女性向けゲームは本当に狙い目なのか?乙女ゲーの売上と営業利益 平田色々調べたの巻

先日Yahoo!ニュースで、玩具メーカーが大人の女性を対象にしたコンテンツを次々と出している、というニュースがありました。

イケメンキャラ急増中=「大人の女性」ターゲット―玩具大手
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160109-00000011-jij-bus_all

c3d40734-2979-4a2e-b409-a136016a57ad乙女ゲー1位の会社の売上と営業利益

確かに昨今、ソーシャルゲーム系でも「女性向け」「乙女ゲー」の文字を以前より目にする気がします。Happy Elements株式会社から去年の4月に発表されている「あんさんぶるスターズ!」もアニメ化が決定し、もしかして乙女ゲーは今後ビジネスチャンスがあるのか・・・?と思わせられます。実際、乙女ゲーにビジネスチャンスはあるのか?について調べてみました。そもそも乙女ゲーで有名な会社、というのはあまり多くありません。最も知られているのは何と言っても株式会社ボルテージでしょう。

ボルテージは乙女ゲー業界で最も最初に名前が挙がる上場会社です。最近は1本だけ男性をターゲットにしたサスペンス風のゲームも出ましたが、基本的には女性をターゲットにしたゲーム作りが主となっています。「女性向けゲームで最も成功しているゲーム会社」と言っても過言ではないでしょう。こちらは上場しているため、売上や営業利益についても参照することができます。それによると2015年6月に発表された決算では、全体の売上が105億円。営業利益は4億円でした。月々に換算すると、毎月の平均売上は約8.79億円。営業利益は3891万円となります。営業利益率は4.4%です。これは、年間リリース作品数が23本ということも関係していると考えられます。
参考:ボルテージ業績ハイライトより
https://www.voltage.co.jp/ir/highlights.html

monsutoソシャゲ1位の会社の売上と営業利益

株式会社ミクシィ モンスターストライク公式HPより
https://www.monster-strike.com/

一方で、現在売上1位の「モンスターストライク」を運営している株式会社ミクシィはどうでしょう。こちらも上場しているため、売上等の参照ができるのですが、20153月の決算によると年間売上は1,129億円。営業利益は526億円。月間に置き換えると売上は月94億円、営業利益は43億円です。

営業利益率は46.7%でした。株式会社ミクシィはゲーム以外にも多様なサービスをリリースしているため、これはゲームだけの売上ではない可能性もありますが、ざっくりとした概要だけでも営業利益率がボルテージの10倍、というだけで大きな開きがあることは予想出来ます。因みに株式会社ミクシィが2015年に新しくリリースしたゲームは「モンストスタジアム」のみでした。このゲームも「モンスターストライク」と作りはほぼ同じです。

参照:ミクシィ財務ハイライト
https://mixi.co.jp/ir/finance/highlight/

「モンスト」が男女どちらにも受け入れられるゲームだからとは言え、営業利益率の大幅な差は気になるところです。何よりミクシィはゲームを1年間で2本しか運営していないのに対し、ボルテージは23本もリリースしていたという事実。女性の方がゲームへの課金率が極端に低いのでしょうか・・・?

女性は男性よりも課金しないのだろうか?

さきほどのようなデータを見ると、営業利益のことを考えても女性は男性より課金率が低いのだろうか・・・?と思いますが、実際はどうでしょう。ここに、株式会社サイバーエージェントが行った調査報告があります。
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株式会社サイバーエージェント
スマホにおけるソーシャルゲーム利用実態調査(第二弾)より

スマートフォンにおけるソーシャルゲーム利用実態調査(第二弾)を実施。課金経験有ユーザー過半数、一人当り平均月間課金額「2,700円」

これは、ユーザーがソーシャルゲームやアプリに対して毎週どれだけの課金をするか年代や性別で分けて調査したものですが、これによると男性の平均課金額が3000.2円(iPhone、Android含んだ平均)に対し、女性は2020.7円(同左)となっています。男性より若干女性の方が少ない課金額だということがご覧頂けるでしょう。更に下記をご覧下さい。
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株式会社サイバーエージェント
スマホにおけるソーシャルゲーム利用実態調査(第三弾)より

家庭用ゲーム機よりスマホゲームでよく遊ぶ約6割、新しいソーシャルゲームを始めるきっかけは「ゲーム内広告」 スマホにおけるソーシャルゲーム利用実態調査(第三弾)

こちらも同じサイバーエージェントからの調査ですが、1週間の平均アプリダウンロード数が男性1.95本に対し女性は1.75本。やはり少し少なめくらいです。
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同じく(第二弾)の調査を観るに、男性の方が女性より課金経験が10%ほど高い事もわかります。こう見ると、女性は確かに課金へのモチベーションが男性より低いとは言え、そこまで大きな差があるわけではないということがわかります。そうすると、あとはゲーム自身の中身の問題になります。つまり「連続してゲームをリリースしなければ課金が続かない状態」というのが乙女ゲー、女性向けゲームの弱点と言えます。

ここに、2011年にモバイルマーケティングデータ研究所が行った「女性携帯ユーザーの携帯恋愛シミュレーションゲームの課金に関する実態調査」があります。
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女性携帯ユーザーの35.5%が「恋愛シミューションゲームで課金経験あり」と回答
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_808.html

これによると恋愛シミュレーションゲームで課金経験があるのは全体の35%。女性達が遊んでいるゲームが女性だけをターゲットにしていないものも含めるとしたら、女性は乙女ゲーへそこまで課金をしていないことが明らかになってしまいます。実際、Happy Elements株式会社の「あんさんぶるスターズ!」始め、女性向けのゲームは段々「関連グッズを売る」ための一要素と考えられている部分もあります。一番売れいている「モンスト」と「あんスタ」のグッズ展開の差を見ればお分かり頂けるでしょう。

あんさんぶるスターズ! グッズページ
https://www.animate-onlineshop.jp/corner/cc/ensemble_stars/cd/79/

モンスターストライク グッズページ
https://festival.monster-strike.com/goods.html

つまり女性向けゲームを作るのであれば、ポイントは2つ。

・課金し続けるようにユーザーを誘導すること(リリースを多くするなど)
・グッズなどで別ルートからの収益を確保しておくこと

となります。これらを把握しないまま女性向けゲームに手を出すのは・・・正直、リスクが高いかも。。。女性向けゲームが盛り上がっているからこそ、是非気をつけて頂きたい点だなとおもったのでまとめてみました。

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