ついに機動戦士ガンダムシリーズ最新作、サンダーボルトが配信されましたね。先日、東京MX「『機動戦士ガンダム サンダーボルト』アニメ化・配信開始記念スペシャル」という番組が放送されたとガンダムインフォに記事が載っていました。
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」は、太田垣康男さんがビッグコミックスペリオールで連載中のマンガを原作としたアニメ作品。 ガンダムシリーズの最新作として、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」を手掛けたサンライズ第1スタジオが制作する。 監督・脚本は「革命機ヴァルヴレイヴ」の松尾衡さん、アニメーションキャラクターデザインは高谷浩利さん、 アニメーションメカニカルデザインは仲盛文さん・中谷誠一さん・カトキハジメさん、音楽はジャズミュージシャンの菊地成孔さん。キャストは、イオ・フレミングが中村悠一さん、ダリル・ローレンツが木村良平さん、クローディア・ペールが行成とあさん、カーラ・ミッチャムが大原さやかさん、コーネリアス・カカが平川大輔さん、グラハムが咲野俊介さん、バロウズが佐々木睦さん、J・J・セクストンが土田大さん。
アキバ総研 アニメ版「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、全4話を12月から配信! シリーズ初のEST配信も同時展開 より引用
この特別番組では、冒頭7分のノーカット映像と制作秘話が話されていましたが、何よりもこだわりを持って制作したのが、モビルスーツでした。こちらのメカを全て手書きの作画で制作したのです。最近のロボットアニメでは、3DCGによってメカを作ることが多いです。それは、複雑な作りのメカだが、3Dで一度作ってしまえば、メカの複製やアニメーションにする際に、変な歪みが出すことなく映像制作が行えるのです。しかし今回は、監督のこだわりや諸事情(諸事情ってなんだよ・・・)により、メカ部分は全て手書きで作画を作ることになったそうです。その分作画担当の人の苦労は相当大きかったとおもいます。しかしながら、メカを作画にしたことによって、連邦のモビルスーツが量産型ザクとビッグガンによって撃墜される際のビームとモビルスーツの接触とそれによって溶けて変形しながら爆破するシーンは、3Dでは表現が難しいだろうなと感じました。
そんな冒頭7分を見ただけで高いクオリティーを感じられた「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、4話構成で、今後の展開がすごく気になりますが、今回のガンダムに関して新しい取り組みが行われています。今までは、TVOD(視聴期限のあるレンタル型配信サービス)という形式で配信されてきましたが、今回は、従来のTVOD配信とともに、EST配信(視聴期限のないセル型配信サービス)という形式でも配信することになったのです。
・EST配信 (視聴期限のないセル型配信サービス)
配信内容:第1話(約18分)+特典映像「一年戦争に挑んだ者たち~Documentary of Thunderbolt~ #1」(約10分) 500円(税抜)
・TVOD配信 (視聴期限のあるレンタル型配信サービス)
配信内容:第1話(約18分) 250円(税抜)
アキバ総研 アニメ版「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、全4話を12月から配信! シリーズ初のEST配信も同時展開 より引用
正直、これは売れると思いました。あのクオリティーで、本編18分と特典映像つきで500円、安すぎじゃないですか!!と思いました。現在のTVアニメのタイトルや分数は、2010年以降、増加傾向にあり、2013年には195タイトルから269タイトルで1.38︎倍、制作分数は90445分から111794分と1.24倍も放送されるほど増加してきました。その割りの予算の回収源であるビデオグラムの出荷高は、75940(百万)円から80735(百万)円の1.06倍にとどまっています。
Blu-rayに関しては、常々、Blu-rayを販売することはハードルが高すぎるのではない? TV放送を全話放送した上で、現状、Blu-rayまで購入する人は、アニメを見て、面白いと感じ、Blu-rayの特典映像等の魅力を感じた上で購入します。しかしそこまで行くには、アニメは面白かった前提としても、一回見れば十分・・・とか、録画したからいいや・・・とか、特典の割にBlu-rayが高いからいいや・・・などなど、いろいろなハードルがあると思います。
アニメの媒体別の価格感
映画(短編を含む) 1000円から2000円
レンタル 100円から400円
動画配信 1000円から2000円(月額)
Blu-ray 通常盤3000円から5000円、特装版7000円以上
EST配信 500円
このように比較すると、先行して上映される映画や定額料金を払ったら登録しているものすべてを見られる動画配信サービスで1000円から2000円です。この映像がBlu-rayが高いかがわかります。
一方で堅調なのは、劇場版アニメです。制作分数が4000分から4782分の1.20倍に対して、興行収入は、337億から470億の1.39倍と、制作分数の増加率よりも19%ほど大きいという結果が出ています。
2015年に関しても、「ラブライブ! The School Idol Movie」の興行収入28億円や「たまゆら」などのOVAの先行上映等も含め100タイトル以上ありました。この傾向を見ると、いい作品に関しては、お金を出してでも見たいというニーズがあるのではないでしょうか。それに対して、TVアニメシリーズ、特に深夜のアニメに関しては、分割2クールや放送時間の短いアニメの乱立により、いいアニメのチェックが終えないという声があったり、本数を減らしてクオリティーの高いものを出して欲しいという声もあります。そもそもアニメは子供が見るものという考えや子供やその家族が見るものであった時は、夕方から夜にかけて子供が見られる時間にコンスタントにTVで流せばよかったと思います。なにせ、小・中学生の消費購買力は大人に比べて大きくないので、子供に人気があり、親にも受け入れられたものが売れました。
しかし、深夜アニメはそもそも、10代後半や20代、30代を中心にした層を狙ったアニメが多くあります。これらの層は元々から消費購買力があるので、いいものと分かれば、お金をかけてでも見ようとするでしょう。あのハリウッド映画面白そうだから観に行こう!!という感じで、あの劇場版アニメを観に行こう!!になるのではないでしょうか。
そして今回のEST配信、テレビの放送前にみられること、期間に関係なく何度でも見られること、それらを含めて500円というのは良心的な価格設定ではないでしょうか。アニメ業界を発展させるためにも、今までにないビジネスモデルとして成功し、クオリティーの高いアニメをたくさん作っていけるようなシステムになってくれればと思っております。