記事を読んでいただきありがとうございます。ビ・ハイアの床井です。
今回は弊社で11月20日に開催した、VR技術を使った開発案件に関心のある会社ばかりを集めた「VR交流会」のレポートをお届けします。当日は15社の会社が訪れ、会の間中大盛り上がりでした。2016年は「VR元年」といわれているくらい、本格的にVR技術がコンテンツ産業の中に浸透して行くと言われています。そんな中で現場の経営者は何に悩み、どんな事を考えているのでしょうか?イベントの一部始終をお届けします。
参加会社はゲーム開発会社と映像会社が多かったです。サウンド会社、企画会社の参加も見られました。
当日は全体で15社20名程度の参加者が集まりました。参加会社の7割ほどはゲーム会社と映像制作会社でした。やはり来年にかけてVR対応のゲームリリースがいくつか発表されているという現状もあって、ディベロッパーがどう対応すれば良いのか、どこも探り探りであるというのが現状なのでしょう。参考までに来年発表のゲームタイトルを見てみると、まだそんなに多くありません。
VR交流会には、少数ですがサウンド専門の会社、企画専門の会社も来ました。スピーカーとして、360°VRに実績があり、超ハイクオリティなCG制作をしている映像プロダクション、「株式会社ネストビジュアル」の代表の植山さんに、最近のVRの動向についてプレゼンしてもらいました。
・海外での投資は破格、日本市場はパイが小さい
自己紹介もそこそこに、植山さんの用意してくれたスライドを見つつ、話はVRの市場規模に移行しました。「VR市場では、今まさにお金が世界中を飛び回っている。日本人は全く存在感を示せていない。日本人にも頑張って欲しい」植山さんは語りました。
今年は10億ドルにも満たないVR市場規模だが、ゲーム・ハードなど合わせて2020年には300億ドルに膨らむ見込みがある。今年だけでも、facebookはOclus社を20億ドルで買収し、GoogleはMagic Leapに5億4200万ドルを投じた。市場は今まさに急拡大の一歩前にある。
(ITメディアtech crunchより引用)
しかし日本におけるゲームのマーケットサイズアメリカ、中国などと比べると小さく、VRはギアの装着やハイスペックなマシンなど一定以上の設備を必要とすることなどを考えると、日本国内でVRが一般化し、スタンダードなジャンルになるのは難しいかもしれない、という意見も飛び出しました。
現在のVR市場勢力図。日本からは「SONY」と「EPSON」の二社のみが参戦。やや劣勢か。
(Appreviewより)
・開発上の問題点について
市場動向を確認した後は、意見交換タイムに移り、活発な議論が交わされました。開発会社が多く、技術的な話題が多かったです。特に話題になったのは、「健康問題」について。VRは映像の中に没入するという性質上、目への負担が大きいことが指摘されています。「VR系の映像」については、どのくらいの表現を盛り込んで良いのか、映像の角度や光の明るさなどについて、まだ確定的なガイドラインが存在せず、探り探りである状況はどこも一緒のようです。今、来年のVRゲーム開発に向けて,メーカーからオファーの来ている会社も少数ながら存在します。諸々の制約を乗り越え、どうやって表現を工夫していくか、彼らの試行錯誤が1つの手本になっていくでしょう。
VRと年齢制限についてという記事を見るとVR映像は、6歳以下の子供の眼機能に悪影響を与えうるという指摘が専門よりなされている。立体視機能が未成熟なうちにVR映像を見せると、眼の発達に不可逆な悪影響を及ぼすかもしれない、とのことです。Oculus Riftの年齢制限が7歳から13歳に引き上げになったりと、ユーザーの年齢についての対応も開発上懸念する点の一つといえるでしょう。
・それで、結局どうやってビジネスモデルを確立するのか?
日本産のゲームとして、いかにVRを使い新しい物を作るのか。そんな話題にも発展しました。日本はマーケットが小さく、簡単には高額なVRヘッドギアは普及しないだろうといわれています。ただ映像を立体的にして映像がインパクトを持ったくらいでは、お客さんを惹きつけないのではないかと。それに対してこんな意見も出ました。日本のVRゲームはあえてハイクオリティで美麗なCGの路線で行かなくてもいいのでは無いか?むしろVRという新しいメディアの性質を活かした、新しい軸のゲームを作れば良いのではないかと。日本のゲームには「パックマン」や「スーパーマリオ」など、シンプルだけど魅力満載のゲームを産み出してきた歴史があります。それに連なるものがVRの世界でも生まれるのかもしれない・・・そんなワクワク感を伴って、会は白熱のうちに終わりました。
Googleが買収したmagicleapのデモ映像。日本に輸入されたら、小さな「かぐや姫」が再現されたり、そんなことも出来るかも知れません。
https://www.youtube.com/watch?v=7lc1LqE1DqI
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