採用できそうで、なかなかできない「女性」
アニメゲーム漫画業界で、女性を見る事はまれです。・・・と言ってしまうと言いすぎかもしれませんが、少なくともゲーム業界は女性の就業割合が全体の1割という少なさなので、1人でも女性を見かけると「ここは女性が多いんだ」とさえ思ってしまうところがあります。ソーシャルゲーム関連の仕事が増えて元広告会社がゲームに参入していた頃は女性も複数見られたのですが、最近のようにゲーム要素が強くなってからはやはり男性が多くなってきたようです。そうすると困るのが「女性向けゲームのスタッフ」採用。何も必ず女性で無ければいけないとは限りませんが、どうしても対象が女性である以上は女性スタッフが好まれる傾向にあります。しかし一体どうすれば採用出来るのか・・・?今回はそのようなお話をしてゆきます。
「女性募集」は違法?!
さて、まず意外と知られていないことなのですが、求人広告に「女性を募集します」と書くことはできません。男女雇用機会均等法の5条には「事業主は、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とあり、性差別的な表現の定義として下記のようなものが厚生労働大臣から禁止されています。
1. 募集・採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること
2. 募集・採用に当たっての条件を男女で異なるものとすること
3. 採用選考において、能力及び資質の有無などを判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
4. 募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
5. 求人内容の説明など募集または採用に関する情報提供で、男女で異なる取扱いをすること
ということは、当然「女性ディレクター採用」という表記はできないのですね。これは採用時に必ず覚えておいていただきたい知識です。
1人も女性がいない会社で採用をする場合
基本、私達は女性を採用したいというニーズに対して「社内にいる女性の方を集めて写真を掲載して下さい」「男女どちらもから職場についての意見を聞いて下さい」といったリクエストを出して女性が応募しやすくなるような雰囲気を作りますが、中には女性が1人も在籍していない会社もあります。そういった場合は、会社がこれから作るコンテンツ(例えば女性向けコンテンツ)についてどういった思いを持っているか、どんな風に役立ててゆきたいかについて熱い想いを語って下さい。結果としてそこに男性のスタッフが来ても、コンテンツとして優秀に機能すれば問題はありません。また、男性で女性向けコンテンツを手がけている方は沢山いらっしゃいます。出来る限り掲載する写真は清潔感を出すなどの小ワザは必要ですが、男女問わず会社からの思いを敏感に感じ取り、受け止められる人材は後々重宝します。
辞職の多い「20代後半ゾーン」をどう乗り切るか
いざ女性のディレクターが採れた!・・・と思っても、注意したいのが「20代後半ゾーン」です。女性が出産を選んだ場合、労働法上もしばらくは休んでもらうことになります。それを機に会社を辞めてしまう人や、中には妊活のため、結婚のために会社を辞めるという人もしばしば。これはどうしても20代の後半という働き盛りの時期に起きやすく、どの会社さんも頭を抱えます。
しかし、1つの解決策としては彼女達が落ち着いた後に戻ってきたいと思わせる職場作りをすることなのです。これで一時的な穴は開きますが、必ず戻ってくるという職場が作られる事で長期的にも良い環境が作られます。後輩となる若手女性スタッフにとっても「安心して戻ってこられる職場なんだ」と印象づけられるとしたら、最終的に良いサイクルが回るのです。
結局採用に必要なのは「思いやり」
いつも申し上げてはいますが、採用に必要なのは何より思いやり。私達は求人広告を使って他人を採るわけです。その人材にとっても、あなたは他人。まず「どう役に立てるか?」の前に「何を与えてくれるか?」を考えるものです。ですから、女性だけでなくありとあらゆる人材を採用する際に、必ず「思いやり」を持って求人をかけるようにしてください。その思いやりは必ず皆さんにも返ってきます。