国内のゲーム3DCG制作会社が淘汰されていく最悪の未来予想 今行動を始めないとあなたの会社の将来も危ういかもしれません

shutterstock_225964324日本の3DCG制作会社にはこれから淘汰の時代が待っている…

先日、とある3DCG制作会社の社長さんから少し恐いお話を聞きました。そちらの会社さんはゲームの3DCG制作をメーカーやパブリッシャーから直接請けているそうなのですが、メーカーやパブリッシャーの要望に対応できる3DCG制作会社が減ってきているとのことです。今回は、3DCG制作を事業として行っている会社に向けた話をしたいと思います。

クライアントの要望に応えられない会社には発注がありません。発注がなければ、お金ももらえないので当然倒産してしまいますよね。もちろん自分の会社が倒産してもいいと思っている人はいないと思いますので、クライアントは何を求めているのか、これから先どうなっていくのかについても説明します。

ハードのスペックとユーザーの期待がハイクオリティを要求するコンシューマーゲーム

まず、クライアントが何を求めているのか。これは、メーカーとパブリッシャーで異なります。当然ですが、コンシューマーゲームの開発を行うゲームメーカーの方が3D制作の要求は高くなります。PS4やXbox Oneなどのいわゆるハイエンドゲーム機の3DCGは高めようと思えばいくらでも質を高くすることができます。

例えば、先日日米欧亜同時発売が発表されたスクウェア・エニックスさんの「FFXV」のトレーラーを利用させていただきますが、FF1がファミリーコンピュータで発売されたときには想像も誰も想像していなかったであろうクオリティのグラフィックが、いまや「さすがFFの最新作はグラフィックのクオリティが高い」とある意味納得されてしまうくらいまで、これが「普通」になってしまいました。

さすがにメーカーの有名ナンバリングタイトルの最新作が外注に出されることはないと思いますが、この一つ下のレベルのグラフィックの制作は外注で制作の相談があります。その時に3Dを制作しようとすれば、必ずと言ってもいいほど、1社がしっかりとクオリティを管理することが求められます。メーカーから直接「外部の会社も使ってもいいけど、どこの会社の誰が手伝ってくれるのか教えてください。あと制作も御社の社内でまとまって行ってください」とのお達しがあるそうです。

クオリティが上がれば上がるほど、「作ってもらってもらいましたが、これでは駄目です。作り直してください」が通用しなくなります。コンシューマーゲームの売れ行き不調の影響で、1つの制作物に対する費用と期間が従来とは比べ物にならないほど厳しくなっています。タイトル数も少なくなり、クライアントからしてもこれまでの信頼できていた会社にしか発注しなくなっています。

shutterstock_259007399イラスト制作感覚で3Dの発注先を探すゲームパブリッシャー

次にスマホゲームに関して。スマホゲームはまだまだクオリティの要求が低いです。しかし、クオリティの要求が低いから制作の発注があるかというとそうでもありません。要求が低い分、日本以外でも十分制作が可能です。なおかつ2Dイラストから3Dへグラフィックを移行したばかりのパブリッシャーさんだと、3Dの制作費用を知らないことがまれによくあります。

制作会社から費用感を聞いたパブリッシャーはとても見込んでいる数を制作できるだけの予算が用意できていないと焦って、どこか安いところはないかと探して海外の3DCG制作会社、あるいは海外でオフショア3D制作を行っている会社にたどり着きます。海外は玉石混交なので、「海外で安く済んだ」という会社もあれば、「海外で痛い目を見た」という会社もあります。少なくとも、運営フェーズに入り、スマホのローポリモデルを定期的にロットで発注したいとなれば、海外に発注した方が安上がりです。ビ・ハイアにも、大規模でロングスパンの3DCG制作をウリにしている会社さんをよくパブリッシャーに紹介させていただいてます。

shutterstock_257906876規制に苦しむ遊技機業界とパラレルにゲーム3DCG制作を予想すると…

しかし、そうなると問題なのは、国内で20名以下の小規模の3DCG制作を行っている会社です。メーカーからのクオリティの要求にも応えられず、パブリッシャーからの安さの要求にもこたえられず、仕事は細くなるばかりでしょう。

ゲームの3DCGを行っている会社さんの中には、遊技機(パチンコ・パチスロ)の映像制作を同時に行っている会社も多いのでわかるかと思いますが、昨年の中ごろから今年にかけて、遊技機系の映像制作の案件が極端に少なくなりました。遊技機業界にはパチンコ・パチスロ台の発売を認定するレギュレーションがあり、「規制」によってそのレギュレーションが厳しくなってしまいました。開発途中だった台も企画や仕様から見直す必要があり、後工程のグラフィック制作の発注が一気になくなりました。ゲームでいうところの新ハードの発売やプラットフォームのレギュレーションの変更、CEROみたいなものだと思っていただければわかりやすいかもしれないです。メーカーやパブリッシャーのさらに上位の采配によって、メーカー、パブリッシャーもその下請けの会社も全てがあおりを食らいます。最近は遊技機メーカーからも少しずつ案件が出てきていますが、それも、以前から太い付き合いのあった一部会社に限られます。

下請け会社さんにとっては耳が痛い話かもしれませんが、規制以前はあまりのグラフィック制作量にゲームの3DCG制作を行っていた会社にもそのおこぼれとして案件が下りていたのであって、規制などの要因で案件が少なくなっていしまうと、メーカーとのつながりが薄かった会社、メーカーの要望に応えられない会社から順に案件がなくなっていってしまいます。実際、最近もメーカーと付き合いのある遊技機専門の映像制作会社からは、人手が足りないから人数を今の倍にしたいという採用の要望をいただいています。案件がなくて事業撤退や倒産の話も聞く中でその差は残酷なまでに如実に表れています。

shutterstock_340411562これからの時代を勝ち残るための3DCG制作経営戦略

ゲーム会社も今は案件があふれているので案件がありますが、これからさらにコンシューマーゲームの3Dの要求が高くなり、スマホゲームの3Dが海外に発注されるようになれば、一番最初に苦しくなるのは、国内の小規模な下請け会社です。気づいてか気づかずかはわかりませんが各3DCG制作会社とも様々な行動を起こしています。今のうちにメーカー、パブリッシャーともつながりを作って、無理矢理でもいいから信頼関係を構築しようとする会社、海外のディレクションをする立場になってパブリッシャーから案件を獲得する会社、レベルの高いデザイナーだけで社員を構成し、メーカーやパブリッシャーへの出向、常駐でのみ仕事を取ってくる会社など様々です。

ビ・ハイアでは、アニメゲーム漫画の企業のために、経営コンサルから案件紹介まで一貫して営業をお手伝いするラクビジというサービスも行っています。もし効率的にメーカー、パブリッシャーへの新規営業やラインの充足を行っていきたい会社がありましたら、一度お問い合わせください。業界発展のためにも業界の全ての会社の手助けしていきたいと思っています。それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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