現在、様々な業界においてAI(Artificial Intelligence)の研究開発が活発に行われています。ゲーム業界においても、NPCの行動などにAIを組み込むなど、無限の可能性を秘めている分野となります。しかし、一方でAIの発展により、今後の雇用がどんどん失われていくのではないかという懸念もあります。今回は、そんな中で生き抜くためにやらなければならないことに関して記事にしております。
(画像は、ポケモンコマスター公式サイトより)
ゲーム業界はこれまでにもNPCに一定のアルゴリズムを与え、自発的な行動をとることはありました。しかし所詮は、人間がプログラミングしたものであり、ある一定のところでパターンが見えてきてしまいます。ところが、AIを組み込んだキャラクターを立てることにより、最初は予期せぬ行動をとるものの、時間を費やすごとに適切な行動をとるようになり、ゲームをプレイするパートナーとして一緒に成長していく感覚を味わうことができます。最近でも、そのようなAIの機能を重視したゲームも登場するようになりました。その例としては、「ポケモンコマスター」というネイティブアプリです。このゲームは、将棋のように複数の駒を動かして、相手の本陣を目指す戦略ゲームになります。その機能の一部として、その駒の移動をAIに任せ、対戦を自動化した点で、これまでにない斬新なボードゲームとなっています。
また、そのようなことは、古来よりある遊びでも人との知恵くらべとして、対戦するケースがあります。以前よりチェスでは、コンピューターが勝つということは言われていましたが、今年は、囲碁に関しても、人間側が5戦中1勝しかできなかったという結果でした。囲碁は、19×19へ碁石を置くため、チェスよりも圧倒的に展開が読み辛いものとなっています。しかしながら、最近は、CPUの性能も上がったことにより、1秒間に何百局から何万局もの対戦をし、評価することによってノウハウを蓄積し、その情報に基づいて方法を出しているとのことでした。人間が勝てた1勝も、その何百、何千、何万もの対局の経験の穴を突いたからこそ勝てたと言われています。そのため、一年後には勝てなくなるのではとも囁かれています。
そんな人間の思考をも上回る可能性が出てきたAIですが、SFが好きな人であれば、人型のロボットを想像するのではないでしょうか。一家に一台、お手伝いのロボットを購入し、家事の全てを手伝ってくれるなど夢のようなことが間もなく訪れようとしています。
しかし、そんな夢のような話もいいことばかりではありませんでした。人間の思考ができ、手伝うことができるのであれば、当然、労働者としても優秀な人材です。野村総研の調査によれば、10年から20年後の近い将来、日本の労働人口の49%が、人工知能・ロボットへの代替が可能という結果を試算しています(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1512/02/news111.html#l_sk_nri_02.jpg)。
さらに、以上の発表があってから、半年も経たないうちに、AIには、執筆・接客代替、弁護士の仕事までこなせるようになると言われています。
AI新時代、奪われるヒトの仕事 執筆・接客代替、弁護士ですら置き換わる?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160605-00000000-fsi-bus_all
引用始め
週末を控えた米東海岸の事務機器メーカー。オフィスのパソコンに向かう営業担当者に、1通の電子メールが届いた。「フランクへ。君は今週、2件で4万2550ドルの契約をとって、26社の潜在顧客と接触したね。素晴らしい成績だ。でも、まだ年間ノルマの達成ペースからは遅れているよ」
上司からの厳しい指摘にも見えるメールだが、“送り主”は人間ではない。米ノースカロライナ州のIT企業、オートメーテッド・インサイツが開発した人工知能(AI)「ワードスミス」が、自動で作成した社員の管理・評価書だ。ワードスミスは高度な情報処理技術により、さまざまなデータベースに基づいて人間顔負けの自然な文章を作成する。
引用終わり
このように、一定の情報さえ与えれば、一定の文章を生成するだけの技術を持てるようになっており、同じく「ワードスミス」を導入しているAP通信では、4000本ほどの決算記事の作成を行っており、一記事にかける時間としては、1から2秒という早さで作成されるとのことです。加えて、ソフトバンクグループが開発した「ペッパー」などの人型ロボットと組み合わせれば、単純な接客業であれば簡単にこなせてしまえます。現在、ペッパーの導入費用は5万5000円、1日8時間の20営業日に換算すると、なんと時給約344円、最低賃金の半分以下になります。このような金額で働いてもらえるなら経営者にとってはどんどんロボットを導入したくもなります。
(画像は、フジサンケイアイより)
先に日本の労働人口の49%が仕事がなくなるということを言いましたが、もちろん職種によって大きく異なります。その傾向としては、より単純な作業ほどロボットへの代替が早く、一方でよりオリジナリティーが必要とされる分野ほどロボットの代替が進まないということです。つまりアーティストやエンジニアなど、1から何かを生み出さなければならない職種ほどこの資本主義経済の中を生き抜くことができるのです。
幸いなことにこのアニメゲーム漫画業界はクリエイティブな職種が多い業種です。独立行政法人・労働政策研究・研修機構の「職務構造に関する研究」が分類した601種類の職業について定量分析データを使って分析した結果から、グラフィックデザイナー、アートディレクター、ゲームクリエイター、作詞・作曲家、シナリオライター、プロデューサーなどはロボットに変わりづらい職種とされています(独立行政法人・労働政策研究・研修機構 職務構造に関する研究)。しかしながら、クリエイターの全てが将来の仕事が安心というわけではありません。アニメーターであれば、原画の中割りを書く作業は、AIの学習機能があればある程度線を決めることが可能でしょうし、シナリオもあるコンクールの1次審査を通過するような作品もでてきています。そのようなことがあるため、クリエイターとして今後も活躍し続けるためには、より面白い展開を想像し、風景や人物の描写を絵コンテや文字に落とし込めるスキルなどが必要となってくるでしょう。
逆にそこまでのスキルを身につけることができれば、AIにも脅かされず、業界の中でもトップクリエイターとしても活躍できるでしょう。