制作進行は、アニメ業界でも重要な位置を占めます。しかし、重要職であることと成長が直接結びつかない場合もあります。
もし下記のような状況にいる制作進行の方は転職も考えて見た方が良いかも知れません。例えば・・・
◆孫請け会社に在籍している
制作進行だけで無く会社そのものにとってもですが、製作・配給会社やメーカーから直接受けていない仕事はあまり割が良いとは言えません。仲介会社を挟んでしまうことでメーカー側に直接交渉もできませんし、制作の方法についても提案ベースでは無く「言われたことを(大変な期間内に)やる」になってしまうからです。メーカーから直請けの仕事が多い会社であれば必然的に有名タイトル、大きいタイトルばかり扱う事が多くなり、責任も重くなります。孫請け会社の場合と違って緊張感は増しますが、その緊張感こそが「制作進行」を敏腕な「プロデューサー」へと後々育ててゆく大切な経験です。いつまでも孫請け仕事をしていても、仲介会社からは覚えて貰えても大手からの声は一生かかりません。それであれば1つでもメーカー仕事を増やすことや、メーカー仕事をしている会社へ転職した方が年齢と共にランクアップした制作進行・プロデューサーとして振る舞えるようになります。
また、メーカー直と言っても「メーカー」は色々あります。もちろんアニメ製作配給会社からパチンコパチスロといった遊技機メーカー、コンシューマーゲームメーカー、ソーシャルゲームメーカー(SAP)、大手広告会社など多岐にわたるコンテンツに携わることが、アニメをはじめとする映像業界に入るのであれば最も理想的です。映像案件の内容もティザームービーからオープニングムービー、実写、ドラマCD関連、CM、デジタルサイネージなど多様化しています。幅広い映像制作の現場を早い内に経験しておくことが、将来への大きな力となるでしょう。
◆TVアニメシリーズの現場に長く在籍する
よく知られていることですが、TVアニメーションは疲弊しやすい仕事です。それはアニメーターだけでなく制作進行にも同様です。制作進行は、夕方から来て朝帰るような生活リズムのアニメーターに合わせて仕事をしなければいけません。アニメーターが完成させた作品こそを運ぶのが仕事だからです。しかしアニメーターが起きてこない昼間も、アニメーター以外のスタッフ(シナリオライターや脚本その他)のスケジュールを合わせる等の仕事があります。結果、24時間どの時間も動かなければいけなくなり、仮眠はあって1〜2時間。週の内4日は家に帰れない・・・そんな仕事を1〜3年間続ける必要があるのです。更に言えば制作進行はアニメ業界の中で一番下っ端なので、監督やプロデューサーはもちろんアニメーターからも風当たりが強く、年下から酷い扱いを受けてしまうこともあります。実際、以前話題になった大手アニメ会社の制作進行自殺問題は、スタッフからのいじめも背景にあったというのは業界内で有名な話です。こういった精神的疲労、睡眠時間の少なさの中、仕事上車の運転をする必要もありますし、給与は月収20万以下で3年くらいは固定され、残業代はすべて「みなし残業扱い」になってしまうなど全然余裕がありません。
そうすると、やはりTVアニメの現場は若い内しかできません。若くて体力に溢れている頃、2〜3年制作進行を経験し、その後もあまり状況が変わらないようであれば逆に転職のチャンスです。2〜3年の制作進行経験がある人材を「メーカー直」の会社や「安定した映像制作会社」は求めます。特に結婚なども視野に入れるのであれば、少しでも安定してリスクの低い会社に転職・・・というのは、かなり現実的な提案と言えるでしょう。
因みに、そんな「制作進行をしばらくしていたが、もう少し落ち着いた仕事に就きたい」人にお勧め出来る転職先が、こちらの2社です。
◆株式会社ポイント・ピクチャーズ 制作進行募集
ポイント・ピクチャーズはTVアニメシリーズの本編自体は請けませんが、代わりにアニメのOP(化物語シリーズ、NARUTOなど)・EDの制作、ゲームOPや遊技機、実写、CM、デジタルサイネージなど多様な映像制作を行っている会社です。また、仕事はメーカー直の発注が多いためプレッシャーは大きいものの、ライン管理や予算組みといった幅広い仕事を手がける事になるため大きな成長に繋がります。また多忙期に土曜の出勤はありますが、日曜日は休めます。徹夜の仕事とは無縁な上、仕事の都合上遅くなりすぎた場合は、車での帰宅(駐車代は会社持ち)が可能な上、メールや電話で1本連絡すれば翌日の遅い出勤することが許可されていますますので、アニメが好きな経験者には働きやすい環境となっています。ただしもちろん責任は大きいので、それでも大丈夫!成長の糧にしたい!という方は是非ご応募ください。
ティー・エヌ・ケーはTVアニメシリーズを請けている会社ですが、「クオリティをしっかり出しつつもスタッフを潰さない」ための経営を重視しています。制作進行が疲弊しがちな「1人複数本担当」ではなく「1人1本対応」を原則とし、無茶な発注は断るという姿勢を貫いています。同時にアニメ制作への情熱もあり、機械的な制作にならないよう意見の出し合いを社内でも頻繁に行っています。「ハイスクールD×D」「一騎当千」といった美少女ものの制作が多いのも、ジャンルをバラつかせないことで安定的なクオリティを出せるように配慮した結果です。代表の方がアニメの制作と制作スタッフの生活の充実を重視しているため、バランスの良い制作体制を取れるようになっています。まだTVシリーズをどうしてもやりたい!という方は是非ご応募ください。