「クリスマスおそ松さん」見ました?私は見ました。
内容としては主人公の6人兄弟がクリスマスに引き起こすドタバタオムニバス。アバンやED後のおまけも合計して全11のオムニバス中、7つは「クリスマスに対する恨み」ともいうべき内容でした。細かくは触れませんが、よくこの頃になると叫ばれる「リア充爆発しろ」に該当するような作品です。クリスマスを幸せに過ごす人達(主にカップル)を徹底的かつ理不尽に非難し、結局クリスマスに恋愛的な良い事は何も起こらない・・・というのが大まかな内容でした。
この、クリスマスに代表される「リア充爆発しろ」という言葉ですが、元は「私生活が(特に恋愛面で)充実している人」に対し、恋人のいない人達がネット掲示板で使ったスラングです。そしてここに恐ろしい研究結果があります。株式会社矢野経済研究所が2014年に行った「『オタク』市場に関する調査結果」によると、自らをオタクと認識している人のうち67%は未婚、というものです。
因みに矢野経済研究所によると、調査対象である15歳〜69歳までの男女10,080人のうち、「自分を『オタク』だと思いますか、もしくは人から『オタク』と言われたことはありますか」という質問に「はい」と答えたのは23%でした。
では・・・残りの77%は全員「リア充」なのでしょうか?「クリスマスおそ松さん」でも冒頭にクリスマスの幸せそうな風景が入り、カップルで幸せそうに歩く人達がライトアップされた街を歩く描写がありました。しかし、本当に世の中はそんなにカップルだらけ、リア充だらけなのでしょうか?
ここでまた1つデータを観てもらいましょう。国立社会保障・人口問題研究所の第14回出生動向基本調査「結婚と出産に関する全国調査」によると、18歳以上50歳未満の独身者の内「交際している異性はいない」という人は、男性61.4%、女性49.5%。しかもこの「交際」は「異性の友人」のことも指しており、「友人として交際している異性がいる(恋人では無い)」というデータを足すと、異性の恋人を持っていない人は全国でも男性70.8%、女性61.4%。平均すれば66.1%。もはや「オタクの未婚率」と1%しか変わりません。つまり、今は日本全国の内リア充は30%強しかいないのです。圧倒的少数派!
そもそもいつから「クリスマスをひがむ」という文化が出来たのでしょうか?先ほども出した「出生動向基本調査」は1989年のデータも載せています。ここでは「交際している異性はいない」が男性47.3%、女性38.9%。「友人として交際している異性」を併せると男性56.5%、女性58.4%です。「友人として交際している異性」の割合が今より多いんですね。
この頃に出版されたマンガからもクリスマスの状況がわかります。
こちらは1991年からヤングサンデーで連載されていた「Bバージン」。まだ日本がバブルで盛り上がっていた頃の恋愛マンガで、「童貞オタクがイケメン学を勉強して頑張って女を落とす」という話です。上記の画像はクリスマスの過ごし方について主人公の男の子が悩み、師匠がレクチャーするシーン。友達ではあるけれど恋人までいかない女の子を、クリスマス前というライバル多き時期にどう落とすか?というのが話の中心でした。つまりこの頃は「異性の友達をどう恋人状態に持って行くか」がコンテンツの題材としてウケた時代でした。しかしバブルも弾けた今、30%弱の「リア充」に残された形骸化したクリスマスを、恋人も異性の友達もいない人間がただ「呪う」というのがコンテンツとして楽しまれています。これはオタクばかりの問題でなく、日本全体で「異性の友達がいない」「恋人がいない」という人達が増えた結果、彼らに受けるコンテンツが増えた結果と考えられます。
これからあと何日もすればクリスマスがやってきます。それに対して本気で悩んでいる人は、実は少ないかも知れません。90年代初頭の方が1人きりのクリスマスを恐ろしく感じていた人は多いのです。何しろこの「Bバージン」というマンガには「20歳までに性交渉を持たないこと」を「ヤラハタ(ヤらずのハタチ)」と揶揄するシーンが何度も出て来ます。そういった概念は今は消えました。「ヤラハタ」の人達は何とかして恋愛を成就させるのでは無く、恋愛をしている人達を呪う方向に変わったのです。これはオタクだけでなく、世間そのものの恋愛状況が変化した結果でしょう。
という訳で!あなたが今年のクリスマスをひがんだところで、日本の7割はあなたと同じ状況です!良かった!良かった?逆に言えば、恋人候補も友達候補もこれからどんどん作れるという事です!もしあなたが「出会いのために」新しい転職先を探しているのであれば、その先でも7割は恋人がいない!と自らを奮い立たせて、どんどん出会いに行ってくださいね!