S社は中国人の社長が運営する映像制作会社です。もともと中国のデパートのディスプレイなどを作っていた社長が、3DCGに出会いその面白さに感動!日本の専門学校に通い、CGをマスターしてコンクールで大賞を取るまでになりました。自分の学んできたものを仕事として他のスタッフにも伝え後継していき、いいCGを世の中にもっと提供していきたい!という思いで平成19年に創業しました。もともとは、デパートやイベント関連のCGを主に請け負っていましたが、そんなに量が必要な仕事ではないので場合によっては社長1人で作業が完結してしまうこともあります。せっかく会社を興し、中国からスタッフを連れてきて教育しているのにそれを活かせる場がないのはもったいない・・・とネットを検索していたところ、ゲームの分野で3DCGが注目されており、その仕事のマッチングを「ラクビジ」が行っていることを知ります。これが、最初のお問い合わせのきっかけでした。
ラクビジは、アニメゲームマンガ業界に専門特化してビジネスマッチングサービスで、案件情報を自由に閲覧できるwebページと、実際にその案件を抱えている企業との日程調整・紹介までを行うアナログ対応との2本の軸で企業の営業活動を応援するサービスです。他に「アニメゲームマンガ専門」と銘打っている会社はありませんでしたし、ゲーム業界の内情に詳しいスタッフがいるということに興味を持ちました。いままで、日本で仕事をするにあたって「中国だからダメ」と言われたことが多々ありましたし、ゲーム業界もまたそうなのかもしれない。それでも営業して成功する可能性はあるのか?それを、実際にゲーム業界の社長達とたくさん会っていて生の声を聞いているであろうラクビジの担当者に会って確かめたかったのです。
ラクビジの担当、大山はその時素直に「中国だと嫌だ。と言われる会社さんは結構あります。クオリティの問題や仕事に当たる際の考え方や文化の違い、作業現場が中国の場合は、距離の問題もでてきますし、実際に以前中国の企業とお付き合いして痛い目を見たという会社も何社か知っています。恥ずかしい話しですが、特にビジネスとは関係ない部分で感情的に嫌がる人もたまにいます。普通の映像制作会社の営業よりも、大変になることは現時点でお伝えしておきます。」と話しました。お互い覚悟がないと結局営業はうまくいきません。長期戦になるし普通より難航するというのを共有しておかなければこの営業代行の仕事は受けられないし、受けてもトラブルになる。これを理解できないとか「中国だからと差別するな!」とか言われたら、その時は残念だけどこの会社を手伝うのは諦めよう。と考えていました。これを聞いたS社の社長は、逆に感動していたそうです。「サービスを頼もうと思って話を聞きに来ていると事前に言ってあるのに無理に売り込んで来ないし、正直に業界の悪いところも話してくれた!ここに任せれば一緒に頑張ってくれそうだ!」と。そんなことはつゆ知らず「契約します」と言われて握手まで求められた大山は驚きましたし、そんなことを考えていたと聞いたのは、1年後、2回目のリピート契約の時でした。
社長が月の半分は中国にいるので、日本にいるときが紹介のチャンスです。ここぞとばかりに先々のスケジュールを抑え、紹介予定を入れ込み、私が紹介現場に着いていって一緒に話を聞いたりツッコミを入れたりして、終わった後は近くの喫茶店で反省会&次の紹介の候補と対策決めというスケジュールで動きました。中国の制作現場を動かしながら、日本に置いたディレクターがクオリティと納期チェックを行い、最終的に社長チェックも入れるという3重のチェック体制という念の入れようもあり、日本のスタジオの平均を上回る出来のモデリングが実現できていましたし、当時でも最高峰のクオリティだったと思いますが、やはり予想通り「中国」というところに敏感に反応する企業さまは複数いました。せっかくいいものを作っているのでポートフォリオに中国の制作スタッフの作業風景写真を入れたり、社長さんも毎回ノリの効いたスーツを着てしっかりと責任もって管理することを真摯に伝えるようにしたりと主に「信頼感」の部分を構築できるように営業を進めていきました。1回ご紹介した会社には、ちょくちょく顔を出すようにもしてもらいました。制作現場とクライアントの物理的距離が遠い分、社長とクライアントの心の距離を近くする必要がありました。
そして、こうした努力が実を結び入会した最初の頃にご紹介した世界的ゲームメーカーの担当者さんから数ヶ月越しに「一緒にやってみませんか?」とお声がかかりました。中国から日本に来る度に顔を出しに行っていたので、社長の人柄が伝わり、現場が離れていてもこれだけ気にかけてくれるなら大丈夫だろう、という判断になったようです。特に、開発中のゲームのユーザー層が主に海外向けのリアルテイストで、人型のクリーチャーが大量に必要になったということも、S社がぴったりはまる要因となりました。この取り組みをきっかけに次回作も引き続きお願いしたいと言われ、その次の年には年間通してこのメーカーの作品に関わることとなり、ずっと続くお得意様になっています。
特に信頼構築の部分では「こういう風に営業しよう!次はここを紹介しよう!」とラクビジ担当者からせっつかれて大変じゃなかったですか?と後日聞いてみると、「情熱に負けました!(笑)一人で色々なところに営業に行くよりも時間やコストの効率もよかったですし、お力を借りてここまでやれたという実感があります。色々とご指導いただいたおかげで今があるので、これからも御社とのお付き合いをしていきたいと思っています。」と仰っていただけました。結局ラクビジを3回リピートしていただき、現在は忙しくなったので営業は一端お休みして中国国内での人材採用を進めています。
新規参入・・国外の会社・・・圧倒的な弱者からでもお客さんの視点に立てば、それをひっくり返すぐらいの信頼関係を構築することが出来るということがわかった成功事例でした。もし市況や、企業のマッチング例など私達の提供出来る情報があれば遠慮無く仰ってください。1社1社を手助けし、業界を発展させて盛り上げていきたいと考えています!
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