「ラブライブ!」「けいおん!」から見る女子高生にヒットする女子高生アニメの秘訣!!

以前、ラブライブ!は、女子高生の間で大人気ですよ!!という話題をさせていただきました。可愛い女の子しか出てこないにもかかわらず、アニメヲタクでも腐女子でもない、普段はあまりアニメを見ないような女子高生にもみられ、大ヒットしたのが、「ラブライブ!」です。

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男女で比較すると、若干男性の方が多く見えますが、年齢順で見ると、

15から19歳 女性 30.2%
15から19歳 男性 25.5%
20代 男性 18.9%
20代 女性 12.3%
30代 男性  8.5%
40代 男性  3.8%
30代 女性  0.9%

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出典:博報堂DYメディアパートナーズ/博報堂「コンテンツファン消費行動調査2015」

となり、15から19歳の女性、中高生の世代のコアユーザーが最も多いことがわかります。ヒットの要因として、ソーシャルゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」での衣装が女子高生の好みにマッチしたためでした。

ラクジョブログ「女子高生に大人気!?意外なラブライブファン層から考えるIPの育て方」

女子高生に大人気!?意外なラブライブのファン層から考える自社IPの育て方

女子高生にも男性向けの深夜アニメが流行ったということは、これが初めてというわけではありません。以前にも、主要キャラクターが女の子しか出ていないにもかかわらず、女子高生にまで人気が波及した深夜アニメがあったのです。

「けいおん!」です!!

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「けいおん!」は、芳文社のまんがタイムきららの2007年5月号より連載された、かきふらいさん原作の4コママンガです。その後、2009年4月の放送を期に大ヒットし、2010年4月に第2期の2クール放送された。そして、2011年12月3日には、「映画 けいおん!」が上映され、観客動員数145万人、興行収入19億円1500点以上のアイテムの商品化で市場規模は380億円(2012年3月期決算説明会資料 株式会社東京放送ホールディングス P28)に達したと発表されています。

そのアニメ大ヒットの裏には、当時のアニメーションの元請け会社、京都アニメーションの斬新な試みがあったのです。それが、監督、山田尚子さんをはじめとした、シリーズ構成、吉田玲子さん、キャラクターデザイン・総作画監督、堀口悠紀子さん、キャラクターが関わる主要なポジションを女性で固めたのです。この采配によって、深夜の男性向けアニメではあり得ない、男性受けする「萌え」の排除したのです。その結果、今の女子高生がやるような仕草や気配りなどを表現することができ、女性からも共感をえられた評価につながりました。

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参考資料
オタクも女子高生も熱狂、150億円市場生んだ「けいおん!」人気の理由
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0402B_U2A100C1000000/?df=2

そして、もう一つの要素が作品中に使われている音楽シーンへのこだわりです。

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常識破りこだわりでブームを加速、「けいおん!」音楽の秘密
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1001X_Q2A110C1000000/?df=2

引用文
2000年代、『NANA』『BECK』とようやくバンドマンガが、アニメ&実写化されるほどの商業的成功を獲得した。前者は恋愛マンガ、後者はダメ少年の成長マンガという二層構造作品だったが、それでもマルチメディア化する際の最重要マターは、劇中で流れる「音楽」のリアリティーにほかならない。『NANA』は実在の人気アーティストたちに楽曲を任せ、『BECK』は主人公の神の歌声を無音にして全編インストにするという荒業で、各々しのいだ。制作陣の苦労がしのばれる。

これらに対して、「けいおん」は、作品中に使われる音楽とアニメーションを徹底的にこだわりました。

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引用文
【音楽面での作り手のこだわり】
1 限りなく嘘がないサウンド
各々の使用楽器の物理的な制約を遵守したうえに、例えばツッコミ気味の律のドラム癖など隠れ原作ネタもしっかり遵守したことで、音はとてもリアルに。
2 アニメと演奏の完全連動
監督自ら「絶対譲れない」と言っただけあり、見事に音の一つひとつと演奏シーン
の動きがシンクロ。作画と音楽の垣根を越えた製作陣の連携は秀逸。
3 実験魂が支えるリアリティー
「演奏シーンは、実際のレコーディンもほぼそれと同じ楽器編成で音を取っていきました」(小森氏・談)。驚愕の裏技連発は、音楽のプロならでは。

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その音楽へのこだわりは、作品中に使われたカセット音源にまで至ります。そこまでのリアリティーを出している作品に対して、アニヲタからは音楽や、アニメーションとのシンクロの部分はかなり評価されたでしょう。加えて、「けいおん!」というストレートなタイトルが普段アニメーションを見ない中高生の音楽に興味を持っている層の目にも留まったのでしょう。

「けいおん!」「ラブライブ!」などヒット作から、共通点を洗い出していくと、まずはこの4点でしょう。

1 女子高生という年齢設定
2 日常の学園生活における活動
3 背水の陣
4 音楽を用いている

女子高生という同じ年齢層であることと、日常起こり得る学園内での活動をメインにすることによって、少し頑張れば、自分たちにもできるのではないかというような親近感が湧いたのではないでしょうか。また、後に引けないという設定も共通点です。「けいおん!」なら廃部寸前の軽音部、「ラブライブ!」なら廃校寸前の学校、どちらももう後がないという設定のところから始まりますね。最後は、「けいおん!」「ラブライブ!」どちらも音楽を主力としたライブシーンがあることです。そしてここからがポイントです。それは、女子高生が共感を持てる分野でのNo.1を盛り込むということです。「けいおん!」では、ストレートなタイトルといままでにないほどのリアリティーをもたせた音楽とアニメーション、「ラブライブ!」では、今時の女子高生が好みそうなファッションと細かい装飾が施されたライブ衣装でNo.1と言えるでしょう。

最終的な結論として、女子高生を巻き込むために必要な要素としては、女子高生の共感を得られ、その時々の流行を的確に捉え、その部分を生かしたNo.1を生み出せば、コンテンツとして受け入れられるのではないでしょうか。

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