ユーザーはちゃんと聴いている!!蔑ろにされがちなゲームサウンド

名作のゲームには、いいサウンドがつきものですよね。「スーパーマリオブラザーズ」「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ポケットモンスター」などなど。このようなゲームが名作と言われる所以としては、ゲームのタイトルを聞くだけでその映像やサウンドが思い浮かぶことです。

どんなBGMか聞こえてくるでしょう!?

どんなBGMか聞こえてくるでしょう!?

しかしながら、最近の新作にそのような脳内に残るようなゲームのサウンドはあるのでしょうか。今回は、ゲーム制作過程のお話をしつつ、ゲームにおけるサウンドの問題点について書きたいと思います。

日本におけるゲームサウンドは、社内にサウンドクリエイターを抱えての内制で製作する場合と、外注にサウンドを発注するという場合があります。しかしながら現状、大手のゲームメーカーでない限り、社内で全てのサウンドを製作する体制を整えているところは少ないでしょう。本格的な設備を整えようともなれば、ソフト一つに数十万、楽器一つに数十万、数百万かかってしまいます。そのため、多くのゲーム会社では、外注に頼むケースが多いのです。

その際の一つ目の問題が製作過程です。ゲームの製作をする場合、企画書の作成、仕様書の作成、スケジュール、予算組み、プログラミング開発、デザイン制作、サウンド製作があります。その際、多くの場合、ゲームのサウンドの製作は、ゲーム開発において終盤になります。企画が決まり、デザインが固まり、それがある程度出来上がった段階でどういう音楽にしようかということになります。もちろん最初からこのタイトルはこの人でいくというサウンドクリエイターがいれば別ですが・・・。また、決まったサウンドクリエイターが居ない場合は、総予算の中で、サウンドの予算はかなり優先度が低いのです。

現在、ゲームサウンドの業界は大きく二つのニーズに分かれています。1つは有名サウンドクリエイターが代表であったり、プロデューサーがいる会社に発注をし、その人の知名度を使って、ゲームを売っていこうという場合です。もう一つが無名の人にいかに安く作ってもらうかというニーズです。当然前者では予算をかけて作ってもらうため、長さにもよりますが、1曲、数十万円の予算をかけます。一方、後者の場合はどれくらいかというと、1曲、数万なのです。なんと、10倍以上の差があります。音楽ソフトがでるようになった今、フリーランスの人が音楽ソフトを使って作れば、それなりなものを低コストでつくってしますのです。逆に言えば、楽器を使った本格的なサウンドをやりたいという人にとって、成功するにはかなり狭き門になります。

Symphony orchestra first violin section performing on dark background.

もう一つの問題が製作期間です。ゲームサウンドが必要になってくるのは、ゲームの終盤と言いましたが、どの会社にするのか決めるのも終盤なのです。そうするとどのようなことが起こるかというと、事前情報が少ない中サウンド製作をしなければならないのです。そういうやり取りの少ない状態で、音楽製作をするとゲーム開発のもとのプロデューサーやサウンドクリエイターとのイメージの違いが大きく出てしますのです。やはりクリエイティブな業界なので、言葉だけでは伝えきれない部分が多くあります。そうなると、チェックバックでの修正の量が多くなりますし、回数も多くなってしまいます。サウンドを作っている会社にとっては、そう何度も修正をするのであれば追加料金を請求する会社もでてきますし、メーカーとしても、きまった予算の中でサウンド作っているので、追加料金がかかるなら、これでいいですということで納品になってしますのです。果たして、このような作り方でいいサウンドができていると言えるのでしょうか?

Musiknoten

特に、その傾向はソーシャルゲーム業界に強い印象があります。今まで、カードイラスト系のゲームが多かったということもあり、イラストにすごく力を入れていました。しかしながら、コロプラの「白猫プロジェクト」以降、3DCGを使ったソーシャルゲームや本格的なPRGといったソーシャルゲームも出てきております。スマートフォンの性能も今の携帯ゲーム機並みのスペックであったり、PS2ほどのスペックになっていると聞きます。であるのであれば、サウンドにも力をいれるべきではないでしょうか。KLabの「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」以降、音ゲーのソーシャルゲームが好調なのも、ユーザーがいいサウンドを求めているからではないでしょうか。

アニメであろうと、ゲームであろうと、マンガであろうと、いいものであったり、ヒットしたものは、全ての要素においてのこだわりが高いという印象があります。ソーシャルゲーム業界も億単位の予算をかけなければヒットが生まれづらいという状況になりつつあり、2番煎じ、3番煎じでは、信金の回収が難しくなってきております。そういう状況だからこそ、ゲームの各パートのクオリティーに関して見直し、いい作品を作って行ってもらいたいと思っております。