東洋経済オンラインが、「プログラミングを教えるロボット」が開発されたというニュースを報じています。
https://toyokeizai.net/articles/-/114568
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子供にプログラミングを覚えさせるロボット「ルート」が開発された。敬遠されがちなコンピューターサイエンスの世界を活気づけることを目的とした新兵器で、全年齢を対象としている。
ルートは煙探知器にも見えるが、実は洗練されたロボットだ。磁気を帯びた本体と車輪、そして数多くのセンサーを装備しており、教室のホワイトボードに張り付いて動く。何を、どのようにやるかは、子供のイマジネーションにかかっている。簡単なプログラミングとして、タブレット端末に一行のコードを打ち込めば、それに従って動くからだ。
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簡単なJavaを使ってプログラミングができるようになっており、小学生の子どもでも簡単なプログラミングでロボットに指示を送ることが可能になったのだといいます。安倍首相は小学生から「プログラミング教育を必修化」と産業競争力会議で表明したニュースもありましたし、プログラミングという分野がより一層教育と身近なものになっていきそうという印象がありますが、ICT教育の現状を見ながら、プログラミング必修化はできそうかということを考えてみたいとお見ます。
ICT教育の現状はどうか
教育とロボットというと、人間の仕事が人工知能搭載のロボットによって奪われるのではないかと心配する声が上がりがちですが、教育という分野は知識の習得以外にも様々な体験をするものであるので、即座にロボットに取って代わるようなものではないと思います。ロボットではありませんがデジタル機器の活用は既に教育の現場に利用されています。佐賀県などはかなり積極的にICT教育を取り入れており、生徒の半数が満足しているという調査結果も出ています。
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佐賀県立高校のタブレット端末や電子黒板を使ったICT(情報通信技術)教育に関し、約80%の生徒が満足しているという調査結果がまとまった。
これは県教委が1学年約6千人の生徒と教諭を対象に、タブレットを導入して、2年間の意識変化を調査したもの。「指導力が向上し、高い満足度につながっている」とみている。
タブレットは2014年度、県立高の新入生全員に導入。調査は導入して1年が経過した2014年度末と、2年が経過した2015年度末に実施した。ICTを活用した授業に満足しているかという問いに、「満足」「どちらかといえば満足」と答えた新入生は1、2年目ともに80%程度を占めた。
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デジタル機器による教育の課題として、教師の機器に対する知識不足やトラブル対処が遅れるなどして授業が停滞するなどがありましたが、佐賀県はICT教育が注目された当初から導入に向けて動いており、トラブルに対処する力もついているのではないかという見方もありますが、同時に「機器ごとの満足度」がリサーチ不足だったりするという課題も残されています。機器ごとの満足度を調べるというのは重要で、根本手に不満点が残っているのであれば機器自体の見直しが必要になり、するとMacを導入すればよいか、Windowsを導入すればよいかという判断や、導入するソフトウェアや、セキュリティの構成なども変わってきます。ICT教育は実施よりも準備や導入とブラッシュアップ、サポートとの連携調整が大変であり、かつ重要になります。より教育に良い機器とは何かを模索していく課題はこれからも続いていくでしょう。
プログラミング必修化は成功するか
そんなICT教育ですら教師は大変な状況ですが、このような状況の中でプログラミングの必修化は成功するのでしょうか。一番の問題点はプログラミングを教える人材の確保だと考えれます。中学校、高校生の「情報」の授業は失敗だったのではないかとの声も少なくありません。それは「情報」という科目専門で教えられる教師の採用が殆ど無く、他の教員免許を持っている人材が情報の授業を兼任して教えていたというような背景があります。(参考:https://blogos.com/article/173165/)果たして今の日本にプログラミングを教えられる人材がいるかといえば疑問が残ります。小学校でICTを取り入れデジタル機器に対する抵抗感をなくし、中学校以降から選択科目にするなど、段階を経て行う必要があるのではないでしょうか。それと同時に、高齢者などのデジタル・ディバイド層へのコンピューターに対する知識を持たせることも必要でしょう。政治的に影響力のある年齢層に、少しでもIT教育が重要であるということを知らせることが必要です。子どもだけでなく、成人した我々がしっかり勉強していく必要があります。