漫画業界 ニュース 矢吹健太朗漫画賞創設! 漫画家のデビュー方法について考えてみた

notice-header-logo矢吹健太朗漫画賞創設

記事を読んでいただきありがとうございます。今回の記事では「漫画賞」について書きたいと思います。

これを読んでいるあなたが、ある日突然「漫画家になりたい!」とそう思ったとしましょう(あるいはすでに、漫画家になるべく何かしらの行動をしている人も、読んでいる人の中にはいるかもしれませんね。)そう思いたった時に、何かしらの「漫画賞」に応募する、というのは一つの定石だと思います。少年ジャンプや少年マガジンなど、漫画雑誌の中にはたいてい、漫画賞のお知らせが入っていて、優勝すると賞金が貰えたり、誌面連載への道が一気に開けることもあります。

漫画賞も色々な種類がありますが、人気作家さんの名前を冠した漫画賞というものがあります。赤塚不二夫さんだったらギャグ漫画専門の賞になっているなど、その作家さんならではのコンテストになっていることもあります。

最近、新しい漫画大賞で話題を呼んでいるものがあります。少年ジャンプの作家さんで、矢吹健太朗さんの名を冠した、「矢吹健太朗漫画賞」という賞が創設されました。ジャンルに限定は無いのですが、「To LOVEる」の作者である矢吹さんが審査員を努めることになっています。

作家さんが審査員になっておるということは、当然その作家さんの琴線に触れる漫画ほど、受賞しやすいことになります。そこが作家の漫画賞の面白い所です。今回ノミネートされた作品は全てジャンプ紙面で読むことが出来るそうで、「矢吹さんはどんな作家を選ぶんだろう?」と、読者、矢吹さんのファンの人にとっても楽しめる漫画賞になりそうですね。

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漫画家のデビューの仕方は、他にも色々あります。例えば自分にとっての師匠を見つけて、アシスタントとして弟子入りする方法。行動力があれば、いきなり編集部に持ち込みをするという方法もあります。実力さえ認められれば、そこでいきなり漫画家になることもできます。また最近では、趣味でネット上に個人的に連載していた作品が、編集者の目に留まってデビュー、なんてケースもあります。

※画像は、WEBの個人連載からデビューになった「いわせてみてえもんだ」という作品です。デビューした時、作者の「さと」さんは中学生(!)だったそうです。その年代には思えないくらい、画力もシナリオも面白くて、オススメですよ!

どうやって漫画家になったらいいのか?

漫画家になる方法は沢山ありますが、逆に「これをやれば漫画家になれる」というものが確立していないのもまた、漫画家です。クリエイターは全般的にそうなのですが、実力が認められさえすれば良いので、強いて言うならば自分で努力するしかありません。ゲームのイラストレーターならば、自分で腕を磨いて、会社に入社すれば身を立てることはひとまずできます。ところが漫画家は、どこかに就職すればいい、という道も存在しないため、デビューできるかは自分次第、となってしまう度合いが高いのです。

しかし、全く何の手がかりもないかと言えば、そうでもありません。NPO法人NEWVERY」という、漫画家がデビューするためにシェアハウスを運営している組織の調査によれば(左の図を押してみてください。)デビューに至った漫画家とそうで無い漫画家の間には、努力の量に大きな開きがあるという調査結果がでています。

というのも、NEWVERYがサポートする1500人の漫画家を調査した結果、デビューの叶った漫画家のうち3割は、原稿を書き始めて100〜150ページくらいの地点でデビューをした。その次にデビューが多かったのは、500ページくらいの地点で、ここで2割の人がデビューをしたというのです。また、500ページを書き上げるのに、平均して3年以上は時間が必要であることもわかりました。

つまり、早期にデビューする人を除けば3年以上は努力が必要になります。

当然のことかもしれませんが、漫画家になるのには、絶対的な努力の量が必要になります。

jpegプロのクリエイターになるために必要なこと

茨の道であることは間違いない漫画家の道ですが、トライしていけば、可能性は必ず開けていくはずです。ラクジョブで漫画家も含めて採用に関わっている者から言わせて頂くと、採用されるイラストレーターと、採用されないイラストレーターの違いが参考になると思います。

ラクジョブには、毎月数十人のイラストレーターが応募をしてきますが、面白いことに、すぐ採用される人とそうでは無い人にくっきり別れるのです。その違いはどこに有ると思いますか?答えは、オートフォリオです。企業の採用担当者は、ポートフォリオからかなり多くの情報を読み取っています。デッサンや着彩の技量は勿論のことですが、着目すべきは「ポートフォリオの構成」です。ポートフォリオが「ファンタジー調ならこんな実力です」、「コミカルに描くとこんな調子です」という風に、見る人にとってわかりやすく描いてあるポートフォリオは、評価が高く、採用に至る可能性もグッと高くなるのです。

イラストレーターとして企業に努める場合、「自分が描きたい絵を描く」機会は、殆どなくなります。イラストレーターに会社が期待することは、今流行しているテイストの絵柄を、いち早く習得して、納期を守って、量産することです。ポートフォリオの段階で、企業がどんな絵柄を求めており、どう提示すれば自分の価値が伝わるのかを自覚していることがポートフォリオから伝わると、採用担当は頼もしさを感じます。

勿論、漫画家はイラストレーターとは違う点も沢山あります。より作家としての個性が求められますし、今までにない作品であることで、新しいジャンルを作り上げた作家もいます。しかし。漫画家としてやっていくためにも、見る人の視点を意識して、相手が見たい作品を提供する、という視点は必要になるはずです。編集者という存在が不可欠になるのも、そこに理由があります。

newveryのプロジェクトでも、編集者を駆け出しの漫画家につける、というサポートが取られています。個人でここまでの環境はなかなか難しいかもしれませんが、身近な人にアドバイスをもらうのもいいでしょう。

また、冒頭に上げたような、作家の漫画賞を利用するのもいいと思います。既に売れている漫画家はニーズがある漫画家であるといえます。

これから漫画家を目指す人にとって、参考になれればと思い記事を書きました。必要なのは、絶対的な努力と、他者の視点です。茨の道ですが、それを乗り越えて漫画を描く人が一人でも増えて欲しいと思います!