年収設定は求人を制す・・・のか?!年収が高すぎると求人に良くない理由

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高収入は会社にも人材にも良くない?

ラクジョブで求人のお話をしていると、必ず給与設定についてのご相談を頂きます。「平均的な給与はどれくらいなんですか?」「他の会社さんはいくらくらいに設定されているんですか?」「うちはそんなに高い給与を出せないのですが、本当は高い給与の方が人が来ますよね?」・・・などなど。しかし高給人材を採用するのは、実はお奨め出来ません。正しく言えば「高給であることを謳って採用することはお奨め出来ない」のです。

これはもちろん低給でも人材は気になんかしません!という話ではありません。そもそも給与のみを売りにしてしまった場合、やはり給与だけが目に入っている人材が来てしまいがちなのです。よく「給与は業界平均以上!」などを売り文句にしている求人記事がありますが、あれは結局会社の良さとして給与だけを押し出す形となってしまい、その会社自身の個性や働きやすさ、やりがいを二の次にしてしまっている例です。会社としてはそんなつもりは無いかも知れませんが、人材の目に入ってくるのはその情報のみ。最終的に、もし採用されたとしても他社から更に高い金額を提示されたらそちらに行ってしまうという、辞めやすい人材が採用されてしまいます。

そもそも高収入の人材を採用することは会社にとってもかなりの負担です。毎月のコストを考えると、高給を出せる会社は本当に一握りです。つまり高い給与を売りに出来る会社は殆ど無い上に効果も見込めないのですから、求人の際に給与をアピールしすぎるのは考え物です。平均的な給与で収めるのがベストと言えるでしょう。

Fotolia_77916324_Subscription_Monthly_M平均的給与はどんなものか?(アニメ業界)

・・・とはいえ、中には「あまり求人をしないので、自分達の業界がどれくらいの平均給与なのかわからない」というご意見もあると思います。これから簡単に業界内の平均給与をまとめてみるので、参考にしてください。

まずアニメ業界。全体的に給与が低いと叫ばれがちですが、最も低いのは動画マンでしょう。動画マンの平均給与は歩合制で1枚110円〜といった形のものが多めです。描けば描くほどお金になるシステムですが、修正が入ったりすることで初心者には1枚を仕上げるのも一苦労です。原画になれば1枚あたりが500〜場合によっては2000円くらいになったりもします。動画から原画に上がったばかりであれば、一枚あたりの値段は400円以上、という感じでしょう。

制作進行は大抵若手を採用するからですが、年収250万前後というような新卒採用設定。しかし経験者が欲しいとなると350万付近に浮上することもあります。デスク回りまで任せる、プロデューサーに近い立場ともなれば500万くらいは行くでしょう。しかし、基本的に求人広告で制作進行を採用する場合は20万前後の金額で募集する会社さんが多いようです。

仕上げ職などはバイトに任せるという会社さんもたまにあり、これも制作進行の初期とあまり金額は変わりません。また、仕上げについてはかなり一定的に採用ができるようなので、求人広告をかけるということも少ないのが特徴です。その他の作家クラスになると個人事業主として自分達の値段を決めているため、求人広告でいくらと設定するのは難しくなって行きます。

お金を稼ぐスマートフォン平均的給与はどんなものか?(ゲーム業界)

さて、アニメに比べてゲーム業界はまだわかりやすいのが特徴です。これは職種によってはっきり区別がついており、平均的な棲み分けもできているようですので、箇条書きでご紹介します。また、同じ事が書いてあるものですが、以前に私が書いた下記の記事についても参照してみて下さい。

年収設定 アニメゲームマンガ 人材採用ノウハウ 求人広告の書き方

ゲームプログラマー 316万〜508万
サーバーエンジニア 318万〜556万
2DCGデザイナー 289万〜420万
3DCGデザイナー 330万〜673万
プランナー・ディレクター 290万〜(上限表示無し)
アートディレクター 312万〜
ゲームディレクター 650万〜
ゲームプロデューサー 700万〜

manga knstler zeichnet平均的給与はどんなものか?(漫画業界)

漫画業界において求人広告を使う事はまれです。マンガ家は大抵スカウトしてしまいますし、これこそ給与では来ない業界の最たる例でしょう。逆に編集者であれば応募を募る場合もあります。特に最近はネット上での漫画媒体が増えてきたためにご相談も多くなってきました。この場合、編集者というより「企画立案ディレクター」が欲しい、というパターンであれば350万前後の年収、この道数十年のベテランがどうしても欲しい、という場合は月収で500万くらいまで見る会社さんが多いようです。ただ、編集者も金だけで物事を決めないこだわりがある方が多いので、やはり仕事内容を重視する傾向にあります。

人材が動くのは金ではない

ここまで見てきて薄々ご理解いただけたかもしれませんが、特にこの業界は金銭的な理由で人材が動きにくく、ある種採用がシンプルには進まない印象があるかもしれません。しかし、逆に言えばお金ではなく仕事のやり甲斐を大事にし、よっぽどの低給でなければ会社自身や仕事自身を愛して仕事をする人材が多いとも言えます。業界自身に大きな動きがあり、突然高給を提示してくる大手企業も確かに数年に一度現れますが、そういった会社には残念ながら殆どの人材が長く在籍しません。人材のためになる採用は、何も給与だけでは無いのです。その部分に気を付けて給与設定と求人については考えてみてください。