「アニメゲーム漫画業界で働きたい」は病気?
榎本博明さんの書いた『「やりたい仕事」病』の中にこんな文章があります。
「マンガやアニメを仕事にするような人は、10代のころから書きたい衝動を抑えられずに、それで食べていけるかどうかは別として趣味で描いている。作家や評論家として文筆として生きている人は、やはりそれで食べていけるかどうかとは別に、若いころから文章を書きたい衝動に駆られて書きまくっている。」
ガンダムシリーズで有名な富野由悠季さんも「この業界に入ってくる人は、10代半ばに衝動に突き動かされ、気がつけば絵を描きシナリオを書いているもの。」と言っています。
アニメゲーム漫画業界にあこがれるのは決して悪いことではないですが、憧れが先行してしまって実が伴わないケースが多いのも事実です。アニメゲーム漫画業界、特にアニメ業界、ゲーム業界は人不足です。未経験者からの教育も前提として採用も積極的に行われています。しかし、採用したはいいものの、一人前になる前に辞めてしまうケースが非常に多いです。思っていたのと違いましたと言って業界を去ってしまう人が多いです。未経験者の採用は新人の教育費込みですので、すぐに辞められてしまっては赤字になってしまいます。また辞めていった人にとっても短期での離職は職務経歴にとって傷になってしまいます。気持ちだけの人を採用してしまうのは、企業にとっても求職者にとってもリスクになります。
最初からやっているか最後までできないか二つに一つ
アニメゲーム漫画業界を目指す人は大きく2つに分けられます。アニメゲーム漫画業界で働きたいから行動している人、アニメゲーム漫画業界で働きたいけれども行動していない人です。
就職転職先を探している求職者にとっては、できることなら全くの未経験でも採用してほしい、育ててほしいと心のどこかで考えてしまっている人もいるかもしれません。しかし、アニメゲーム漫画業界に就職転職できる人、そして働き始めた後も辞めずに業界に対して価値を提供し続けることができる人は、自分で必要だと思うものを積極的に取り入れてアウトプットできるようになろうと思える人です。
今すぐ働きたいという気持ちとアニメゲーム漫画業界で必要とされるだけのスキルを身につけるのには時間がかかるという気持ちの衝突もあると思いますが、それは仕事を探している求職者の事情です。アニメゲーム漫画業界が採用できるのは、自ら努力できる人の中で「こいつなら育て甲斐がある」と思われる人です。
もしかしたらそうでない人が採用されるケースもあるかもしれませんが、それはその会社がにっちもさっちもいかなくなっていて猫の手でも借りたいというときです。大概そんな状態の会社が未経験者を採用したとしても事態が悪化するだけで何の問題解決にもならないことがほとんどですが、その判断もできないほどに困窮している場合です。もちろん、そんな会社だろうと、どんな会社だろうと踏ん張って頑張れるという自信があるのであれば、それでも構わないですが、求人サイト運営という客観的な立場からはあまりお勧めできません。
保証がなくても飛び出せる人にチャンスがある
先日知り合いの社長さんから採用について聞いた話では、プロのエフェクターが集まる懇親会に未経験ながらも飛び込んできた専門学校生(前職あり)とその場で話をし、そのまま面接、採用に至ったということです。
アニメゲーム漫画業界に入りたいから求人サイトを探す、ここまでは普通です。専門知識、専門技術がないから専門学校に入る、これも大変な決断かもしれませんがよくあります。学校で勉強してできるようになったので再度色々な企業に応募する、これも普通です。技術が身についたはずなのに採用されず、業界への就職を諦める、とここまでセットなパターンが非常に多いです。
なぜこのようなケースが多いのか、それは先ほども言った通り、専門学校の中でも採用されるのは、上位の業界でプロとして通用しうる実力のある人だけです。それだけの実力は学校での勉強以外にどれだけの努力をしたか次第です。もし自分の実力が客観的に企業の採用担当の目に引っかからないと思うのであれば、まずはそれを認めて、認めた上でじゃあどうしようかと考える必要があります。
その方法は一つではありませんし、絶対にこうすれば上手くいくとわかるような方法でもありません。先ほどの懇親会に飛び込んだ専門学校生の話も一例にしか過ぎません。もし、これを見て、じゃあ自分の色々なところに飛び込んでみようと考える人は上手くいかないでしょう。
そもそも、上手くいくかどうかわからないということは実際に挑戦した結果上手くいかなかったパターンもたくさんあった上で、最後の最後に上手くいきます。その最後の一つだけではなく、その前の膨大な失敗や膨大な努力を含めて他人を見ると今のじぶんが一体何をすべき化も見えてくるのではないでしょうか。アニメゲーム漫画業界で働くクリエイターが一人でも増えるように業界の求人情報や就職転職にまつわる情報を配信していきます。