就職活動にも戦略が必要です
この記事は主に就職活動をしている学生の方に向けた記事です。アニメやゲームの業界で就職したいと思っている方の中でもとりわけ自ら制作活動を行うクリエイター向けの内容です。どのようにして就職活動を行った結果、採用に至ったのか。そこについて書いていきたいと思います。
まず考えたいのがどこの会社に応募すると採用の確率が高いのか、逆にどこの会社に応募すると採用の確率が低いのか。業界の会社に就職してクリエイターとして活躍していきたいと考えた場合、まず必要なのは情報です。どれぐらいの競争相手がいて、その中での自分の順位はどのぐらいで、どういう人が採用されているのか、そういった情報をおさえる必要があります。そのためにも、アニメ業界やゲーム業界の市場規模と労働人口のデータをおさえつつ、その労働人口を構成する一人として加わるための戦略を練っていきます。
就職希望先の業界に関するデータを押さえる
アニメ業界とゲーム業界の市場規模と就業人口を調べてみましょう。アニメ業界の市場規模は「データから観るアニメ業界」によると、狭義のアニメ市場の売り上げ規模としては2013年で1,834億円です。また、アニメ産業の人口については、数字から読み解く日本のアニメ産業(増田弘道 日本動画協会 事業委員会副委員長)によると製作業界全体で25,000名ぐらいと試算しています。
ゲーム業界についてはどうでしょうか。ゲーム業界の国内市場規模はファミ通ゲーム白書2015によると1兆1,925億円となっています。ゲーム業界の就業人口に関する統計的なデータはないものの、業界動向のゲーム業界従業員数ランキングのページを見てみると、約25,000名が労働していることになります。ただこの表はソニー全体の数を含めているので、ソニーコンピューターエンターテイメント社のホームページの数字を落とし込むと約12,000人まで減ります。ただゲーム開発会社の数と上場していないパブリッシャーの数を一切含んでいないので、開発会社が弊社の調べで約2,500社ありその8割以上が中小企業に分類されます。平均社員数5名とした場合、開発会社の人数を先ほどの上場企業社員数合計に合算すると約24,500人となります。こちらも概算値として25,000人と考えてみましょう。
厚生労働省が発表している平成26年度「大学等卒業者の就職状況調査」によるとそれぞれの就職希望者は大学で41.1万人、短大で4.7万人、高専で0.5万人、専修学校で21.4万人です。全体の就職率は96.7%でほとんどの人が内定をもらえている計算になります。
この中で主にライバルとして換算されるのは上記の就職希望者合計67.7万人に無認可のアニメゲーム漫画系専門コースのある学校の卒業生を加えることになりますが、無認可の学校を卒業する人数の統計データはないので今回は一旦無視することにします。ちなみに全就業者数は総務省統計局の労働力調査によると6379万人います。就職希望者は全就業者の約1%にあたります。アニメとゲーム業界の想定就業者数は全就業者の約0.04%です。就職希望者が対全就業者と同じ比率で各業界に入社するとした場合、約250人が内定を得ることになります。内定率を厳しめに見て1割とすると、2,500人が同じ業界内で内定を争うライバルとなります。
どのような手段で新卒採用を勝ち取るのか
アニメやゲームのクリエイターとして就職する人の多くは東京モード学園やアミューズメントメディア総合学院、日本工学院や代々木アニメーション学院、HAL東京などの専門学校に入って2年生の時に就職活動を行って入社するという方が多いと思います。中には専門学校に入らずに大学から就職するという人もいますが、メーカーであればまだその比率は高いですが、ゲーム開発会社やアニメ制作会社に入る人で考えると全体的には少ない方でしょう。
多くのライバルがいても勝ち取れる人
多くの人がたどる道を使って就職をしようという場合、自分の志望する会社には入れるかどうかは同時に就職活動を行っている人よりも、会社側から見て必要だと思ってもらえる人材であるかどうかにかかっています。端的に言うと他の人よりも就職したいと思っているあなた自身が優秀なのかどうかが問われています。ただ新卒という時点においてそこまで開きがあるわけでもないので、のびしろがあるかや一緒に仕事をしたいと思ってもらえるかどうかに左右されることになります。
2,500人のライバルの中から競い合って内定を得ようと思ったら、当然人気のあるゲーム業界やアニメ業界で上場している企業は多くの人が詰めかけます。内定率も1割未満になるでしょう。そこで勝つためには他を圧倒的に上回るスキルが必要となります。自分が所属している学校で1位をとっているぐらいの成績でないと勝ち残ることは難しいでしょう。ぬきんでたスキルを持っていると自負できる人がまず大手に攻め入り、内定を勝ち得ることが可能になります。
スキルレベルが飛び抜けて高くない人はどうするのか
ではそういった出来る人は勝手に内定が取れるでしょうし、選択肢もかなり幅広くあります。逆にこれといって下手ではないけれども、ものすごく輝くものを持っていない人はどうすれば良いのでしょうか。やり方はいくつかあります。まず人が集まる大手は無視して、中小の開発会社や製作会社に応募をしまくります。それこそかたっぱしからします。多くの中小企業はリクナビなどの媒体に告知を出すことは少なく、リクナビやマイナビに掲載されていない企業が数多く存在しますので、どんな企業があるのかは学校の就職課に問い合わせたり、アニメ会社リンク、ゲーム会社リンク、もしくは弊社で運営しているラクジョブで調べることが出来ます。特に大手の新卒向け求人媒体に掲載している企業は当然ライバルが多く存在しますが、そういったメディアに出ていない企業はライバルの数が激減します。
別の手段としては都内に限定されたテクニックになりますが、数多くのアニメ制作会社やゲーム開発会社が都内に集中して存在します。特に簡単な仕事、たとえばデバッガーのアルバイトを募集している会社や未経験でもOKという触れ込みでデザイナーやプログラマーの募集をしている会社があります。まずはそこにアルバイトとして入社します。その間学校にもきちんと通いましょう。そしてひたすら仕事をしまくります。給料はそんなに出ないかもしれませんが、実際の現場で仕事ができるので、社内できちんと評価されればそのまま就職することが可能です。
この記事は1月に書いていますので、今年の3月に卒業予定の人にはちょっと厳しいかもしれません。とはいえ、アルバイトを経験して就職するのは、クリエイターとして仕事をする上でもとてもいいことだと思います。就職先が決まっていない人はそんな入り方も検討してみてはいかがでしょうか?みなさんの就職が成功することを祈っています。
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