記事を読んで頂きありがとうございます。今回の記事は「TPPとアニメゲーム漫画業界」について書きました。TPPは日本の産業全体に間違い無く大きな影響を与えますが、アニメゲーム漫画業界もその例外ではありません。今回の記事では、TPPがアニメゲーム漫画業界に与える影響について考えてみました。
TPPによってあらゆる産業に外資企業が入ってくる
TPPはアメリカと日本の間の貿易自由化協定です。加盟国は他にも存在しますが、日本とアメリカが加盟国のGDPの大半を占めているので実質的には２国間協議です。TPPはアメリカ流の｢自由主義｣｢市場経済｣｢グローバル経済｣という原則を日本にも呑ませることが目的になっていると分かりやすいです。もっと具体的に言うと、国家間での物の売り買いを妨げる障害は、全て｢自由貿易を邪魔しているから撤廃しろ｣という話になるという事です。
障害には関税とそれ以外の2つがありますが、関税でないものには商慣行から言語の壁まで、あらゆることが｢非関税障壁｣の対象には含まれます。たとえば、コミケがTPPによって無くなってしまうのでは？と言う事が話題になっています。法改正により、著作権に抵触するリスクがでてくるのです。
〇コミックマーケットだけにとどまらない！？TPP問題によるコンテンツ業界への影響
この例以外にも、TPP導入による問題は間違い無く起こります。TPPは｢条約｣であり、国と国との約束です。国内法は｢国の中での決まり｣であり、条約の方が優先される事になっています。つまりTPPという大枠を飲み込んでしまった以上、国内法は後付でいくらでも改変されうるということです。これからどのような法律が立法され業界に影響していくか分かりません。少なくとも、以前とあらゆる面で業界が変わって行くことは間違い無いでしょう。
アニメゲーム漫画業界のあらゆる伝統は溶解していく
アニメゲーム漫画業界は、他の産業に比べても日本固有のビジネス慣習や制度に溢れています。例えば アニメ業界の雇用形態は典型的なものです。会社によってアニメーターは長時間1つの現場に拘束され仕事に実質的に裁量権がないにもかかわらずフリーランス契約になっています。コミックマーケットも法的には著作件を侵害していると言えなくも無いのですが黙認されており、明らかにアニメ・漫画業界にとっては大きな経済効果をもたらしていますし、原作者も同人作品が作られる事を歓迎する傾向があります。日本のアニメゲーム漫画業界は世界中で支持される普遍的な価値のある物ですが、実はこうした法的にはグレーであるけれども業界に無くてはならない無数の慣習に支えられているのです。TPPという枠の中ではこうしたあらゆる物が｢自由貿易・自由競争を邪魔する｣という理由のもと法的に規制されていく可能性があります。日本のアニメゲーム漫画を国産のものらしくさせている要素が消えていくのです。
日本の風景が変わり、アニメや漫画も変わって行くかもしれない
現在の日本のアニメは｢萌え系｣のジャンルが幅をきかせていますが、こうしたジャンルにもTPPは影響を与えます。教室、制服、美少女、放課後･･･。日本で思春期を過ごした人なら誰もが共通に体験しているであろう色々な要素がTPPによって姿を消していく可能性があります。学校教育が民間に委託されれば、より良い教育を受けさせたいという親のニーズに応えて教育サービスにも競争が広がります。親の所得に応じて行く学校にも格差が生じてきます。高所得層は海外の大学を目指して良質な教育の受けられる所に集中し、公立学校には比較的に所得の低い層が集まるようになるかもしれません。また、農業に外資が導入されていけば、日本の地方、校外にある農家は姿が変わり、アメリカの農場のように大規模し機械によって農薬を散布するようなスタイルに変わるでしょう。
エヴァンゲリオンやハルヒで描かれているような学校生活の日常や、｢トトロ｣で描かれるような田園風景は姿を消していくでしょう。エヴァもハルヒもトトロも、｢昔日本はこんな国だったんだよ｣と伝承されるための、公民科のテキストに取り上げられるような時代が来るかもしれません。
時代を超えて追いかけたい志は何ですか
以上述べたようにTPPは制度的な面でもコンテンツの面でも、産業全体を根幹からひっくり返すような衝撃を業界に与えると思います。もちろん直ぐに進行するのではなく時間をかけて徐々に進んで行くと思われますが。そんな時にこそ、自分が業界の中でどんな事を追求していきたいのかを考え直して欲しいと思います。自分が本当に作りたい物、表現したいことは何なのか。あるいは業界の中で仕事を続ける必要があるのか無いのか。
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