「良い人」とは何だろうか
御社に採用のニーズはありますか?というようなご質問をした際に「良い人がいたら欲しい」という言葉は本当によく聞かれます。しかし、ここで言う「良い人」とは何でしょう。人材として申し分無いスキルを持ち、コミュニケーション能力もあり、現在の会社の問題や穴を埋めてくれるようなオールマイティな人材・・・?この「良い人がいれば」という言葉は、曖昧な表現で様々な謎を孕んでいます。
そもそもその「良い人」がいたとして、たまたまその会社を選び応募してくるという状況とは何でしょう。少なくとも多くの会社が「良い人がいたら」と望む中で、御社にだけぴったりの人材が現れて応募してくる状況を作るにはどうしたらよいのでしょうか?今日はこの、よく使われがちな言葉の裏にあるニーズと、そこから練られる求人戦略をお話しします。
「良い人」は何が良いんだろうか?
「良い人がいたら・・・」というのは、表向き人を待っている言葉のようですが、その実は「あまり採用に予算をかけられないから、+αで採用するならよっぽどの人材でなければなぁ・・・」ということになります。ではその「よっぽどの人材」はどうしたら動くのでしょうか?少なくともただ待っていて突然人材が応募してくる、ということはそう簡単にありません。あったとしても名前の知られている大手企業だけでしょう。
しかし、この「良い人」という言葉、スキルが高いというような意味で使われていると思われがちですが、実は会社によって定義が違います。例えば御社にとって「いつかいたら欲しい良い人」とはどんな人材でしょうか?スキルの高い人材、ミスをしない人材・・・そういった特徴はよく出てくるかと思います。しかし、人間的な部分で言ったら?ヒューマンスキルというか、雰囲気や人間性、社風に合うという意味では、いくらスキルが高くても採用に至らなかったり、すぐに退社という事になりかねません。「良い人」を採用する、または「良い人」に応募してもらうには、そもそも人材自身を会社が定義する必要があるのです。「良い人」を、まるで知り合いのように詳細に思い描いているでしょうか?
中小・零細企業でも充分戦える
人材が欲しいという気持ちは大手から零細まで同じだとしても、欲しい人材像は会社によって違います。大手企業のネームバリューや報酬、作品の魅力には零細企業は叶わないとする見方もあるかもしれませんが、それであれば全ての大手企業の人材はその会社にいるはず。つまりどんなに人数が少なくスタートアップ時の会社であっても、必ず御社にぴったりの人材はいるはずなのです。
そのために必要なのは、まず御社自身が欲しい人材の性格や人物像を細かく思い描くこと。人数の少ない会社ほどこれは必要です。大手になればなるほど、人材はまさに「作業をする人」として捉えられ、1人の影響力が大きくは無いからです。これは別の記事にも書いていますが、その結果として大手企業の募集記事はどうしても殺風景になりがちです。広告ページや写真は綺麗でも、どことなくテンプレ的だったり、仕事内容が簡素だったりと「人間味」が失われてしまう事が多く、その分中小企業の方が小回りが効くために魅力的な求人ページを作りやすくなるのです。これは求人広告に限らず自社HPであっても同じです。
実は「良い人」は会社によって違う
そして何より大事なのが「良い人」は会社によって違う、ということです。先ほどのように大手企業であれば、「良い人」とは「つつがなく作業をする人」くらいで大丈夫ですが、会社が細かくなれば必要な人材も十人十色ならぬ十社十色。元気な人が良い!という会社もあれば、物静かでも作業のスピードが速い人が良い、という会社もあります。だからこそ自社からの情報発信をすることで「うちに来て欲しい『良い人』はこんな人ですよ!」と人材1人1人に細かいアピールが出来るのです。
「良い人」を別企業に採られないために
さて、御社の試みが実って「良い人」が御社に応募したとしましょう。それでも、人材はいくつもの会社に応募しているものです。もし他の会社でもスキルのみを見て「これは良い人だ」と判断されてしまえば、結果的にライバル会社が多くなって人材の取り合いが始まります。例えば人材が自社以外に大手企業も志望していた場合、自社に人材を引き入れるためにはどうしたら良いでしょうか?
1つ重要な方法は「話を聞く」です。心の距離は何より強固になりますので、自社の都合だけでなくその人材自身が将来的に目指していること、今の不満や思い、制作に対しての情熱を聞き、分かち合ってみてください。これは営業と似ていますが、心的距離が近いほど「この会社を裏切るのは悪いな」という気持ちが働きます。もし大手企業に就職することになってしまっても、「何かあったらいつでもおいで」と声を掛けることで、その後の転職の可能性も見込めます。小さな会社の利点は何よりも小回りが効くこと。あなたの会社の「良い人」のために、接近戦での採用を試してみて下さい。