ゲーム業界クリエイター志望の人へ オンラインゲームを作りたければTRPGをやろう!

Top view of people hands drawing teamwork strategy今でも世界中でプレイされているTRPG

こんにちは。ビ・ハイアの床井です。記事を読んでいただき有り難うございます。今回は少し変わり種の記事をお送りします。それは「ゲーム開発者になりたいならTRPGをプレイしておくと良い」というものです。「TRPG」(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)とは、紙とペン、サイコロなど最小限の道具で、プレイヤー同士の想像力によって設定やストーリーを逐次変更しつつ進むというものです。代表的なものには、D&D(ダンジョン&ドラゴンズ)という作品があります。これは1970年代後半に登場したTRPGで、現在でも世界中でプレイされている作品です(画像は公式ホームページのものです)。

2233ホームページでは、現在でも新しいプロットが更新され続けており、世界中のプレイヤーがそれ基に作品の世界の中にひたって物語を拡大し続けています。WEB上にはゲームのコミュニティも紹介されており、一緒にゲームをプレイする仲間を見つけることもできるようです。なぜTRPGをやった方がいいかと言うと、TRPGにはオンラインゲームのエッセンスが凝縮されているからです。特にMMORPGはTRPGをそのまま電子空間に置き換えたような物で、非常に要素が似ている部分があります.ちなみに、MMORPGといえば「ウルティマオンライン」という名作がありますが、この作品の開発者であるリチャードギャリオット氏はテーブルトークRPGの熱心なプレーヤーであったといわれており、作品への影響も多分にあったのでは無いでしょうか。

Top view of people hand drawing business creative concept with paintsリアルタイムにゲームの展開を考える事がトレーニングになる

ではTRPGとオンラインゲームの共通点とはなんでしょうか。第一に、「同期性」という事が言えます。 コンシューマゲームにおけるRPGはセーブをしたら、次に遊ぶときまでその時の状態を保存しておく事が出来ます。しかしオンラインゲームは、自分がログアウトをしているときにも、常に状況は変わり続けています。パーティの仲間がレベルアップしているかも知れないし、期間限定のイベントが開催されているかも知れません。リアルタイムに状況が変わり続けることが独特のスリル感を生むのです。TRPGでは、こんなリアルタイムな感覚を自分たちの手で作り上げれることがポイントです。ゲームの世界観や、ごく基本的なルールは決まっています。しかし、細かい設定やストーリーのディテールは自分たちで作るしかありまません。つまり「作り手」の視点をシミュレートしながら楽しめるのです。これが構想力の良い鍛錬になります。

pixta_10960615_MTRPGも、オンラインゲームも熱中する本質は同じ

TRPGの流行した1970年代に、オンラインゲームに引きつけられるプレイヤーの研究をした人がいました。リチャードバートルというウェセックス大学の学者です。その頃ウェセックス大学の学生は、「MUD」という現在のオンラインゲームの走りのようなゲームで遊んでいました。これはネットの上の掲示板でリアルタイムにゲームのシナリオを作りキャラクターの設定も行うという、まさしく「オンラインTRPG」とも言うべきものでした。バートルはそれに熱中して寝食を忘れる学生達を観て、4種類の学生がいることに気がつきました。Achiever(スコアの向上など達成を動機にする人)、Killers(他のプレイヤーを打ち負かす事を喜ぶタイプ)、Sociallizer(他のプレイヤーとの交流が楽しみなタイプ)、Explorer(未知の世界の探求がしたいタイプ)の4つです。現在のオンラインゲーム作成にもこの理論はアテはまるとされています。すると「ついハマってしまう」ゲームを作りたければ、この4つの要素を入れれば良いことになります。TRPGで4つの要素を意識してプレイしてみるのも、良いトレーニングになると思います。

Hand of businessman drawing with chalk development ideas変わらないゲームの本質がTRPGにはある

また、TRPGを勧めたい理由はもう一つあります。このゲームが流行ったのは1970年代後半以降なので、若い頃にこのゲームをハマった世代が今ゲーム業界では「大御所」になっているのです。誰しも自分が若い時代に遊んだもの、ハマったものを美化したいものです。若い人でTRPGが好きだ、なんていう人がいれば「おお、わかってるね」と良い反応を返してくれるでしょう。面接の場でのアピールにもなりますし、職場でのコミュニケーションツールにもなると思います。実際私が取引させている会社でも、自社のサービスとして未だにボードゲームの制作、企画をしている会社があります。スマホゲームの仕事などに比べるとそこまで売上という面ではプラスになりませんが、青春時代にハマったものとはずっと手放せないくらい思い入れの深いものになるのだと思います。

現在のゲームはリッチコンテンツ化しており、驚くほど綺麗な映像を打ち出すことができます。それに伴い、開発の現場は工数が増え、クリエイターのこだわりもあって、制作が長期化する傾向があります。それが業界を圧迫しているという指摘もあります。しかし面白いゲームの根幹的な要素は1970年代から変わっていないのです。売れるゲームや愛されるゲームの要素を知る上でも、多くの人に愛されているTRPGに触れることがお奨めです。豪華なツール、技術とともに、たまにはTRPGに興じて、ゲームの面白さその物に触れてみてはいかがでしょうか。