのと、5月が概ねサミットによる自粛期間に突入してしまうので、検定を通しても販売できないため、駆け込み需要も落ち着き、次なる台に向けてゆっくりと開発を進めていくことになるのではないかと思います。だからこれまでのようなライン数がメーカー内部はまだしも外注先にまで降りることはないでしょうし、メーカーサイドも新台入替に伴う費用をいくらか少なくない額を計上していると思いますので、今期や来期あたりは予算的にもかなり渋くなるのではないかと思います。
メーカー側がそういう状況なのであれば、開発会社側もいよいよ方向転換を迫れることになり、いくつかの会社で事業の統廃合や会社自体の買収や事業停止が増えてくると思います。特にこのあたりの開発が元の状態に戻ることはなかなか考えにくいですが、それでもある程度コンスタントに進んでいくという状況になるのは最低でも2017年末から2018年以降になるでしょう。今年と来年のほとんどはこの冬の時代をいかに過ごしていきながらも、遊技機開発を継続する場合はメーカーと関係を継続していきながら生き残りを目指していくことになるでしょう。別業界の仕事を受注しつつ、継続的に案件を回したい場合や、まずは上場がほしいという場合は気軽にお声がけ下さい。業界発展のために様々なことをお手伝いをしていきたいと思います。