パズドラがポケモンになる日・・・ゲームアプリの海外展開を考える

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英語版Siriにしか実装されていないポケモン仕様

英語版のSiriに「ポケモン図鑑」が実装されているのをご存じでしょうか。
https://www.newsweek.com/pokemon-anniversary-siri-422821
この記事では、ポケモンの名前をSiriに呼びかけることで該当ポケモンの画像、初期パラメータ、図鑑の番号からタイプ、更には関数で描いたポケモンまで表示されることがわかっています。これはポケモン20周年に合わせてAppleが実装した機能で、上記のようにNewsWeekすら記事にしています。日本でこの機能を実装するかどうかについては未定のようですが、海外でのポケモン人気を裏付けるエピソードではないでしょうか。

米国ではポケモンや遊戯王、ドラゴンボールといった日本のコンテンツ人気が高く、第二・第三のポケモンを狙って北米進出をするゲームアプリも多数ありますが、まだ社会現象になるまでの人気を打ち立てたものはありません。先月揃って発表された大手SAPの決算・中間決算では、どの企業も海外進出に力を入れているという内容が盛り込まれていました。果たして次に北米を制するのはどのコンテンツなのか、そもそもどうすれば北米を制するコンテンツになりようがあるのでしょうか?

71bjDhwPBwL._SL1078_45「マリオ」「ポケモン」は何故人気になったか?

ゲームという意味では世界的に有名なキャラクターは任天堂の「スーパーマリオ」です。こちらは1993年にアメリカで実写映画が作られるというほど謎の人気を得ており(デニス・ホッパーがクッパとして登場する意欲作。面白くないことも無い。)今でもその名前は広く知られています。その他カプコンのロックマンやセガのソニックなども広く知られていますがマリオの知名度、親近感には勝てません。

元々マリオが知られたきっかけは、任天堂が1985年にファミコンを発売したことでした。当時から代表的なキャラクターだったマリオはゲームの衝撃と共に海外にも知られることとなり、その後も同じマリオシリーズでゲームソフトとゲームハードが発売されたため、マリオは必然的にゲームプレイヤーの誰もが知る存在となったのです。

一方ポケモンは最初にアニメが輸入され、その後ゲームを普及させるという方法で導入されました。ゲームからアニメ化を進めた日本とは別の戦法です。「モンスターを使って闘う」という分かりやすいルールと「モンスターとの友情」という普遍的なテーマが視聴者に受け容れられ、子供の人気を広く得ることとなりました。

ゲームアプリの寿命は3年、は本当か?

一方ゲームアプリについては、まだ勝負できるものがゲーム1本しかありません。中にはアニメ化されているゲームもありますが、子供向けに劇場版が作られるほどの人気はまだ得られていません。ただでさえ海外にも人気が出る設定となると描く内容も凝りすぎないように気を付ける必要があります。また、ゲームアプリは日本でどれだけ人気が出てもその人気が3年以上伸び続けるのは難しいという予想もあります。(以下参考記事)

DeNA グリー 決算からそれぞれ読み取るゲームビジネスの目指す「ビジネス」

既存の人気ゲームを展開し、伸ばし続ける事を主眼に置いている会社もありますが、コロプラのように「定期的にヒットするゲームを出して、人気の安定した過去のゲームを伸ばしすぎない」といった戦略を採る会社もあります。コンテンツを長期化させるには体力が必要なのが、現在のゲームアプリ業界なのです。

Fotolia_98048653_Subscription_Monthly_Mアプリゲームが世界に進出するために必要な事

それでもアプリゲームを何とか海外でヒットさせたい!という場合はどうすればよいのでしょうか。まず、これはどこでも言われていることではありますが、海外の人達が遊び慣れているゲーム形態であることが必要とされます。Crash of Clanやangry birdのようなゲームがランキング上位に入る現在、日本でメジャーなパズル系、RPG系のゲームは受けるといいきれません。コンシューマーゲームの分野でも、少年少女が主人公となるRPGのゲームは世界的な人気とまでは行っておらず、ジャンルごとの人気の違いがありありとわかります。

screen322x572因みにアプリゲームの海外進出で成功している例としては、カイロソフトのゲームが挙げられるでしょう。カイロソフトは10年近くずっと携帯向けゲームを出し続けており、内容は基本的にシミュレーション。シンプルながらもかなり凝っているドット絵とユニークな題材が特徴です。このカイロソフトの代表作とも言える「ゲーム発展国++」が、2011年というアプリゲームが始まったばかりの頃に、アメリカで行われるGDCのGame Developers Choice Awardsにノミネートしたのはちょっとした事件でした。
カイロソフトがノミネートされていたのは「Best Handheld Game (最優秀携帯ゲーム)部門」でしたが、この賞には当時、DSやPSPといった「携帯ゲーム機」のゲームがノミネートされていたのでした。しかもドラクエやメタルギアソリッドといった有名ブランド揃い。その中で「ゲームとして優秀」と認められたカイロソフトは、海外にもなじみの深いシミュレーション、わかりやすいルールとキャラクターでじわじわ海外にファンを増やしている好例と言えます。今も日本語版より先に英語版がリリースされるほどに、カイロソフトのゲームアプリは注目の存在となっています。


世界進出、という意味の広さ

現在は中国の配信規制もあり、世界進出は以前ほど容易ではなくなっています。それでもコンシューマーゲームよりスマホゲームがメインストリームとなりつつある今、ピカチュウを超えるキャラクターに生まれて欲しいと期待せずにはいられません。ゲームアプリであっても、アニメ化などの戦略を持っていなくても、海外に広いファンを持つことは可能です。それは言葉で言ってしまえば「良いゲームを作る事」という陳腐な言葉かもしれませんが、その「良い」という内容には日本でなければ感じられない、作れない何かもあるはずです。クリエイターの皆さんに「良い」ゲームとは何かを考えて制作していただくためにも、私達は今日もラクジョブを運営いたします。

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