今は7年に1度の3Dデザイナー大転職期
採用担当者の方はもう気づいているかもしれませんが、現在は3Dデザイナーの転職がとても盛んです。例年の倍以上の人材が動いています。実はこの流れは7〜8年に一度起こるのですが、逆に言えば今を逃せば東京オリンピックを超えて2023年付近にならないと起きません。一体何故、こんなことが起こっているのでしょうか?今日はこの問題を掘り下げつつ「3Dデザイナーの採り方」「自社の3Dデザイナーの引き留め方」について皆さんにお伝え致します。
3Dデザイナー大移動の理由
現在の3Dデザイナー大移動、このきっかけは2年前の大規模な遊技機規制に端を発します。映像業界内では大きな話題になった遊技機規制。まず2014年の9月頃、パチスロの基準が大幅に変更され、いくつものパチスロのプロジェクトが中止、延期となりました。その後もパチンコの新たな規制が行われ、2014年はまさに映像業界にとって青天の霹靂だったのです。しかしこの影響は年を越してもまだ残り、年始になっても良い仕事が見つからない、と困る会社が爆発的に増えました。高い利益を生み出す元となっていた遊技機案件が消えたことで、自然と3D会社さんが受ける仕事内容は変わってゆきます。
2013年頃から増えていたスマホ、ゲームアプリの3D仕事、以前よりあったCMの仕事などが代わりとなりましたが、どれも遊技機ほどの高い利益は生み出せません。その結果いくつかの会社は大会社に吸収され、中には倒産を余儀なくされた会社もありました。そして2016年の今でも余韻は続いており、遊技機メーカーが外注ではなく内製を進めはじめたこともあって映像会社や3Dデザイナーには厳しい状況。こういった流れがきっかけで、3Dデザイナーがより良い職場、安定した職場を求めて動き始めるようになりました。2015年半ばからゲームアプリ制作メーカーが3Dデザイナーを必要とし始めたことも大きいでしょう。
転職しやすいデザイナーとは
現在動いているデザイナーは、人材市場においては少しだけ年配です。20代の若い人材はそこまで動いていませんが、30、40といったベテラン人材が動きやすくなっています。しかも1社に長く勤めてきたタイプが多め。これらは人材市場では「年配」と評されてしまいますが、現場としては充分現役の人材でしょう。海外の方も動いていますが、日本国籍の方がほとんどです。ポートフォリオを見ても実績が多く、現場でバリバリやっていました、という優秀な方がいちはやく動き始めているような印象を受けます。自分の実績をバッチリ用意し、コミュニケーション能力も高く、どんな作品を作りたいかしっかり自分の言葉で語れる人。つまりはかなり優秀人材です。
3Dデザイナー達が向かう先
3Dデザイナーが応募している会社はどこが多いのでしょうか?実はアプリゲームメーカー、SAPに進む方より、今までと同じような制作会社、開発会社に行く方の方が多いのです。しかし彼らがしっかりしたビジョンとして描いているのは「成長出来る現場」。ゲームアプリ内だけでなくVRなど様々な場所で3DCGの可能性が広がっている現在、3Dの知識や技術をもっと伸ばして活躍できる人材になりたい、という夢が全ての3Dデザイナーに共通しています。「ハイクオリティの作品を作れます」「メーカー直の仕事が多い!」「オリジナル作品としてこういったものを作れます」といった、何を作るかはっきりしている会社には応募が殺到しています。逆に「スタッフの仲が良く和気あいあいとしています」「年収が高め!」といったような職場環境はあまり重視されません。もちろん全く無視、という訳ではありませんが、人材としてはあくまで成長を重視しています。技術力もあり、新しい技術を取り入れる事にも貪欲な人材が多いように思えます。もし現在3Dデザイナーの必要性を感じている場合は、今すぐに募集を始めた方が良いでしょう。
御社から3Dデザイナーを辞めさせないために
一方で、会社から3Dデザイナーが辞められたら困る・・・という会社もあるはずです。現在、3Dデザイナーの転職者を見ていると、決して傾いている訳でも、職場環境が悪いわけでもない会社からの転職が目立ちます。ということは、今日御社からも1名や2名転職者が出ている可能性もあるのです。その場合、気を付けて欲しいのはいたずらに年収を上げるなどという方法を採らないことです。人材が目指しているのはあくまでも自分の成長。もし3Dデザイナーの転職について心配な場合は、彼らがやってみたいこと、作ってみたい作品、挑戦したい技術などについて聞く時間を取ってあげて下さい。意外な事実や、不満などについて聞くことができるはずです。そういった小さな考え方が大きくなると、転職という行動に帰結します。転職の全てが悪いとは私達も思いませんし、かといえ1社にずっと務めるべき!とも思いませんが、少しでも双方が納得する動きができるよう、今からでも会社とクリエイターが近づくことはできるのではないでしょうか。