みなさんがご存知だろうか。世界一の車メーカー、トヨタ自動車が今年の1月に新型プリウスのパーツを擬人化した「PRIUS! IMPOSSIBLE GIRLS(通称・プリガー)」というプロジェクトを始動しました。しかし、2ヶ月経った今でもあまり反響がないこと思えば、現状失策と言えるでしょう。ではこれまでのヒットした擬人化ビジネスと何が違ったのかについて記事にしました。
「プリガー」の目的と現状
今回のプロジェクトの目的は「若年層に車への興味を持っておもらうこと」、「プリウスの性能や魅力を伝えること」です。そして、より若年層に働きかけるために、40点ものパーツに関して、複数のイラストレーターに擬人化を依頼し、主要10パーツに関しては、花澤香菜や悠木碧をはじめとした有名声優を起用し、イメージソングとしてはボーカロイドの人気作曲家に依頼し、展開してきました。この点からも、萌えキャラや声優、ボカロのファンを狙っている点が伺えます。反響の大きさを測る一つの例として、pixivによる2次創作が挙げられますが、2ヶ月がたった3月18日現在で、6件、うち2件は原作のイラストレーターということを考慮すれば、実質4件になります。一方で、2次創作において広く描かれている「初音ミク」は同期間で、1009件と違いは歴然です。
「艦これ」との比較
機械ものの擬人化で最も成功した例はやはり「艦隊これくしょん」ではないでしょうか。現在の登録者数380万人の大人気ブラウザゲームへと成長し、日本一の2次創作の祭典「コミックマーケット」では、長年、最多サークル数を誇っていた「東方プロジェクト」を抜き、最人気ジャンルへと成長しました。では、今回のプリガーとは何が違ったのでしょうか。それは、キャラクター1体1体が持つ情報量の違いではないでしょうか。それは、キャラクターの個性であったり、背景であったりにもつながります。
プリガーの場合、現在公開されている情報は、キャラクターの立ち絵、パーツの説明、セリフ、性格です。しかしこれでは、情報不足です。なにより、せっかく豪華声優を使ってのキャラクター紹介にもかかわらず、パーツの紹介になっていたことやセリフからキャラクターの個性が掴みきれないというところは非常にもったいないと感じました。つまりキャラ立ちしていないということになります。
一方の艦隊これくしょんはその点の情報量がかなり豊富です。イラストであれば、その艦の特徴となる部分を各部に配置したり、性格も艦の性能によって特徴づけられています。例えば、扶桑型戦艦の「扶桑」「山城」は、主砲の火力が最大の特徴のため、背面に巨大な砲塔が搭載されています。性格は、速力がないことを表現するために、おっとりとした性格となっています。一方で、金剛型戦艦は、扶桑型に比べ、装備は軽めですが、高速戦艦と呼ばれるだけあって、割とハキハキした性格の艦が多くあります。そしてもう一点が、時代背景です。例えばその艦がどこの海域に行き戦ったかやどのような出来事があったか、当時、他の艦とはどのような関係にあったかも考慮に入れた上で、艦娘がセリフを話したりします。
艦隊これくしょんは、ここまで綿密なキャラクター設定があったからこそ、おたくの心のみならず、昔からの戦艦ファンにとっても受け入れやすいゲームとなり、コンテンツとして幅広い成長ができたのだと思います。
「ガールズ&パンツァー」との比較
そして、兵器関連をモチーフにしたコンテンツで有名になったのが、「ガールズ&パンツァー」です。昨年暮に劇場版が公開され大ヒットしたり、アニメの舞台と聖地の大洗市は、多くの観光客が増え、町おこしとしては最も成功した一つになります。こちらは、擬人化とは違い、実際の戦車が使われていますが、再現度がかなり高いものになります。戦車の外装のみならず、内装まで正確に再現し、それに加えて走行音や発射音も実際戦時中のサウンド使用したしています。そして先日、劇場版で使用した戦車の中には、あまりにも資料がないため、その国の関係者に関連資料を探してもらい、数枚しかなかったスケッチから内装を再現したなど、細部までとてもこだわった作品となっています。
有名なコンテンツにするためには
今回の成功例にあげた艦隊これくしょんもガールズ&パンツァーも戦艦好き、戦車好きの口コミから話題となって今に至った部分が大きくあります。プリガーもトヨタ自動車として相当の知名度はすでにあるはずです。そのためにも、見た人がすごいと思うような魅力あるキャラクターにしていく必要があります。そのためにも、パーツごとのフォルムや役割を生かした性格や、周辺パーツとの関係性、開発秘話などの背景をどんどん加えることによってより魅力的なキャラクターへと成長していくのではないでしょうか。発表から2ヶ月経ちましたが、まだまだ挽回の余地はあるでしょう。昨年社会現象までなったコンテンツでラブライブ!があります。しかし、1stシングルは434枚、キャラクターの設定も初期とは若干異なる部分もあり、ここまで来るのにかなりの苦労があったと思います。それだけヒットコンテンツを生み出すことは難しいことにもなります。
今後、擬人化や機械関連でコンテンツを作るのであれば、豊富な情報をもとにキャラクターを設定したり、2次元ながらも徹底的にリアリティーを追求する必要が必要となってきているのではないでしょうか。
売上アップの相談、ラクビジの問い合わせは下記からどうぞ