フジテレビがアマゾンにアニメ配信、ネット事業拡大 日本からテレビアニメはなくなってしまうのか

本日(2016年3月17日)の日経新聞に、以下の題の記事が掲載されていました。

nikkei「フジテレビ、アマゾンにアニメ配信 ネット事業拡大」

冒頭引用「フジテレビジョンは4月から、米アマゾン・ドット・コムの動画配信サービス向けにアニメ番組を提供する。独自制作した新作を独占的に流す。視聴者がアマゾンのEC(電子商取引)サイトで、関連グッズを購入するといった効果も狙う。フジは米動画配信大手、ネットフリックスにも独自コンテンツを提供しており、両社の世界的な配信網を生かしてアジアなどでネット事業を拡大する。」先日も、ゲーム事業を統括する100%子会社「フジゲームス」の設立を発表したフジテレビさん、アニメゲームなどエンタメ系への注力が傾向として見られます。

nikkei_animeアニメ活用の多様化

また、日経新聞の上記の面と同じところに、もう一つアニメ関連の記事が掲載されていました。

「マクドナルド、アニメ使いバイト採用強化」

「■日本マクドナルド 店舗アルバイトを募集する新しいキャンペーンを始めると16日発表した。特設サイトをつくり、新人アルバイトの成長を描いたアニメーションを公開するほか、アルバイトが活躍するエピソードなどを紹介する。声優にAKB48のメンバーを起用して学生らにアピールする。
全国の店舗でポスターを掲示したりチラシを配ったりして知名度を高める。3月は卒業を機に辞める学生バイトが増えるためキャンペーンで採用活動を強化する。」

こちらはマクドナルドがバイト採用のためのプロモーションアニメを制作したという内容です。アニメ制作は、映画『台風のノルダ』などで知られるアニメ制作会社・スタジオコロリドで、「未来のワタシ」というタイトルで3月16日(水)よりYouTubeで公開されています。

また、今回のマックの例以外にも、ディズニーランドやZ会、大成建設などの企業CMがアニメで制作されるなど、アニメCMの制作は着実に増えています。

g02aテレビアニメを作らない選択

また、以前からアニメを用いた映像の仕事として遊技機(パチンコ・パチスロ)の遊技機液晶演出内におけるアニメ制作があります。一般社団法人日本動画協会のアニメ産業市場の調査によると、2013年のアニメ産業市場規模、1兆4913億円のうち、2427億円が「遊興」(遊技機)に分類されており、約16%が遊技機で占められている計算になります。

ところが昨年からの遊技機の規制の影響で、遊技機のアニメ制作の仕事も極端に減っています。結果として、これまで、遊技機のアニメ制作の仕事を多く受けていた会社は、遊技機以外のアニメ制作の仕事に舵を切らざるを得なくなりましたが、それでもテレビアニメを進んで作ろうとする会社は少数です。アニメにしても劇場版の仕事を増やしていきたいという声が多くテレビアニメは倦厭されがちです。

shutterstock_296349863-330x220-300x200テレビアニメはなくなってしまうのか

以前の記事でも取り上げましたが、元々テレビアニメという形自体が、手塚治虫の情熱により完成した形態であり、昨年のアニメーターの給与環境でも話題になった通り、様々なところで無理が生じ始めています。もちろん、新しく立ち上がるアニメスタジオがテレビアニメを手掛けることもありますが、初めからテレビアニメを作らないアニメスタジオとして機能する例も増えています。

アニメCM、劇場アニメ、ネットでのEST配信(セル配信)、ソシャゲ原作アニメ、中国資本などアニメ業界を取り巻く環境は年々複雑化しています。その中でテレビアニメはアニメ業界の中核という立ち位置から徐々に様々な形態の中の一つの形という認識はこれからさらに強くなっていくのではないでしょうか。今回のフジテレビさんというテレビのど真ん中なの会社さんがテレビアニメ以外の形への模索を始めてたことはその一つの象徴なのではないでしょうか。テレビアニメがあった方がいい、なくてもいいというところは、個々人の意見もあると思ますが、少なくともアニメ業界を取り巻く環境は変化を続けています。アニメ業界に携わっている方、テレビアニメという形が好きな方はぜひ一度ご自身でも考えてみてください。

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